自動車の自動運転のフォーラムに参加
自動車の自動運転のフォーラム(9/16(月・祝日))に参加した。
このフォーラムは日本学術会議のHPに8月ごろには出ていた。
申込をいつ行ったか記録がないが、申込したのは覚えている。
当日朝は雨が降っており、日本学術会議の1階の入り口の傘立てに、傘を入れてロックをしたように思う。
行く途中のコンビニで、おにぎり、500mlのペットボトルのお茶と毎日新聞を買って行った。
受付で名前を言うと、参加名簿で確認して、資料一式をくれた。
開催挨拶は科学技術振興機構(JST)の渡辺女史が行った。
シンポジウムとフォーラムがあって、フォーラムは議論したい時に開催する。
自動車、自動の分野で100年の改革となる。
高齢者の事故、あおり運転等が起きている。
どのような形で社会の中に入っていくか。
人間には移動の本能がある。
昔は食料を求めて移動した。
今は健康のために歩いたり走ったりする。
マイカーが増え、地方では一家に1台、一家に2台あって子どもが巣立つと1台でよくなる。
運転機能は衰える。
渡辺女史は縦列駐車が苦手である。
カーシェアリングもある。
過大な期待を持っている専門家もいる。
シートベルトは男性中心に設計されている。
シートベルトをしていて死亡するのは女性が多い。
少子高齢化社会に向かう。
ドライバー不足になる。
技術開発だけで解決できる問題ではない。
趣旨説明は芝浦工業大学の大倉女史が行った。
日本学術会議の中の「自動車の自動運転の推進と社会的課題に関する委員会」で議論してきたことを議論したい。
官民のITS構想がある。
自動運転のあるべき姿を第三部の工学系だけでなく、第一部の人文社会科学、第二部の医学も含めて議論したい。
昨年7月に安全工学シンポを行った。
その資料はアマゾンでも買える。
午前は第三部の工学系に関する講演、午後からは第二部医学系、第一部社会科学系の講演であった。
(1)では「官民ITS構想・ロードマップについて」というタイトルで内閣官房の平井氏が講演した。
官民ITS構想ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)は省庁横断的なものである。
2020年までにいくつかのことをやる。
高速道での自動運転がその例である。
日本中どこでも、というのではない。
社会的に意味があるかどうか、である。
ギアチェンジがオートマチックになった。
車の高度化である。
今はMaaSである。
(Mobility as a Service: MaaS は、ICT を活用して交通をクラウド化する。公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を1つのサービスとしてとらえる。シームレス<継ぎ目のない>につなぐ新たな「移動」の概念である。利用者はスマートフォンのアプリを用いて、交通手段やルートを検索、利用し、運賃等の決済を行う例が多い。<要するに電車やバス等の乗り継ぎをスムーズにする体系:筆者注>)
各省庁の集約を図っている。
従来型の交通は維持しにくくなっている。
輸送の効率化や国際競争力等が悩ましい点である。
国際競争に勝ち抜けるか。
自動運転で事故が起こっている。
安全は最優先である。
自動運転のレベル1~5まである。

図1 自動運転のレベル図
狙っているのはレベル2~3である。
操縦の主体は誰か。
レベル2までは運転者である。
レベル3ではシステムであるが、緊急時は運転者である。
レベル4では路肩に止めてハザードランプを点ける。
ODD(地域限定)も考えられている。
高速道路は自動で高速出る時に自動OFFとする。
バスやタクシーの自動化も考えられている。
遠隔監視で行うもので、ゆりかもめ等では既に実施されている。
制度整備や車両の安全確保が重要である。
交通ルールも変更が必要である。
現在は運転中スマホは違反である。
事故が発生した時の責任も問題となる。
自賠責は維持する。
ダイナミックマップが必要である。
国とメーカーと利益相反のところもある。
協調領域を探りながら進めていく、説明した。
(2)では「モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)への期待」というタイトルで、東京大学の須田氏が講演した。
生産技術研究所にいた。
そこでサステナブルな交通システムを研究していた。
省エネ、低環境負荷、安全・安心なシステムであり、Society5.0につながる。
(Society5.0:Iot等を通じてビッグデータを収集し、それをAIで解析して、現実の社会を効率的に変革するものであり、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱された。<筆者注>)

図2 Society5.0の一例
MaaS(交通システム変革)のコンセプトもこの一環である。
自家用車、バス、タクシー、電車を一元的に取扱うもので、フィンランド発の考え方である。
Uberのカーシェア(車の共有)、ライドシェア(相乗り等)等、自動車の使い方が変わってきている。
自動車のCASE(C:コネクテッド、A:自動運転、S:シェアリングサービス、E:電気自動車)もある。
安全運転支援もある。
自動化への課題もある。
エコシステムの確立も必要である。
自動運転バスの運行もある。
今は助手席に人が乗って、公道を走っている。
海外でも行われている。
トラックの自動化ではNEDO(エネ機構)がトラックプロジェクトで4m間隔で4台のトラックを自動運転で運行させた実験に成功している。
この背景にはトラック運転手の不足がある。
新東名でレベル1-5までの実証実験を行う。
レベル2までは人間が運転する。
レベル3以上は無人である。
自動運転の目的は安全性の向上、負荷軽減、省エネ、高齢者支援、モビリティ社会の変革などである。
レベル4は地域限定で無人自動運転サービスが考えられている。
究極のシナリオとして、物流、移動、オーナーカー、モビリティオペレーションの変革、トヨタのe-パレットコンセプト(次世代電気自動車)等がある。
Maasはモビリティサービスとして、あらゆる業界を巻き込むエコシステムである、と説明した。
(3)では「ロボット分野の自動運転」というタイトルで、東京大学の淺間氏が講演した。
ロボット技術とセンシングで環境構造化、環境知能化、ロボットの知能化が進んでいる。
自動で有軌道、自律化で無軌道、無人化、遠隔操作等がある。
移動ロボットとしてAGV、フォークリフト、自動金庫、掃除ロボット、ルンバ、フィールドロボット、芝刈りロボット等がある。
(AGV:Automatic Guided Vehicle<無人搬送ロボット>)
ドローンの自律化もある。
SLAMという技術がある。(SLAM:Simultaneous Localization and Mapping<自己位置推定と環境地図作成、掃除ロボットや自動運転システムに利用>)
これを利用して、人と共存できるロボティクスを開発する。
ロボットベンチャー企業のZMPと共研を行っている。
スマホゾンビ(歩きスマホ)は想像できない動きをする。
これを考えると、安全目標の設定が必要になる。
安全とは、許容できないリスクのないことである。
ただ、リスクを突き詰めていくと、コストがかかる。
ALARPの考え方が必要になる。
(ALARP:"as low as reasonably practicable"の略で合理的に可能な限り低くする)
ロボットに必要な知能は何か。
多様な要求に応える順応性が必要となり、AIの搭載も考えられる。
しかし、ブラックボックス化してしまうことや移動の本能運動主体感、ドライバー感等に配慮が必要である、と説明した。
(4)では「航空機における分野の自動運転の変遷と展望」というタイトルで東京大学の鈴木氏が講演した。
航空機の自動運転ということでは、航法(ナビ)制御がある。
人が飛ぶことの要求は昔からある。
飛べば次は手放しの運転になる。
ジャイロを利用した操縦もある。
第二次世界大戦後に発達した。
電波を捉えて経路がわかる慣性航法やGPSによる衛星航法も出来ている。
自動操縦を阻む原因は気流、事故・故障、空域混雑、バードストライキング(鳥がエンジンにぶつかる)がある。
自動化と人間系に起因した事故に、入力ミス、1994年の中華航空のパイロット操縦ミス(自動操縦モードと手動操縦の切替欠陥)、空中衝突等がある。
無人航空機の自動飛行等が考えられている。
ウーバーの空中自動車やドローンの活用等もある。
自律飛行の課題として、人間・機械系のインターフェース、トレーニング、操縦ライセンスは機種毎、システム故障や不具合のコントロール、ソフトウェアの認証、セキュリティ、事故調査制度の導入等がある、と説明した。
(5)では「鉄道における『自動運転技術』の動向と自動車における考え方の比較」というタイトルで、東京大学の古関氏が講演した。
鉄道の自動化は簡単である。
日本は鉄道先進国である。
ホームドアはなく自動化が進んでいる。
お客が落ちたらどうなるか。
6月に横浜で逆走事故があった。
鉄道の無人化の歴史は1981年の神戸のポートライナーに始まる。
無人運転であった。
国際基準としては、運転手がストップ解除してもストップすることが必要である。
ドライバーレス(レベル3)を日本は目指している。
海外を追う展開になっているが、20年遅れている。
これは運転手が優秀であったこと、儲かる路線が多かったこと等がある。
東芝、日立、三菱は海外競争力を持たない、と説明した。
(6)では「ロボット、航空機、鉄道、船舶分野の自動運転-自動運航船の動向」というタイトルで宮崎女史が講演した。
自動運航船がある。
計画的に航路を進む。
妨害をすり抜ける。
東京湾は船が多い。
通信やセキュリティ、輸入貨物の43%を担う必要がある。
いろんな機関が集まって海事クラスターを作っており、海外競争力も高い。
日本には島が7千個、そのうち人が住むのは400個、500人未満の住人が住むのは300余りで、生活の足の確保が問題である。
将来の自律型海上輸送システムにおいて、国内プロジェクトができている。
ISO化でも世界をリードしている。
海外の自動運航船ではロールスロイスのフィンフェリーが世界初の自動運航船を実現している。
これらの技術開発にはAI等の適用も考えられている、と説明した。
ここで、午前の部のまとめの質疑応答があった。
私は昨年9月の北海道地震でのブラックアウト(全停電)の場合、どうなるかと聞いたが、誰がどう答えたか覚えていない。
また、他の人の質問では、SDGs(国連の持続可能な開発目標)との関連、サイバーセキュリティのことを聞いたように思うが、回答は不明である。
この後、昼休みということで、私は談話室のようなところで、おにぎりを食べた。
午後からのセッションは医学、続いて社会科学系の講演であった。
まず「医学・看護学からみた運転支援への期待」というセッションテーマがあった。
(7)では「認知症の人と家族にとっての運転」というタイトルで、日本赤十字看護大学の太田女史が講演した。
認知症が増えてきた。
数年前のデータで460万人で、7人に1人が罹る。
2025年には5人に1人と推定されている。
そうなると正しい判断ができなくなる。
安全運転が困難になる。
免許証は返納して欲しいと家族は思っているが、本人は嫌なケースが多い。
返納すると仕事ができなくなる、通院できない、家に閉じこもる、行方不明・徘徊が多くなる。
在宅で認知症介護の家族に全国47支部でアンケート調査した結果では、64%がアルツハイマー型認知症、移動は徒歩64%、自動車30%で山間部に多い。
事故経験35%、物損事故34%、返納13%、返納は本人が納得しない。
生活に困ることが大きい。
自動運転に期待しているが、安全性に不安もある、と説明した。
(8)では「高次脳機能障害と運転」というタイトルで、新潟大学の藤井氏が講演した。
脳障害の例としては、交通事故等で脳卒中や脳の外傷等の後遺症としての事例がある。
脳機能のマッピングをMRIやCT等で観察できる。
脳機能再構築のためにリハビリ等が行われる。
臨床応用として、幹細胞移植による神経再生に基づく機能回復やブレイン・マシン・インターフェース技術(BMI)を利用したことが行われている。
このBMIの例では、脳の信号を捉えてその信号によりロボットや身辺の機器を操縦するタイプや人工内耳や人工視覚等感覚入力を信号に変換して脳に伝え、失われた感覚を再構築するタイプ等がある。
これらの脳障害を持った患者が社会復帰する上で、自動運転との共存を図るのは大事だが、性急に進めては難しい問題が多い、と説明した。
(9)では「服薬中の精神疾患患者の運転支援」というタイトルで、名古屋大学の尾崎氏が講演した。
服薬患者はうつ病の人が多く、100万人以上と思われる。
躁うつ病の人も、統合失調症の人もいる。
病気が改善して、生活の必要上自動車の運転をしてもよいか、と尋ねられると、医師は言葉に窮する。
精神病者は法律上運転できない、とされているからである。
てんかんの患者が子どもをはねたことがある。
うつ病患者の運転支援でオランダの実車試験の例がある。
近年運転シミュレーターを使った評価が注目されており、このシミュレーターの標準化が期待される、と説明した。
ここで、医学でのまとめの質疑応答があった。
質問があったように思うのだが、医学系はイマイチ関心が薄く、メモにもあまり書いていなかったが、一つユニバーサル・デザイン(UD)のことを質問していたようだ。
脳障害だけでなく、車椅子の人や視覚障害の人にとっての利用という自動運転について聞いたように思うが、専門外、というような答えだったと思う。
10分の休憩の後にセッション3の「完全自動運転をめぐる人文・社会科学における取組」が行われた。
(10)では「自動運転と社会倫理」というタイトルで、学習院大学の遠藤女史が講演した。
社会倫理が専門である。
ちょっと前に宮城県角田市に行った。
阿武隈急行が通っている。
高齢化が進んでいる。
家を継ぐものがいない。
路線バスが次々廃止されている。
タクシーが15、6台ある。
地域に必要なものである。
交通の便利さということから考えると、自動運転は役に立つ。
日米中の比較では、中国は積極的で米国は消極的である。
どんどんすばらしい技術を開発して欲しい。
普通の人に聞いても無駄か?
普通の人の考え方が重要である。
技術と倫理の問題では、ロボット三原則がある。
サンデルのトロッコ問題もある。
暴走するトロッコがあり、それに乗っている人にはブレーキが利かず、ハンドルだけが利く。
前方に5人の作業員がおり、このまま進むと、5人は死ぬ。
ハンドルを切ると、そこには1人の人がいる。
1人を死なすか、5人を死なすか、という問題である。
普通に考えると、5人より1人を死なす選択となるのであろうが、倫理は一貫しない。
5人が高齢者、1人が若者だったら、とか、1人が自分の親しい人だったら、と仮定すると、答えが変化するかもしれない。
技術と社会の共進化が望ましい、と説明した。
(11)では「自動運転に対する受容的態度とは」というタイトルで、東京大学の唐沢女史が講演した。
自動運転の社会的な受容については、拒否すれば実装が難しくなる。
新しい技術の技術受容に関する一つのモデル Technology Acceptance Model(TAM)を紹介する。
注目するのは、技術導入のリスクとベネフィット認知及び技術に対する直感的印象である。
レベル3とレベル5の調査結果からは、自動運転技術のベネフィットを提供することで、受容されやすい。
しかし、リスクから目をそらすのはよくなく、「正しく怖がる」ことも必要である、と説明した。
(12)では「自動運転と法律」というタイトルで、立命館大学の松宮氏が講演した。
刑事訴訟法が専門である。
AIの刑事責任は問えるか。
問題の所在は関わる人の刑事責任になる。
社会が許容できる危険水準として、年間1万人の交通事故死があるのであれば、年間2千人の死亡であれば許容できるか。
AIの正当防衛はあるか?
自然人の法的責任として、レベル3の自動運転でスマホOKになった。(今年5月の法改正による。)
事故主体は運転者、所有者、メーカー、プログラム製作者、データ提供者、国、地方自治体等が考えられる。
緊急時のプログラムの適切性はどうか?
トロッコ問題で1人を犠牲にして5人を助けるか?
自己犠牲プログラム(ガードレールにぶつける)もあり得るか。
9.11のような飛行機は撃墜しようというドイツの法律もある。
運転免許証は必要か?公共交通は?タクシーは?
事故責任とか黙秘権はどうか、等を説明した。
(13)では「自動運転の経済学的考察」というタイトルで、同志社大学の三好氏が講演した。
パッシブセーフティとアクティブセーフティが指摘された。
前者はシートベルトなどの機器によるものである。
後者は自動運転による事故発生の減少を目指すものである。
年間の交通事故による損失額は約6兆円(H21)で、そのうち金銭的な損失は約4兆円、非金銭的な損失が約2兆円である。
走行距離数が増えると、事故による損失が増える。
これを防ぐには自動運転は必要ではないか、と説明した。
人文科学・社会科学の部門での質疑応答があった。
私は、自動運転によるタクシーや電車・バスの運転手による打ち壊しはないか、レベル1~5までのレベルの混在という状態はないのか、と聞いた。
前者は産業革命の時に英国でラッダイト運動という機械打ち壊し運動が起きたが、日本人はおとなしいのでそういうことはないだろう、とのことだった。
後者については、回答者が戸惑っている風で、そのような混在はないのではないか、というような曖昧な答えだったと思う。
以上でこのフォーラムは終了した。
自動運転技術はすばらしい技術と思うが、防災の観点(地震や津波等の対応、ブラックアウト<停電時の信号機機能喪失>)、利用者の病気の時(脳卒中、脳梗塞、心臓麻痺、内臓の突発的な病気<盲腸等>等)の対応等、世界であまり問題になっていないことでも、日本で重大なことになることの対応システムが余分に必要になると思う。
これからもこうしたシンポ等があれば、参加して自動運転の機能向上の一助にでもなれば、と思う。
<学術フォーラム>
自動車の自動運転の推進と社会的課題について
-移動の本能と新しい社会のデザイン-
1.開催趣旨:
未来投資会議やIT国家戦略などに沿って、政府をあげて自動運転に係わる研究開発や制度設計の取り組みがなされており、産業界や地方自治体から熱い視線が注がれている。
日本学術会議では、社会的インパクトの高い課題であるという認識から、人文・社会科学系、医学・看護系および理工学系の学識経験者を交えた課題別委員会「自動車の自動運転の推進と社会的課題に関する委員会」を発足し、技術的な観点に留まらない社会的課題として広く議論を重ねてきた。
そこで本委員会としては、広く学術に関心を持つ方たちと、人類の移動の本能という観点を交えながら、社会制度や市民生活の係わり方や社会受容性について広く議論する場を企画した。
セッション1では、技術開発とモビリティサービスの将来展望について、セッション2では医学・看護学から見た運転支援系への期待について、セッション3では完全自動運転に向けた人文・社会科学的な課題について、幅広く議論したい。
2.日時:2019年(令和元年)9月16 日(月・祝)10:00-11:45及び13:15-17:00
3.場所:日本学術会議講堂
4.参加費:参加無料、ただし事前申込のこと。
5.定員:300 名
6.主催:日本学術会議(「自動車の自動運転の推進と社会的課題に関する委員会」)
7.後援:内閣府、文部科学省
8.協賛:ITS Japan、うつ病学会、応用哲学会、科学基礎論学会、科学哲学会、計測自動制御学会、研究・イノベーション学会サービス学会、システム情報制御学会、情報処理学会、神経精神薬理学会、人工知能学会、生物学的精神医学会、精密工学会、電気学会、電子情報通信学会、日本グループ・ダイナミックス学会、日本機械学会、日本社会心理学会、日本心理学会、日本船舶海洋工学会、認知症の人と家族の会
9.プログラム:
10:00-10:20 司会 宮崎恵子(海上技術安全研究所国際連携センター)
開催挨拶 渡辺美代子(科学技術振興機構)
趣旨説明 大倉典子(芝浦工業大学)
10:20-11:45 セッション1
「技術開発動向とモビリティサービス」司会 大倉典子(前掲)
(1)官民ITS構想・ロードマップについて平井淳生(内閣官房)
(2)モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)への期待 須田義大(東京大学)
(3)ロボット分野の自動運転 淺間一(東京大学)
(4)航空機における分野の自動運転の変遷と展望 鈴木真二(東京大学)
(5)鉄道における「自動運転技術」の動向と自動車における考え方の比較 古関隆章(東京大学)
(6)ロボット、航空機、鉄道、船舶分野の自動運転-自動運航船の動向 宮崎恵子(前掲)
質疑応答
11:45 昼休み
13:15-14:30 セッション2
「医学・看護学からみた運転支援への期待」司会 鎌田実(東京大学)
(7)認知症の人と家族にとっての運転 太田喜久子(日本赤十字看護大学)
(8)高次脳機能障害と運転 藤井幸彦(新潟大学)
(9)服薬中の精神疾患患者の運転支援 尾崎紀夫(名古屋大学)
質疑応答
14:30 休憩
14:45-16:45 セッション3
「完全自動運転をめぐる人文・社会科学における取組」司会 佐倉統(東京大学)
(10)自動運転と社会倫理 遠藤薫(学習院大学)
(11)自動運転に対する受容的態度とは 唐沢かおり(東京大学)
(12)自動運転と法律 松宮孝明(立命館大学)
(13)自動運転の経済学的考察 三好博昭(同志社大学)
質疑応答
16:45クロージング 永井正夫(日本自動車研究所)
-以上-
このフォーラムは日本学術会議のHPに8月ごろには出ていた。
申込をいつ行ったか記録がないが、申込したのは覚えている。
当日朝は雨が降っており、日本学術会議の1階の入り口の傘立てに、傘を入れてロックをしたように思う。
行く途中のコンビニで、おにぎり、500mlのペットボトルのお茶と毎日新聞を買って行った。
受付で名前を言うと、参加名簿で確認して、資料一式をくれた。
開催挨拶は科学技術振興機構(JST)の渡辺女史が行った。
シンポジウムとフォーラムがあって、フォーラムは議論したい時に開催する。
自動車、自動の分野で100年の改革となる。
高齢者の事故、あおり運転等が起きている。
どのような形で社会の中に入っていくか。
人間には移動の本能がある。
昔は食料を求めて移動した。
今は健康のために歩いたり走ったりする。
マイカーが増え、地方では一家に1台、一家に2台あって子どもが巣立つと1台でよくなる。
運転機能は衰える。
渡辺女史は縦列駐車が苦手である。
カーシェアリングもある。
過大な期待を持っている専門家もいる。
シートベルトは男性中心に設計されている。
シートベルトをしていて死亡するのは女性が多い。
少子高齢化社会に向かう。
ドライバー不足になる。
技術開発だけで解決できる問題ではない。
趣旨説明は芝浦工業大学の大倉女史が行った。
日本学術会議の中の「自動車の自動運転の推進と社会的課題に関する委員会」で議論してきたことを議論したい。
官民のITS構想がある。
自動運転のあるべき姿を第三部の工学系だけでなく、第一部の人文社会科学、第二部の医学も含めて議論したい。
昨年7月に安全工学シンポを行った。
その資料はアマゾンでも買える。
午前は第三部の工学系に関する講演、午後からは第二部医学系、第一部社会科学系の講演であった。
(1)では「官民ITS構想・ロードマップについて」というタイトルで内閣官房の平井氏が講演した。
官民ITS構想ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)は省庁横断的なものである。
2020年までにいくつかのことをやる。
高速道での自動運転がその例である。
日本中どこでも、というのではない。
社会的に意味があるかどうか、である。
ギアチェンジがオートマチックになった。
車の高度化である。
今はMaaSである。
(Mobility as a Service: MaaS は、ICT を活用して交通をクラウド化する。公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を1つのサービスとしてとらえる。シームレス<継ぎ目のない>につなぐ新たな「移動」の概念である。利用者はスマートフォンのアプリを用いて、交通手段やルートを検索、利用し、運賃等の決済を行う例が多い。<要するに電車やバス等の乗り継ぎをスムーズにする体系:筆者注>)
各省庁の集約を図っている。
従来型の交通は維持しにくくなっている。
輸送の効率化や国際競争力等が悩ましい点である。
国際競争に勝ち抜けるか。
自動運転で事故が起こっている。
安全は最優先である。
自動運転のレベル1~5まである。

図1 自動運転のレベル図
狙っているのはレベル2~3である。
操縦の主体は誰か。
レベル2までは運転者である。
レベル3ではシステムであるが、緊急時は運転者である。
レベル4では路肩に止めてハザードランプを点ける。
ODD(地域限定)も考えられている。
高速道路は自動で高速出る時に自動OFFとする。
バスやタクシーの自動化も考えられている。
遠隔監視で行うもので、ゆりかもめ等では既に実施されている。
制度整備や車両の安全確保が重要である。
交通ルールも変更が必要である。
現在は運転中スマホは違反である。
事故が発生した時の責任も問題となる。
自賠責は維持する。
ダイナミックマップが必要である。
国とメーカーと利益相反のところもある。
協調領域を探りながら進めていく、説明した。
(2)では「モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)への期待」というタイトルで、東京大学の須田氏が講演した。
生産技術研究所にいた。
そこでサステナブルな交通システムを研究していた。
省エネ、低環境負荷、安全・安心なシステムであり、Society5.0につながる。
(Society5.0:Iot等を通じてビッグデータを収集し、それをAIで解析して、現実の社会を効率的に変革するものであり、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱された。<筆者注>)

図2 Society5.0の一例
MaaS(交通システム変革)のコンセプトもこの一環である。
自家用車、バス、タクシー、電車を一元的に取扱うもので、フィンランド発の考え方である。
Uberのカーシェア(車の共有)、ライドシェア(相乗り等)等、自動車の使い方が変わってきている。
自動車のCASE(C:コネクテッド、A:自動運転、S:シェアリングサービス、E:電気自動車)もある。
安全運転支援もある。
自動化への課題もある。
エコシステムの確立も必要である。
自動運転バスの運行もある。
今は助手席に人が乗って、公道を走っている。
海外でも行われている。
トラックの自動化ではNEDO(エネ機構)がトラックプロジェクトで4m間隔で4台のトラックを自動運転で運行させた実験に成功している。
この背景にはトラック運転手の不足がある。
新東名でレベル1-5までの実証実験を行う。
レベル2までは人間が運転する。
レベル3以上は無人である。
自動運転の目的は安全性の向上、負荷軽減、省エネ、高齢者支援、モビリティ社会の変革などである。
レベル4は地域限定で無人自動運転サービスが考えられている。
究極のシナリオとして、物流、移動、オーナーカー、モビリティオペレーションの変革、トヨタのe-パレットコンセプト(次世代電気自動車)等がある。
Maasはモビリティサービスとして、あらゆる業界を巻き込むエコシステムである、と説明した。
(3)では「ロボット分野の自動運転」というタイトルで、東京大学の淺間氏が講演した。
ロボット技術とセンシングで環境構造化、環境知能化、ロボットの知能化が進んでいる。
自動で有軌道、自律化で無軌道、無人化、遠隔操作等がある。
移動ロボットとしてAGV、フォークリフト、自動金庫、掃除ロボット、ルンバ、フィールドロボット、芝刈りロボット等がある。
(AGV:Automatic Guided Vehicle<無人搬送ロボット>)
ドローンの自律化もある。
SLAMという技術がある。(SLAM:Simultaneous Localization and Mapping<自己位置推定と環境地図作成、掃除ロボットや自動運転システムに利用>)
これを利用して、人と共存できるロボティクスを開発する。
ロボットベンチャー企業のZMPと共研を行っている。
スマホゾンビ(歩きスマホ)は想像できない動きをする。
これを考えると、安全目標の設定が必要になる。
安全とは、許容できないリスクのないことである。
ただ、リスクを突き詰めていくと、コストがかかる。
ALARPの考え方が必要になる。
(ALARP:"as low as reasonably practicable"の略で合理的に可能な限り低くする)
ロボットに必要な知能は何か。
多様な要求に応える順応性が必要となり、AIの搭載も考えられる。
しかし、ブラックボックス化してしまうことや移動の本能運動主体感、ドライバー感等に配慮が必要である、と説明した。
(4)では「航空機における分野の自動運転の変遷と展望」というタイトルで東京大学の鈴木氏が講演した。
航空機の自動運転ということでは、航法(ナビ)制御がある。
人が飛ぶことの要求は昔からある。
飛べば次は手放しの運転になる。
ジャイロを利用した操縦もある。
第二次世界大戦後に発達した。
電波を捉えて経路がわかる慣性航法やGPSによる衛星航法も出来ている。
自動操縦を阻む原因は気流、事故・故障、空域混雑、バードストライキング(鳥がエンジンにぶつかる)がある。
自動化と人間系に起因した事故に、入力ミス、1994年の中華航空のパイロット操縦ミス(自動操縦モードと手動操縦の切替欠陥)、空中衝突等がある。
無人航空機の自動飛行等が考えられている。
ウーバーの空中自動車やドローンの活用等もある。
自律飛行の課題として、人間・機械系のインターフェース、トレーニング、操縦ライセンスは機種毎、システム故障や不具合のコントロール、ソフトウェアの認証、セキュリティ、事故調査制度の導入等がある、と説明した。
(5)では「鉄道における『自動運転技術』の動向と自動車における考え方の比較」というタイトルで、東京大学の古関氏が講演した。
鉄道の自動化は簡単である。
日本は鉄道先進国である。
ホームドアはなく自動化が進んでいる。
お客が落ちたらどうなるか。
6月に横浜で逆走事故があった。
鉄道の無人化の歴史は1981年の神戸のポートライナーに始まる。
無人運転であった。
国際基準としては、運転手がストップ解除してもストップすることが必要である。
ドライバーレス(レベル3)を日本は目指している。
海外を追う展開になっているが、20年遅れている。
これは運転手が優秀であったこと、儲かる路線が多かったこと等がある。
東芝、日立、三菱は海外競争力を持たない、と説明した。
(6)では「ロボット、航空機、鉄道、船舶分野の自動運転-自動運航船の動向」というタイトルで宮崎女史が講演した。
自動運航船がある。
計画的に航路を進む。
妨害をすり抜ける。
東京湾は船が多い。
通信やセキュリティ、輸入貨物の43%を担う必要がある。
いろんな機関が集まって海事クラスターを作っており、海外競争力も高い。
日本には島が7千個、そのうち人が住むのは400個、500人未満の住人が住むのは300余りで、生活の足の確保が問題である。
将来の自律型海上輸送システムにおいて、国内プロジェクトができている。
ISO化でも世界をリードしている。
海外の自動運航船ではロールスロイスのフィンフェリーが世界初の自動運航船を実現している。
これらの技術開発にはAI等の適用も考えられている、と説明した。
ここで、午前の部のまとめの質疑応答があった。
私は昨年9月の北海道地震でのブラックアウト(全停電)の場合、どうなるかと聞いたが、誰がどう答えたか覚えていない。
また、他の人の質問では、SDGs(国連の持続可能な開発目標)との関連、サイバーセキュリティのことを聞いたように思うが、回答は不明である。
この後、昼休みということで、私は談話室のようなところで、おにぎりを食べた。
午後からのセッションは医学、続いて社会科学系の講演であった。
まず「医学・看護学からみた運転支援への期待」というセッションテーマがあった。
(7)では「認知症の人と家族にとっての運転」というタイトルで、日本赤十字看護大学の太田女史が講演した。
認知症が増えてきた。
数年前のデータで460万人で、7人に1人が罹る。
2025年には5人に1人と推定されている。
そうなると正しい判断ができなくなる。
安全運転が困難になる。
免許証は返納して欲しいと家族は思っているが、本人は嫌なケースが多い。
返納すると仕事ができなくなる、通院できない、家に閉じこもる、行方不明・徘徊が多くなる。
在宅で認知症介護の家族に全国47支部でアンケート調査した結果では、64%がアルツハイマー型認知症、移動は徒歩64%、自動車30%で山間部に多い。
事故経験35%、物損事故34%、返納13%、返納は本人が納得しない。
生活に困ることが大きい。
自動運転に期待しているが、安全性に不安もある、と説明した。
(8)では「高次脳機能障害と運転」というタイトルで、新潟大学の藤井氏が講演した。
脳障害の例としては、交通事故等で脳卒中や脳の外傷等の後遺症としての事例がある。
脳機能のマッピングをMRIやCT等で観察できる。
脳機能再構築のためにリハビリ等が行われる。
臨床応用として、幹細胞移植による神経再生に基づく機能回復やブレイン・マシン・インターフェース技術(BMI)を利用したことが行われている。
このBMIの例では、脳の信号を捉えてその信号によりロボットや身辺の機器を操縦するタイプや人工内耳や人工視覚等感覚入力を信号に変換して脳に伝え、失われた感覚を再構築するタイプ等がある。
これらの脳障害を持った患者が社会復帰する上で、自動運転との共存を図るのは大事だが、性急に進めては難しい問題が多い、と説明した。
(9)では「服薬中の精神疾患患者の運転支援」というタイトルで、名古屋大学の尾崎氏が講演した。
服薬患者はうつ病の人が多く、100万人以上と思われる。
躁うつ病の人も、統合失調症の人もいる。
病気が改善して、生活の必要上自動車の運転をしてもよいか、と尋ねられると、医師は言葉に窮する。
精神病者は法律上運転できない、とされているからである。
てんかんの患者が子どもをはねたことがある。
うつ病患者の運転支援でオランダの実車試験の例がある。
近年運転シミュレーターを使った評価が注目されており、このシミュレーターの標準化が期待される、と説明した。
ここで、医学でのまとめの質疑応答があった。
質問があったように思うのだが、医学系はイマイチ関心が薄く、メモにもあまり書いていなかったが、一つユニバーサル・デザイン(UD)のことを質問していたようだ。
脳障害だけでなく、車椅子の人や視覚障害の人にとっての利用という自動運転について聞いたように思うが、専門外、というような答えだったと思う。
10分の休憩の後にセッション3の「完全自動運転をめぐる人文・社会科学における取組」が行われた。
(10)では「自動運転と社会倫理」というタイトルで、学習院大学の遠藤女史が講演した。
社会倫理が専門である。
ちょっと前に宮城県角田市に行った。
阿武隈急行が通っている。
高齢化が進んでいる。
家を継ぐものがいない。
路線バスが次々廃止されている。
タクシーが15、6台ある。
地域に必要なものである。
交通の便利さということから考えると、自動運転は役に立つ。
日米中の比較では、中国は積極的で米国は消極的である。
どんどんすばらしい技術を開発して欲しい。
普通の人に聞いても無駄か?
普通の人の考え方が重要である。
技術と倫理の問題では、ロボット三原則がある。
サンデルのトロッコ問題もある。
暴走するトロッコがあり、それに乗っている人にはブレーキが利かず、ハンドルだけが利く。
前方に5人の作業員がおり、このまま進むと、5人は死ぬ。
ハンドルを切ると、そこには1人の人がいる。
1人を死なすか、5人を死なすか、という問題である。
普通に考えると、5人より1人を死なす選択となるのであろうが、倫理は一貫しない。
5人が高齢者、1人が若者だったら、とか、1人が自分の親しい人だったら、と仮定すると、答えが変化するかもしれない。
技術と社会の共進化が望ましい、と説明した。
(11)では「自動運転に対する受容的態度とは」というタイトルで、東京大学の唐沢女史が講演した。
自動運転の社会的な受容については、拒否すれば実装が難しくなる。
新しい技術の技術受容に関する一つのモデル Technology Acceptance Model(TAM)を紹介する。
注目するのは、技術導入のリスクとベネフィット認知及び技術に対する直感的印象である。
レベル3とレベル5の調査結果からは、自動運転技術のベネフィットを提供することで、受容されやすい。
しかし、リスクから目をそらすのはよくなく、「正しく怖がる」ことも必要である、と説明した。
(12)では「自動運転と法律」というタイトルで、立命館大学の松宮氏が講演した。
刑事訴訟法が専門である。
AIの刑事責任は問えるか。
問題の所在は関わる人の刑事責任になる。
社会が許容できる危険水準として、年間1万人の交通事故死があるのであれば、年間2千人の死亡であれば許容できるか。
AIの正当防衛はあるか?
自然人の法的責任として、レベル3の自動運転でスマホOKになった。(今年5月の法改正による。)
事故主体は運転者、所有者、メーカー、プログラム製作者、データ提供者、国、地方自治体等が考えられる。
緊急時のプログラムの適切性はどうか?
トロッコ問題で1人を犠牲にして5人を助けるか?
自己犠牲プログラム(ガードレールにぶつける)もあり得るか。
9.11のような飛行機は撃墜しようというドイツの法律もある。
運転免許証は必要か?公共交通は?タクシーは?
事故責任とか黙秘権はどうか、等を説明した。
(13)では「自動運転の経済学的考察」というタイトルで、同志社大学の三好氏が講演した。
パッシブセーフティとアクティブセーフティが指摘された。
前者はシートベルトなどの機器によるものである。
後者は自動運転による事故発生の減少を目指すものである。
年間の交通事故による損失額は約6兆円(H21)で、そのうち金銭的な損失は約4兆円、非金銭的な損失が約2兆円である。
走行距離数が増えると、事故による損失が増える。
これを防ぐには自動運転は必要ではないか、と説明した。
人文科学・社会科学の部門での質疑応答があった。
私は、自動運転によるタクシーや電車・バスの運転手による打ち壊しはないか、レベル1~5までのレベルの混在という状態はないのか、と聞いた。
前者は産業革命の時に英国でラッダイト運動という機械打ち壊し運動が起きたが、日本人はおとなしいのでそういうことはないだろう、とのことだった。
後者については、回答者が戸惑っている風で、そのような混在はないのではないか、というような曖昧な答えだったと思う。
以上でこのフォーラムは終了した。
自動運転技術はすばらしい技術と思うが、防災の観点(地震や津波等の対応、ブラックアウト<停電時の信号機機能喪失>)、利用者の病気の時(脳卒中、脳梗塞、心臓麻痺、内臓の突発的な病気<盲腸等>等)の対応等、世界であまり問題になっていないことでも、日本で重大なことになることの対応システムが余分に必要になると思う。
これからもこうしたシンポ等があれば、参加して自動運転の機能向上の一助にでもなれば、と思う。
<学術フォーラム>
自動車の自動運転の推進と社会的課題について
-移動の本能と新しい社会のデザイン-
1.開催趣旨:
未来投資会議やIT国家戦略などに沿って、政府をあげて自動運転に係わる研究開発や制度設計の取り組みがなされており、産業界や地方自治体から熱い視線が注がれている。
日本学術会議では、社会的インパクトの高い課題であるという認識から、人文・社会科学系、医学・看護系および理工学系の学識経験者を交えた課題別委員会「自動車の自動運転の推進と社会的課題に関する委員会」を発足し、技術的な観点に留まらない社会的課題として広く議論を重ねてきた。
そこで本委員会としては、広く学術に関心を持つ方たちと、人類の移動の本能という観点を交えながら、社会制度や市民生活の係わり方や社会受容性について広く議論する場を企画した。
セッション1では、技術開発とモビリティサービスの将来展望について、セッション2では医学・看護学から見た運転支援系への期待について、セッション3では完全自動運転に向けた人文・社会科学的な課題について、幅広く議論したい。
2.日時:2019年(令和元年)9月16 日(月・祝)10:00-11:45及び13:15-17:00
3.場所:日本学術会議講堂
4.参加費:参加無料、ただし事前申込のこと。
5.定員:300 名
6.主催:日本学術会議(「自動車の自動運転の推進と社会的課題に関する委員会」)
7.後援:内閣府、文部科学省
8.協賛:ITS Japan、うつ病学会、応用哲学会、科学基礎論学会、科学哲学会、計測自動制御学会、研究・イノベーション学会サービス学会、システム情報制御学会、情報処理学会、神経精神薬理学会、人工知能学会、生物学的精神医学会、精密工学会、電気学会、電子情報通信学会、日本グループ・ダイナミックス学会、日本機械学会、日本社会心理学会、日本心理学会、日本船舶海洋工学会、認知症の人と家族の会
9.プログラム:
10:00-10:20 司会 宮崎恵子(海上技術安全研究所国際連携センター)
開催挨拶 渡辺美代子(科学技術振興機構)
趣旨説明 大倉典子(芝浦工業大学)
10:20-11:45 セッション1
「技術開発動向とモビリティサービス」司会 大倉典子(前掲)
(1)官民ITS構想・ロードマップについて平井淳生(内閣官房)
(2)モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)への期待 須田義大(東京大学)
(3)ロボット分野の自動運転 淺間一(東京大学)
(4)航空機における分野の自動運転の変遷と展望 鈴木真二(東京大学)
(5)鉄道における「自動運転技術」の動向と自動車における考え方の比較 古関隆章(東京大学)
(6)ロボット、航空機、鉄道、船舶分野の自動運転-自動運航船の動向 宮崎恵子(前掲)
質疑応答
11:45 昼休み
13:15-14:30 セッション2
「医学・看護学からみた運転支援への期待」司会 鎌田実(東京大学)
(7)認知症の人と家族にとっての運転 太田喜久子(日本赤十字看護大学)
(8)高次脳機能障害と運転 藤井幸彦(新潟大学)
(9)服薬中の精神疾患患者の運転支援 尾崎紀夫(名古屋大学)
質疑応答
14:30 休憩
14:45-16:45 セッション3
「完全自動運転をめぐる人文・社会科学における取組」司会 佐倉統(東京大学)
(10)自動運転と社会倫理 遠藤薫(学習院大学)
(11)自動運転に対する受容的態度とは 唐沢かおり(東京大学)
(12)自動運転と法律 松宮孝明(立命館大学)
(13)自動運転の経済学的考察 三好博昭(同志社大学)
質疑応答
16:45クロージング 永井正夫(日本自動車研究所)
-以上-
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