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<<   作成日時 : 2018/07/22 15:18   >>

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 元素合成セミナーに参加した。

 今年の4月25日に原子力学会より、掲題のセミナーの案内が来た。
 7月の開催なのに、4月はちょっと早すぎるだろうと思った。
 でもその謳い文句が、「宇宙と原子炉の錬金術」である。

 宇宙と聞くとちょっと想像の翼が広がる。
 錬金術と聞くと、中世のまやかしと言えるものだが、原子炉の錬金術となれば、現代の錬金術にはまやかしでないリアルな現実の技術の裏打ちがある。

 また、今年の2月初めにネット講座gaccoで観測的宇宙論の講座を受講していた。
 宇宙の広がりに関する興味もあったのだが、別の観点の興味も持った。
 元素の創造に関する新しい説がその時に既に出てきたからである。

 ここで、元素の成り立ちを説明しておく。
 元素は原子番号1番の水素から92番のウランまでこの地球上に存在する。
 この元素たちはどうやってできたのか。
 太陽の中で起きている核融合では水素と水素の核融合反応で、ヘリウムと膨大なエネルギーができる。
 この核融合をどんどん行っていけば、ウランまでたどり着くか、というと、そうではない。
 核融合によって、結合エネルギーの最大な原子番号26、質量数56の鉄までできるが、それ以上の元素に関しては核融合では説明できないのである。

画像

         図1 原子核の結合エネルギー

 つまり、鉄以上の元素は核融合ではできないことになる。
 ではウラン238等の質量数の大きい元素はどうやってできたのか。
 どうも今年のgaccoの講座を聞いた知識では、恒星同士の合体等によるらしいことがわかってきたのである。
 つまり、地球上の元素は核融合に関係した元素と、それ以外の方法でできた元素の混合状態にあるという説が有力らしい。
 つまり、地球上の元素の起源が宇宙にあるということである。
 末尾に関連した情報を載せるので、そちらとこの情報を比較するのがいいかもしれない。

 ただ、この案内メールで参加希望をすぐに出したが、何せ7月開催ということで忘れないように、と思っていた。 一応この開催案内メールは7月16日のセミナー終了後まで消さずに残しておいたので、何とか忘れずにいられたのである。

 当日は暑い日だった。
 途中でペットボトル500mL1本買い、それをすぐに飲みながら東京都市大学に向かった。
 東京都市大学の会場は東急大井町線の尾山台から歩いて15分ということである。
 地図で確認すると、駅を降りて真っ直ぐの道であった。
 家からは1時間半くらいかかった。

 会場はエアコンがガンガン利いていて、寒いくらいであった。
 びっくりしたのは、このセミナーは学生も参加していることであって、どうもスマホかPC端末で出席確認をしているらしかった。
 この日は海の日で祭日なので、普通大学はお休みのはずである。
 また、原子力学会のシニアたちも参加しており、私はそのうちの2人と知り合いで、セミナー前にちょっと話をした。

 プログラムは末尾に添付する。

 (1)では「宇宙と物質の誕生」というタイトルで、長田氏が講演した。
 ビッグバン宇宙のプロセスとして、始まりの3分45秒までの話をするということであった。
 宇宙の創生の最初の3分というのは本も出ている類の宇宙研究者にとっての常識らしかったが、会場にいる人の何人がわかっていたことやら、である。
 現代の宇宙観はハッブルによる光のドップラー効果を基に、恒星の赤方偏移から宇宙年齢を推定したことに始まるようであった。
 また、アインシュタインの重力理論で幾何学と重力を結び付けた話、その話の延長戦上において、アインシュタインの理論を発展させて、フリードマンが膨張宇宙論を提唱した。
 そこからはフリードマン方程式等そんな数式に馴染みのない人に向けて、平坦な宇宙、閉じた宇宙、開いた宇宙等の話を滔々と話しだした。
 多分ほとんどの人がついていけなかったと思う。
 私もgaccoの観測的宇宙論を習っていたから多少なりとも数式の意味らしいことは想像できたが、多分20時間分くらいの知識を40分に凝縮するということに無理があるのだろうと思った。
 最後の方で、何とか水素HからヘリウムHeらしい物質ができるということで説明を終った。
 私は反粒子がこの宇宙でなぜ残っていないか聞こうと思ったが、時間オーバーで終わってしまった。

 (2)では「宇宙での元素合成」というタイトルで、西村氏が講演した。
 138億年前に宇宙誕生を引き継いだ形を取った。
 (1)ではH、Heまで出来た。
 しかし、私たちの身体は窒素N、炭素C、酸素OやNa、Mg、K等のミネラルで出来ているが、これらはいつ出来たのか、金Au、白金Pt、ウランUはいつどこで合成されたか。
 恒星間の核融合による元素合成で、リチウムLi、ベリリウムBeまでしかできない。
 He-4が3個集まると炭素C-12ができる。
 こういう形の合成は太陽の12倍くらいの恒星で可能らしい。
 こういう方法で鉄Feまではできるが、それ以上の元素は別の合成方法が考えられている。
 それは2つの中性子捕獲(遅い過程<s過程>と速い過程<r過程>)である。
 簡単に言えば、鉄Feが中性子を吸収してベータ崩壊すると、鉄の原子番号の1個上のコバルトCoができる。
 そのコバルトCoに中性子を吸収させると、ベータ崩壊して1個上のニッケルNi、というように、どんどん原子番号の上の元素ができるらしいのである。
 こうした反応は赤色巨星でできるが、中性子をいっぱい吸収できる中性子星でも可能らしい。
 今はこうした話の延長戦上として、理研のニホニウムNh(原子番号113)等を合成しているが、どこまでできるかが話題である。
 原子番号120くらいで、安定な元素ができるマジックナンバー等があるかもしれないという。

 私は質問で、地球上ではLiや金等が均等に分布していなくて偏在しているのは、地球に降り注ぐ彗星のようなものか、と聞いた。
 あまりはっきりした回答はなかった。

 (3)では「水銀から金をつくる『原子炉錬金術』」というタイトルで竹澤氏が講演した。
 錬金術というのは中世におけるまやかしであったが、化学反応で他の物質から金はできないことはすでに現代科学で知られている。
 今は元素の中性子吸収という(2)の延長戦上で、金を作ることが可能である。
 資源小国の日本で元素戦略が既にスタートしている。
 モノづくりで稼ぐ日本を目指している。
 希少金属REは中国に偏在しているから、RE以外で代替できるモノづくりを目指している。
 ここでは金Auより原子番号が1個下の水銀Hgを金に変える錬金術を原子炉で行うことを目指す。
 ターゲットとなるHg-196は同位体比0.15%と低い。
 これに中性子を吸収させると、ベータ崩壊してAu-197となって金ができる。
 今インドネシアで原子炉錬金術用に30MWの研究炉を作ろうと計画しているらしい。
 日本でできないのは、原子力規制委員会の厳しい審査をクリアして新原子炉を作るのは大変だから、外国でやろうということなのかもしれない。

 私は質問で、Hg-196は0.15%と少ないので、これを濃縮して100%とすることは考えないか、Hgの中で一番多い同位体Hg-199が妨害同位体として働くのではないか、できたAu-197の放射能は大丈夫なのか聞いた。
 濃縮はコストがかかりすぎて、金を作る価値がなくなる。
 Hg-199は妨害成分としてあるので、何らかの対処は必要かもしれない。
 できたAu-197の放射能は大丈夫だが、他のHg核種が中性子をたくさん吸収すると、そこで半減期の長い核種ができる可能性があるので、それには注意が必要、との回答だった。

 (4)では「放射性廃棄物を短寿命化する核変換技術」というタイトルで、高木氏が講演した。
 例えばヨウ素I-129は何千万年という半減期であるから、これに中性子照射して短半減期核種にする等の研究が行われている。
 六ケ所の再処理施設ではすでに2兆円が費やされているがまだ稼働していない。
 ウランの核分裂では、クリプトンKrとバリウムBaというような質量数130と質量数90くらいの元素の2つの山になる放射性廃棄物(俗にいう「死の灰」)ができる。
 また、ウランが中性子を吸収して、ネプツニウムNp、プルトニウムPu、アメリシウムAm、キュリウムCm等の超ウラン元素ができて、これらも廃棄物処理する時の厄介な生成物である。
 これらの廃棄物を処理するために軽水炉はダメで、もんじゅのような高速炉は望みがあるらしいが、もんじゅ廃炉で先行きの見通しができにくいようであった。

 私は質問で、ガンマ線で励起して、もう一つのガンマ線で光核反応は可能ではないかと聞いた。
 即座に高木氏は、その考え方はずっと昔に考えられていて、すでにエネルギーバランス(原発で発生するエネルギーより多くのエネルギーが必要になる)の点で捨てられているとの回答だった。
 どうも従来の10MeV以上の光核反応のイメージを捨てられていないようであった。
 このことは逆に私のダブルガンマ線理論の一番誤解されやすい点かもしれないと思った。
 確かに10Mev以上の光核反応ではおそらくエネルギーバランスが成立しないであろう。
 でも、私の仮説はkeVオーダーのエネルギーなので、可能性はあると思う。
 ただし、このエネルギーバランスは検討してみないといけないかもしれない。

 今回のセミナーは鉄以上の元素の生成が核融合以外の方法でしかできないし、その方法がエネルギーの小さいs過程の中性子吸収と、エネルギーの大きいr過程による中性子吸収の2通りの方法があるということでは興味が持てたものの、その他の講演はあまり成果がなかったように思う。

 しかし、今後もこのようなセミナーがあれば、参加して、私のダブルガンマ線による廃棄物消滅法をブラッシュアップしていきたいと思う。


<都市大セミナー「元素合成 〜宇宙と原子炉の錬金術〜」>
 1.日時:2018年(平成30年)7月16日(月)13:20-17:00(海の日)
 2.場所:東京都市大学 世田谷キャンパス 新6号館61C多目的教室
      (東急大井町線「尾山台」駅より徒歩15分)
 3.対象:一般、大学生・教職員、高校生(理系)
 4.定員:約150名(事前申し込み不要)
 5.主催:東京都市大学
 6.プログラム:
  第一部 (13:20-15:00)
   開会の挨拶(工学部原子力安全工学科 高木 直行 教授)
  (1)宇宙と物質の誕生 (共通教育部 長田剛教授)
  (2)宇宙での元素合成 (共通教育部 西村太樹准教授)
   休憩(10分)

  第二部 (15:10-16:50)
  (3)水銀から金をつくる「原子炉錬金術」(工学部原子力安全工学科 竹澤宏樹講師)
  (4)放射性廃棄物を短寿命化する核変換技術(工学部原子力安全工学科 高木直行教授)
   閉会の挨拶(共通教育部 長田剛教授)

 7.セミナーの概要紹介
 私たちの体はその約3分の2が水(酸素+水素)であり、その他、炭素、窒素、カルシウムといった元素からできています。
 私たちの母なる地球は、鉄、酸素、ケイ素、マグネシウムなど比較的重い元素で構成され、この4元素だけで地球質量の約90%を占めます。
 さらに地球には、レアアース(希土類元素)や原子炉燃料となるウランやトリウムといった極めて重く希少な元素も存在しています。
 これらの元素はどこから来たのでしょうか?

 いかなる物質も138億年前のビッグバン以降に宇宙のどこかで誕生したに違いないはずです。
 特に、鉄より重い元素の起源は、物理学の世界でも長きにわたり謎のままでした。
 それが近年の天体物理学や原子核物理学の進展によって明らかにされつつあります。

 本セミナーでは、宇宙で生じた「元素合成」に焦点をあて、その原理や宇宙/地球を構成する元素組成について解説するとともに、「元素合成」の原理を応用して、人工的に希少金属を創り出したり、放射性廃棄物を消滅させたりする「原子炉錬金術」の最前線について紹介します。
   −以上−

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