科学コミュニケ人材育成シンポに参加

 科学コミュニケ人材育成シンポに参加した。

 実は2/12に再生可能エネルギー国際シンポにも参加したのだが、こちらはあまり興味あるデータが得られなかったので省略する。

 科学コミュニケ人材育成シンポは2/14(土)に開催された。詳細なプログラムは末尾に添付する。
 科学コミュニケーションというのはあまりなじみはないが、以前NHKのEテレのサイエンスZEROの番組で、科学コミュニケータ6人が科学の面白さの説明を競争したコンテストがあった。 
  http://hitotsunoishi.at.webry.info/201310/article_5.html
 だから、この科学コミュニケは興味深々という感じで参加したのである。

 概要は以下の通りである。
 開会挨拶で有信氏からはこのシンポを始めたのは理系離れが叫ばれた時に何とかしなければ、ということが発端、との説明であった。
 (1)の基調講演での東大の横山女史は科学コミュニケーションの概要を歴史的背景から説明した。
 (2)の文部科学省の松尾氏は科学コミュニケーションの国としての取組を説明した。
 (3)の科学技術振興機構(JST)の藤田氏は国の取組を実際に実施する機関としてその具体策を説明した。
 (4)の読売新聞の松本女史は大学の実力を一覧表としてまとめるために、660大学のアンケートを実施し、その中から見える大学の問題点を説明した。
 最後の(5)の早稲田大学の小峯氏は「見える化」として、自分の専門の土木で粘土を使った止水実験等のビデオ等を見せたりした。

 少し詳細について書く。
 (1)の横山女史は理系女子、俗にいうリケジョであり、科学雑誌「Newton」との出会いがその方向を決めたようであった。
 大学ではノーベル賞の小柴先生の実験で有名なニュートリノ研究を行っていたらしく、カミオカンデのニュートリノ検出グループにも在籍していたらしい。
 科学コミュニケーションを日本が導入したのはヨーロッパでの狂牛病での反省をしたイギリス等の成功があったためのようであった。
 各国の科学コミュニケーションは国の政策と結びついている部分があり、ヨーロッパでは市民の声を政策に反映する傾向があるらしい。
 アメリカは娯楽の一部として捉えているようである。
 日本は理科離れを食い止めるためのように映る。
 質問の時に、横山女史は家庭でニュートリノの会話をどのように行っているか質問した。
 すると旦那さんは数学者で彼女は物理学者であるから、ニュートリノの中身については理解されないが、その開発の歴史的な意味合いを共有できると回答してくれた。
 また、ニュートリノ顕微鏡についてはどうか、と聞くと、ニュートリノは手の平に毎秒数兆個透過しているが、ほとんど身体に影響はないぐらい相互作用が弱いものなので、ニュートリノ顕微鏡はできないと即答した。
 ただカミオカンデで1万1千個の光電子増倍管検出器で検出しているのだから、弱くてもできるはずと思ったが、さらに質問はしなかった。

 (2)の松尾氏は第4期科学技術基本計画を説明した。この計画は社会と共に進める必要があるが、計画自体が誰を対象にしているか、との批判もあるらしかった。
 科学コミュニケーションの施策としてはサイエンスアゴラ(科学広場)、元宇宙飛行士の毛利衛氏が館長の日本科学未来館やその中での科学コミュニケータの育成等を説明した。
 また、科学技術成果の実施を科学技術振興機構(JST)に依頼、とのことだった。
 その他、2020年の東京オリンピックは日本の科学をPRするチャンスなので、それらについても取組を進めているらしかった。

 (3)の藤田氏は科学コミュニケーション活動として、サイエンスフェスティバルやサイエンスカフェの開催等を説明した。

 (4)の読売新聞の松本女史は大学の実力を一覧表としてまとめるために、660大学のアンケートを実施した。すると大学の先生が退学率90%等と平気で書いてきたり、また、2人に1人が大学へ行く大学全入時代で、大学生の学力レベルが低くなり、中学レベルの英語等の問題も見えてきたらしい。
 大学で質の向上に努力している大学もあるのだが、そのPRが下手のようである。
 PR手段として大学のHPがあるが、どこも似たり寄ったり、の状況らしい。

 最後の(5)の小峯氏は「見える化」として、自分の専門の土木で粘土を使った止水実験等のビデオ等を見せたりした。 しかし、その背後には数式に裏打ちされた法則があるので、それらもきっちり学んで欲しいようであった。 
 また、小峰氏は福島での中間貯蔵施設に関わっていたり、茨城県の産廃処分場に関わっていたり、と学究肌一筋ではないことも説明していた。
 面白かったのは福島原発事故で大工(?)である義理の祖父に「マイクロシーベルト」を説明しようとしたら「マイクロとは何だ」と言われたことらしい。
 1ミリの千分の1という説明で理解されたかどうか不明のようだった。

 パネル討論の前に会場から質問というので、2点質問した。
 科学を学生に興味を持たせるために、人工光合成、重力波、環境コントロールの目的の台風発電のような、科学のわかっていない部分を学生に示してやれば、この科学のニンジンで学生というウマはそれに猛進するのではないか、また、小峰氏は定性的ではなく、定量的に科学を理解する、といったが、逆ではないか、マイクロシーベルトというようなものではなく、たばこや酒の害と比べてガンの発生は低い、というような定性的な説明の方が一般の人には理解しやすいのではないか、と聞いた。
 前者については横山女史が賛成してくれた。ただ、ここではもう一点指摘するのを忘れていたが、科学のわからないことをテーマとする背景には今科学はここまでわかっている、ということを学ばなければいけない、それが今の科学を知るということの強い動機付けになる、ということである。
 後者の定性・定量の議論では酒やたばこもガンのリスク何倍というようにやはり定量的である、とのことだった。
 これについて、松本女史が新聞の立場では定性的に答えた方が一般の人には理解されやすいが、そのデータの裏付けがないと記者は困る、とのことであった。
 その他会場から何点か質問が出されたが、私はあまりよく覚えていない。
 1点だけ記憶にあるのは、科学コミュニケータのインターネット版のグループを作り、信頼性を保証するマル適マークのような証明書を発行、ということでJSTの藤田氏が興味深い、とのことであった。

 最後に開会の挨拶した有信氏が相手の立場に立って話すというようなまとめを行い、そこでついで、という感じでダークマタ-の話をさりげなく述べた。
 今宇宙はウランまでの92個の元素で分析すると宇宙全体の質量の10%程度しかなく、後の90%は何かということで、この正体不明の物質をダークマターと呼んでいる。
 このダークマターのことが最後に出てきて思わず目が点になったような気がした。

 あまり期待して行ったシンポであるが、科学を理解する上でその歴史を理解する、科学のコミュニケーションの定性的・定量的の議論と最後のダークマター、という3つの面白い話が聞けたことはうれしかった。

 これからもこうしたシンポに出かけて、科学コミュニケーションの定性的・定量的議論等を探ってみたいと思う。

                                                             -以上-

<第6回科学技術人材育成シンポジウム>
―科学技術コミュニケーションの展開と人材育成―
1.日時: 2015年2月14日(土)13:00~17:00
2.会場: 日本学術会議講堂
3.主催: 日本工学会 科学技術人材育成コンソーシアム
4.プログラム
13:00~13:10 開会挨拶 有信睦弘氏(コンソーシアム代表)
基調講演
13:10-13:50(1)「科学技術コミュニケションの展開」東大大学院理学系研究科 横山広美女史
講 演
13:50-14:10(2)「科学技術コミュニケーションの政策に関する情報提供」文部科学省 松尾泰樹氏
14:10-14:30(3)「科学技術コミュニケーション活動の実態」(独)科学技術振興機構 藤田尚史氏
14:30-14:50(4)「専門家と世間のコミュニケーション-大学の実力調査から」読売新聞 松本美奈女史
14:50-15:10(5)「自然現象の見える化の必要性-数値表示の本質」早稲田大学 小峯秀雄氏
15:10-15:25 (休 憩)
パネル討論
15:25-16:55 「これからの科学技術コミュニケーションと人材育成」
コーディネータ:依田照彦氏(コンソーシアム副代表)
パネリスト:横山広美、松尾泰樹、藤田尚史、松本美奈、小峯秀雄 の各氏
16:55-17:00 閉会挨拶 松瀬貢規氏(コンソーシアム副代表)

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