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zoom RSS がん死ゼロシンポジウムに参加

<<   作成日時 : 2018/06/17 21:35   >>

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 がん死ゼロシンポジウムに参加した。

 がん死ゼロ健康長寿社会のシンポジウム(6/9開催)の案内が6月5日に来ていたのを、仙台の義父宅から東京の自宅のメールをチェックしていて知った。
 
 こんな近い日に開催案内メールって何?と思ったが、参加申込が少なかったので、慌てて原子力学会宛に依頼したのかな、と思う。

 私はどうも「がん」という用語に過剰に反応してしまうようで、すぐに仙台からメールで申し込みした。
 
 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(量研機構、またはQST)という長い名前の元は放医研と原子力機構のプラズマ核融合関係の部門が統合して2年前くらいにできたものと記憶している。

 6月9(土)は晴れていた。
 開催場所は東西線の日本橋駅のすぐ近くというので、地上に出て見渡したら、駅の隣のビルだった。
 駅でペットボトル500mL1本を買って行った。
 ビルの7階だったので、エレベータを降りてすぐ非常口を確認しておいた。
 帰りにはエレベータを使わずに階段で降りた。できるだけエレベータを使わないようにしている。
 参加者は100人くらいはいただろうか。
 
 (1)の基調講演は「がん死ゼロ健康長寿社会実現に向けて」というタイトルで平野氏が講演した。
 平野氏はこのシンポジウムの概要を話したのであるが、彼自身ががんの体験者であった。
 人間ドックで2007年に肺がんが見つかった。
 すぐに手術して成功したのだが、全く人生が変わった。
 右の肺を60%切除し、3週間入院、3か月のリハビリで5年生存率もそろそろクリアしている時期である。
 こうした経験からみると、今回の発表では肺の切除は不要、1日で治療、リハビリ不要の技術はすばらしいものと考える。

 量研機構QSTは核融合、水素、がんを3本の柱としている。
 がんの罹患率は日本で100万人/年、世界で1,400万人/年である。
 日本人の平均寿命は80歳だが、五体満足でいられる健康寿命は70歳くらいで10年くらいは何らかの病気を抱えて生きていることになる。
 この10年の差を縮めたい、何とかゼロにしたい。そのためにQOL(Quality Of Life:生活の質)を維持したがん治療が必要である。
 がん治療には手術、放射線療法、抗がん剤等があるが、最近は重粒子線を使った放射線治療技術が発展している。
 重粒子線としてはHe-4(ヘリウム)、C-12(炭素)等がある。
 QSTの重粒子線がん治療装置はHIMACという。
 1993年に開発された。
 2価のC-12イオンを光速の80%くらいまで加速し、がん細胞に照射する。
 1994年からHIMACによる治療がスタートし、今まで他の治療法で成果がでなかった患者11,000人に治療してきた。このHIMACの良さは短期で治療が可能であり、働きながらの治療が可能なことである。
 ハイリスクの前立腺がんにも有効で4年生存率91%であり、すい臓がんにも2年生存率60%である。
 重粒子線治療はなぜ良いか。
 ピンポイントで患部に照射できることであり、Braggピークという放射線特性を活かした線量集中性にある。
 免疫療法はアクセルとブレーキ、化学療法はブレーキの役目がある。
 放射線療法はこれらとは別の役目を持つ。
 がんの転移にはなかなか効果が上がらない。
 ここに核的アイソトープ療法がある。
 これは薬剤ががんに集まるという性質を利用して、この薬剤の中に放射性同位体としてのアルファ線放出核種を標識化合物のようにして送り込む技術も開発されている。(アスタティンAt-212等:アスタティンは周期律表での塩素やヨウ素の同族)
 群馬大学で60m×45mの装置があるが大型なので小型化に向けて研究が行われている。
 そのために超伝導磁石やマルチイオンを使うことを考えている。
 世界で10か所、日本で5か所であるが、米国では過去20年で失敗したトラウマか1台もない。
 ただ最近はキャンサームーンショット計画というしゃれた名前の計画が出てきている。

 今回紹介する量子メス、核的アイソトープ療法、免疫制御療法は画期的な技術である。
 QSTは治療実績の少ないすい臓がんを戦略がんに選定して、がん患者の0.2%の2,000人/年の治療を目指す。

 (2)特別講演「わが国のがん対策−これまでの10年とこれから」というタイトルで日本医学会会長の門田(もんでん)氏が講演した。
 広島の原爆は8/6、生年月日は8/8、長崎原爆は8/9であった。
 1978年に名神高速でハイドロプレーニング現象に遭遇した。
 1995年の阪神淡路大震災の時そこにいた。
 今年1月1日に不整脈が起因の脳梗塞になった。
 これらの経験から“人生すべからく真剣勝負”という心境になった。
 外科を専門としているが、進化するがん治療を紹介する。
 テレビを見て手術、モニターを見る。
 腹腔鏡手術による胃がん全摘出、4pの穴、普及するロボット技術、がんのゲノム治療、5年生存率は上がっている、ステージ4(手の打ちようがないと医師があきらめる最終ステージ)で2割、病気毎の死亡率では胃がんは下がっている、乳がん、子宮頸がんの死亡率は増えている。
 国立がんセンターは1962年に創設された。
 1981年にがん死はトップになった。
 第一期がん対策推進計画は2007年、第二期計画は2012年、第三期計画は2017年に始まった。
 情報格差、医療格差、医療不信、ドラッグラグ(外国で認可されている薬が日本で使えない)が問題としてある。
 医療の均田化がある。
 10年後には喫煙率半減したい。がんの死亡率を下げたい。
 医療不信の氷山の下に何があるか。
 がんサミットがH27にあった。
 我が国のがん対策はこれから虫の目、鳥の目、魚の目にならないといけない。
 国民の危機意識の共有化を図る。
 がんの罹患率は増え続ける。
 第三期がん対策推進計画の着眼点はがん予防である。
 リスク要因では男性の30%は喫煙である。
 他には感染症にも注意が必要である。
 
 ここから専門の講演であり、まず(3)「重粒子線がん治療の最新成果」というタイトルで、 辻氏が講演した。
 おおよそは(1)の平野氏が説明しており、重粒子線がん治療装置としてHIMACを使っていろんながん治療を行ったということである。
 資料としては辻氏の経歴紹介のみであり、実際には矢継ぎ早に前立腺がん等の治療を行ったことくらいしかわからなかった。
 おそらく特許にも絡むものであろうから必要以上の資料を出したくなかったと推定する。
 途中の画面上の資料で照射線量が50〜100Gyという数値が読めたくらいである。
 装置の小型化、1137例の治療実績、保険適用できるものがある、照射技術の高度化、スキャニング法、肝臓がんの高速スキャン、マルチイオン照射等ほとんど素人にわからせる内容ではなく、こんなすごいことをやっているという実績アピールのように受け取れた。

 (4)「量子メス治療装置の開発」というタイトルで、白井氏が講演した。
 X線、ガンマ線の治療装置は小さくてよいが、重粒子線は大型であるのが普及の壁になっている、今は60mくらいのものを10mくらいに小型化したい。
 そのためにレーザーを用いて、光の20%くらいまで加速する。
 その後の加速(光速に近い90%くらいまで上げていたかもしれない)は超電導の磁石を使った加速でコンパクト化を目指しているらしい。
 技術的な問題として、核的アイソトープ法、量子メス等を使って難治性の代表と言われるすい臓がん(すい臓は沈黙の臓器で肝臓と同じように自覚症状が出るような場合はほとんど手遅れらしい。)に適用しようとしている。
 3次元スキャニング照射、He-4,C-12,O-16という3種類の重粒子をミックスして使う(中心部分は質量の大きい酸素O-16,炭素C-12、周辺の正常細胞の近くはダメージの少ないHe-4を使う)等の方法を考えているらしい。

 (5)「分子イメージングと標的アイソトープ治療の最新成果」というタイトルで、東氏が講演した。
 あまりよくわからないものであったが、どうもブドウ糖等の一部に放射性核種をくっつけたものを投与して、がん部分に集積してそこで放射性核種(例えばフッ素F-18をくっつける)ががんを照射するものらしい。
 一度の薬剤投与でよく、投与量がマイクログラムという微量でいいらしい。
 放射性核種もF-18、C-11、O-15という従来作りにくかったRIを作れる装置ができたらしい。
 おそらくこの装置は世界でもあまり見かけない種類のもので、秘密の装置なのかもしれない。
 この他、銅Cu-64、アスタティンAt-211(塩素と同族) 等も作れるので、いろんな薬剤として使えるらしいが、詳細はよくわからなかった。

 この後(6)特別企画パネル討論「がん死ゼロ健康長寿社会に向けて」というタイトルで、佐々木氏、藤原氏、鈴木氏、高杉氏、坂下女史、鎌田氏が議論した。
 前立腺がんには重粒子線装置は要らない、他のガンは重粒子線が有効だ、保険適用の問題がある、日本の医療費は42兆円で、よい技術だが高額、費用対効果はどうか、一人350万円はどうなのか、乳がんに罹って11時間の手術をして再発して手術は無理と思われたが、重粒子線治療で治った、16回の治療が2回で済んだ、患者負担は大きい、家を売るか、QOLはどうか、保険適用を増やしたいが、なかなか理解してもらえない、等の意見があった。

 ただこの討論はゲストが意見を述べるだけで終わりであった。
 あまりに悔しいので、家に帰ってこのシンポジウムの事務局に以下の質問状を送っておいた。

 『講演の中で、辻先生のOHPでは重粒子線がん治療の線量は50-100Gyと書かれていました。(回数は覚えていません。)
 RBEを考慮すると、発がんに影響を与える100mSvをはるかに超える被ばくをすることになります。
 私は放射線業務従事者だったこともあり、中央登録センター登録の青手帳を持っていました。
 これで放射線業務従事者の被ばく記録を管理していました。
 ただこの中で医療被ばくの記録は例外として除外されていました。
 これは昔から課題とされていたことではありましたが、誰も猫の首に鈴を付けることをやろうとしませんでした。
 今年の6月7日の毎日新聞によると、厚生労働省が医療機関の被ばく線量の記録義務化を打ち出したので、その関連の話も出てくるかと思っていましたが何も説明はなかったように思います。
 質疑応答があるかと期待していましたが、一切なかったので、このメールで問合せしたいと思います。
 放射線業務従事者が持っている青手帳と呼ばれているのに合わせて、医療被ばくは赤手帳、放射線業務従事者でなおかつ医療被ばくをした人は両方の色を合わせた紫手帳のようなもので管理するようなシステムになるのかどうかお聞きしたいと思います。
 放射線とがんとの関係は確率論的な影響という意味で昔から議論されていますが、はっきりした結論は出ていないように思います。ICRPでもそうではないかと思います。
 また、放射線による遺伝子損傷の修復では、女子栄養大学の香川教授が2016年11月の原子力学会誌で栄養摂取による遺伝子修復について報告しています。
 がん治療した人の被ばく治療にもこの葉酸やビタミン摂取による遺伝子修復技術が適用可能かどうかも合せて伺いたいと思います。』

 でも、6月17日現在、回答は返っていない。

 どうもがん治療という言葉にだまされて参加してしまった気がする。
 でもがんに関しては母の胃がんによる死、父は脳腫瘍に罹った家系なので、どうしてもこのテーマから逃げるわけにもいかない。

 今後もこうしたタイトルのものがあれば、だまされることを覚悟で参加するつもりではいる。

<QSTがん死ゼロ健康長寿社会 シンポジウム>
 1.日時:2018年(平成30年)6月9日(土) 13:30〜17:30
 2.場所:TKP東京駅日本橋カンファレンスセンター ホール7(別館7階)
 3.主催:国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構(以下、量研機構と略)
 4.プログラム:
  12:30 開場
  13:30 開会挨拶   島田 義也(量研機構)
  13:35 来賓ご挨拶
  13:40 (1)基調講演「がん死ゼロ健康長寿社会実現に向けて」
         平野 俊夫(量研機構)
  14:20 (2)特別講演「わが国のがん対策−これまでの10年とこれから」
         門田 守人(日本医学会連合/日本医学会会長)
  15:00 休憩
  15:20 (3)重粒子線がん治療の最新成果   
         辻比呂志(量研機構 放射線医学総合研究所)
  15:40 (4)量子メス治療装置の開発
         白井敏之(量研機構 放射線医学総合研究所)
  16:00 (5)分子イメージングと標的アイソトープ治療の最新成果
         東達也(量研機構 放射線医学総合研究所)
  16:25 (6)特別企画パネル討論 「がん死ゼロ健康長寿社会に向けて」
         司会:佐々木経世(慶應義塾大学客員教授)
            藤原康弘(国立がん研究センター)
            鈴木康裕(厚生労働省)
            高杉豊(大阪国際がん治療財団)
            坂下千瑞子(日本対がん協会)
            鎌田正(量研機構 放射線医学総合研究所)
  17:25 閉会挨拶
          田島保英(量研機構 放射線医学総合研究所)
 5.口上:
 平素より国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構の業務に対し格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
  さて日本人の2人に1人が「がん」になると言われる現在、QSTは、量子メス(重粒子線治療)、標的アイソトープ治療、量子イメージングといった量子科学技術の研究開発を通じて、「がん死ゼロ健康長寿社会」の実現を目指しています。 
 QSTが目標とする『がん死ゼロ健康長寿社会』のコンセプト、研究成果を社会に広く知っていただくため、下記シンポジウムを6月9日(土)に開催いたしますのでご多忙とは存じますが、是非足をお運びいただきたくご案内申し上げます。
    −以上−

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