昨年下半期の科学トピックのまとめ(その2)

 昨年の下半期の科学トピックをまとめた。

 ただし、私の個人的な興味・偏見に基づくものであるから、網羅しているわけでもなく、多少の偏りがあるかもしれない。

 どういう項目がいいかを思いつかないので、とりあえず上半期の科学トピックと同じ分類である。
 (1)AI、ロボット、ドローン等の最近の流行の機器関係
 (2)エネルギー、電池関係
 (3)iPS、がん治療、医療関係
 (4)宇宙、プラゴミ関係
 (5)その他(新型コロナも含む)

 これらについて順番に書いてみる。
 先週は(その1)として、(1)~(4)について書いた。

 今週は(その2)として、(5) その他(新型コロナも含む)について書く。

 (5) その他(新型コロナも含む)
 ここでは新型コロナ関係とそれ以外に分けて最初に新型コロナ関係について書いていき、その後、コロナ関係以外について書く。
 実は先週の科学トピックでAI・ロボットの項で、人間と人間のコンタクトレスの業務ということで、すでにコロナ関連のニュースが結構入っていた。
 今回取り上げるのはそれとは違う項目である。

 以下に1の連番で紹介する。
 1-1番目は産経ニュースの「下水で新型コロナに迫る 感染拡大を早期把握 (7/26)」である。
 新型コロナウイルスの感染状況を下水の調査で解明する取り組みが進んでいる。
 地域ごとの拡大の兆候を医療情報より先に把握できるため、流行の到来を素早く察知し、効果的な対策につなげられる可能性がある。
 感染症の流行原因を、集団の生活環境との関連を調べて解き明かす学問を「疫学」という。
 調べる対象は生活習慣や地理的要因など多様だが、下水は代表格の一つである。

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         図1 下水におけるコロナ分析の概要

 感染者の排泄(はいせつ)物に含まれる病原体が流れ込むことから、感染の実態を映す鏡として注目されてきた、という。

 1-2番目は読売新聞で『「プラズマクラスター」効果アリ…対コロナウイルス(9/8)』である。
 シャープは7日、空気清浄機などに搭載している独自のイオン発生技術「プラズマクラスター」が、空気中に浮遊する新型コロナウイルスの抑制に効果を示す実験結果が得られたと発表した。
 今後は家庭に近い環境での効果の確認が課題となる、という。

 私はシャープが2004年に出した新聞報道を見ていた。
 なぜシャープが今回の新型コロナ関係で何も発表しないのかな、と思っていた。
 前回の発表はSARSかMERSという別種のコロナ対応だったので、今回の新型コロナウイルスに効果があるのか実験していたようである。
 この記事ではウィルス抑制技術の他のメーカーとして、ダイキンのストリーマとパナソニックのナノイーの2つを挙げていた。

 1-3番目は時事ドットコムの「柿渋成分でウイルス無害化 新型コロナ、実験で確認―奈良県立医大など(9/15)」である。
 奈良県立医科大の伊藤利洋教授らの研究グループは15日、柿渋の主成分である「柿タンニン」が新型コロナウイルスを無害化することを確認したと発表した。
 研究成果について特許出願中で、今後製品化を目指す、とのことである。

 渋柿を食べていれば、コロナに感染しないことかもしれないが、おそらく柿タンニンを抽出して工業化するまでには時間がかかるだろうと思う。

 1-4番目は時事ドットコムで『機内感染リスク「極めて低い」 空調でウイルス大半除去―米国防総省(10/18)』である。
 米国防総省は、新型コロナウイルス感染者が旅客機に搭乗しても、マスクを着用していれば、機内で他の乗客に感染させる確率は極めて低いとする実験結果を公表した。
 機内の空調設備でウイルスの大部分が除去されるためで、乗客の激減で苦境に立つ航空業界には朗報となりそうだ、という。

 これがどこかの航空会社がやったものならなるほどと思うのだが、米国防総省が行ったことにびっくりした。
 国防総省のお偉方が航空産業から依頼されたのか、と勘ぐってしまう。

 1-5番目はAVウォッチで「三菱電機、非接触タッチパネルと空中タッチディスプレイ(10/15)」である。
 三菱電機エンジニアリングは、画面に触ることなく近づいた指の位置を検出する3Dセンシング技術を用いた「タッチレス機能付タッチパネルモニター」と、空中ディスプレイ技術および空間タッチ操作技術を採用した「空中タッチディスプレイ」の試作機を開発した。

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         図2 非接触型タッチパネルの例

 ニューノーマル社会における課題解決に貢献するとして、'21年度の製品化を目指す、という。

 1-6番目は毎日新聞で「群馬大院教授がコロナウイルスを人工合成に成功 感染再現や仕組み解明へ(11/5)」である。
 群馬大大学院の神谷亘教授が、新型コロナウイルスの人工合成に成功した。
 これにより、ウイルスの感染の再現や、RNA(リボ核酸)の約3万の塩基の解明などに役立つという。
 神谷教授は国立感染症研究所から入手したウイルスの遺伝子を細菌人工染色体に組み込み、遺伝情報を細胞内で複製して人工的に新型コロナウイルスを作り出した。
 新型コロナウイルスと、遺伝子の約8割が同じといわれる「重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルス」との比較では、免疫細胞の活性化に関係する「ORF3b」という遺伝子の長さに明確な違いがあることが分かっている。
 人工合成は、こうした個々の遺伝子の解明につながる、という。

 こうして人工的に作り出せるとしたら、武漢のウィルス研究所で研究していたらしいことと関連すると武漢の研究所が作り出した、という疑いもありうるかも、と思う。

 1-7番目は日経新聞で「紫外線除菌灯、人がいても使用可 クォークテクノロジー(12/10)」である。
 産業用紫外線照射装置の開発・販売を手掛けるクォークテクノロジー(岡山県井原市)は、人がいる空間でも使用できる除菌用紫外線ランプを開発した。
 目や皮膚に影響を及ぼす波長の光をカットすることで、直視しても危なくないようにした。
 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、安全性をアピールして除菌装置や照明機器を手掛ける電気機器メーカーなどに売り込む、という。

 多分今こうした紫外線、空気清浄機としての静電気式、オゾン式がコロナ感染対策に有効な機器的手段ではないかと思う。
 これらの機器と、マスク、手洗い、アルコール消毒で相当感染防止になるのではないかと思う。

 もう一つ共通であったのが、空飛ぶ車で2件あった。
 2-1番目は日経新聞で「ブレずに飛行 スカイドライブ、空飛ぶクルマを公開(8/29)」である。
「空飛ぶクルマ」を開発するスカイドライブは有人飛行試験を初めて公開した。
 1人乗りの機体が高さ2メートルを維持しながら約4分間移動し、縦揺れや横揺れを抑えた安定飛行に成功した。
 2023年の実用化に向け、安全性の向上や2人乗りの開発に取り組む、という。

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         図3 空飛ぶ車の一例

 空飛ぶ車は私も以前考えたことがある。
 方式は今回のようなドローン型ではなく、船のホバークラフトの陸上版である。
 だけど、こういうものが空を飛んでいると、一般の住宅にも飛び込んでくる危険性もある。
 ホバークラフトのように地面すれすれを飛ぶタイプの方が安全性が高いと思う。

 2-2番目は時事ドットコムの「空飛ぶタクシー、仏パリで来年6月にも試験飛行 24年五輪控え(10/2)」である。
 これは再検索で出てこなかったが、yahooニュースがあった。
 パリで早ければ来年6月にも「空飛ぶタクシー」の試験飛行が始まると、関係者が明らかにした。
 同市は2024年のパリ五輪で多くの観光客の流入を見込んでいる、という。

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         図4 空飛ぶタクシーの一例(フランス)

 他は日付の古い順に科学トピックスを紹介していく。

 3番目は朝日新聞の『東電Gが世界最大級の「植物工場」 葉物野菜を生産(7/2)』である。
 東京電力グループなどが出資する世界最大級の植物工場が1日、静岡県藤枝市で操業を始めた。
 自然光を全く使わない完全人工光型で、LED照明を効率的に活用して栽培スペースを最適化することで、レタスやホウレン草などの葉物野菜を1日あたり約5トン生産できる、という。

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         図5 東電Gの植物工場の様子

 4番目は時事ドットコムの「ダイヤより軽く、強い炭素結晶 五角形構造、理論で予測―筑波大 (7/2)」である。
 筑波大学の丸山実那助教らの研究グループは、五つの炭素原子が環状に結合した五員環を組み合わせることで、新しい3次元炭素結晶の可能性を理論的に予言した。
 また、量子力学に基づいた物性シミュレーションから、この物質がダイヤモンドより軽くて強靭であることを示した、という。

 何となく、これは何に使えるのだろうと、応用分野の方に考えがいってしまう。
 基礎研究というのは先の見通しの立たないものを知的好奇心で探求するところがいいのであろうから、将来何かの役に立つであろう。

 5番目は日経新聞で「攻撃プログラム急速進化 新種マルウエア、日本標的か(7/13)」である。
 国内の企業や公的機関に対するサイバー攻撃で確認されている新種のマルウエア(悪意あるプログラム)が、短期間にバージョンアップを繰り返して急速に機能強化されている。
 民間のセキュリティー団体によると現状で海外での確認例はなく、日本を標的に開発された可能性もある、という。

 最近はスマホのメールにも、1千万円当たりました、とか、友だちなりすましメールとか、宅急便が届いている、とかのフェイクメールがいっぱい届くようになった。
 おそらく悪意のあるサイトに誘導して、カネをだまし取ろうとするものであろう。
 便利な世の中は、逆にこういう悪意のある仕業もいっぱい出てくるので、なかなか安心できる社会にならない。

 6番目に電気新聞の「マイクロ波でCO2吸収、石炭灰を土木資材に/中国電力など(7/15)」がある。
 中国電力、広島大学、中国高圧コンクリート工業の3者は14日、共同研究中のカーボンリサイクル技術「CO2―TriCOM(シーオーツートリコム)」が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募事業に採択されたと発表した。
 石炭火力発電所から発生する二酸化炭素(CO2)や石炭灰などを、水はけの良い土木工事用資材としてリサイクルする技術を開発していく、という。

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         図6 CO2閉じ込めパウダーの状況

 何となく、元のCO2発生過程でのエネルギーより多くのエネルギーを使って封じ込めようとしている気がする。
 エネルギー経済的に無理なのではないかと思う。

 7番目に読売新聞の「アンモニアを安価なニッケル触媒で合成…東工大グループが成功、貴金属使わず生産へ(7/16)」である。
 肥料の原料などに使われるアンモニアを安価なニッケル触媒で効率的に合成する技術の開発に成功したと、細野秀雄・東京工業大栄誉教授らの研究グループが発表した。
 貴金属を使わずにアンモニアを生産する道を開く成果、という。
 窒素と水素で作るアンモニアは、「ハーバー・ボッシュ法」と呼ばれる鉄触媒による大量生産が主流だが、高温高圧下でないと反応が進まない。
 このため、より温和な条件で反応を促進させる省エネの触媒開発が盛んだ。
 このタイプの触媒の多くは、高価なルテニウムという貴金属を使っており、これに代わる触媒開発が待たれていた、という。

 私もアンモニア合成といえば、ハーバーボッシュ法しか思いつかない。
 ただ、昔雷が鳴った時に食物の生育が良くなる、というのを聞いて、ひょっとしたら、雷で空気中の窒素をアンモニア等に変換しているのではないか、という着想が湧いたことはある。
 もしそうなら、空気中において放電現象でアンモニアを作れる可能性はあるかもしれない。
 ただし、エネルギー経済的に引き合うかどうかはわからない。

 8番目は日経新聞で「1億年前の地層、微生物生きてた エサで増殖(7/29)」である。
 海洋研究開発機構の諸野祐樹主任研究員らと高知大学、米ロードアイランド大学などの研究チームは、約1億年前の海底下の地層から採取した微生物が生きていることを確認した。
 地層にとじ込められた状態でも、エサとなる物質を与えると増殖できる生存状態だった。
 栄養が非常に乏しい環境で生物が生き延びるメカニズムの解明などに役立つ成果、という。

 9番目は日経新聞で「戦前・戦中の日常、色彩豊かに AIで写真カラー化(8/18)」である。
 人工知能(AI)で白黒写真をカラー化する技術を学んだ大学生が、再現写真をもとに戦争体験者と対話する「記憶の解凍」プロジェクトを続けている。
 忘れられていた記憶をカラフルな色彩で呼び覚ます取り組みだ。
 戦争を知らない世代が当時の日常を身近に感じる機会にもなっている、という。

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         図7 白黒写真をカラー化した一例

 10番目は日経新聞で「新材料ゴム×プラスチック 夢かなうかブリヂストン(9/2)」である。
 ブリヂストンが開発した新材料「SUSYM(サシム)」。
 その特徴はゴムとプラスチックが分子レベルで結合し、両材料の機能を併せ持つ、という。

 11番目は産経ニュースで「放射性廃棄物でつくる人工ダイヤモンドが、“数千年もつ電池”になる(9/13)」である。
 これは再検索で出てこなかったが、wiredというニュースサイトに出ていた。
 リチウムイオン電池は1回の充電で数時間しか放電できないし、数年経てば劣化が進んで充電容量は減少する。
 これに対して原子力電池の一種であるベータボルタ電池は、微量の電力を長時間にわたって発電できる。
 スマートフォンを動かすために十分な電力を供給するのは無理だが、電力をそれほど必要としないデヴァイスであれば、適切な放射性物質を使えば1,000年以上も動かし続けることが可能になる、という。
 ブリストル大学教授で材料工学の専門家であるトム・スコットは数年前から、仲間の研究者たちとドラゴンエッグという観測機器の原子力電池の開発に取り組んできた。
 化学反応によって電気をつくる化学電池とは異なり、スコットたちの電池は放射能を帯びた人工ダイヤモンドから放出される高速の電子を電力に変換する。
 このため電池の寿命は数千年で、充電も交換も必要ない、という。

 おそらく炭素C-14のベータ線(高速電子)放出を利用したものであろうが、汎用品としては使えないだろう。

 12番目は毎日新聞で『「ノーベル賞候補」東大・藤田卓越教授、産学連携組織を開設 注目の化学者の狙いはR2-10-28毎日新聞(結晶化させずに分子の構造を解析できる技術) (10/28)」である。
 著名な化学者の藤田誠・東京大卓越教授(63)が開発した、結晶化させずに分子の構造を解析できる技術の発展を目指す産学連携組織「統合分子構造解析講座」が11月1日、東大に開設される。
 製薬や化学、香料などの企業19社から外部資金を得て研究を進め、企業への成果の還元を目指す。
 一方で、企業の資金を基にしつつ基礎研究にも重きを置くのが特徴だ。
 藤田さんは、分子同士が自然と集まって結びつく「自己組織化」という現象を利用して、従来作るのが難しかった複雑な構造の巨大分子を試薬を混ぜただけで作るのに成功した研究で知られる。
 藤田さんは13年、自己組織化によって作った巨大分子内に規則正しく並ぶ空洞に、液体に溶けた化学物質を垂らし入れて結晶化させることなくX線で構造解析する「結晶スポンジ法」という技術を開発した。
 これによって天然分子の結晶化という難しい過程を省くことが可能となり、物質の化学構造を明らかにする「構造決定」にかかる時間を劇的に早め、確実性も高めた。
 発表直後から企業からの問い合わせが殺到した、という。

 私もこれを読んでもどういう方法なのか想像できないものである。
 ただ結晶化が難しかったものを結晶化しないで構造決定できることに何かカギがありそうなことはうっすらと理解できる。

 13番目は時事ドットコムで「強く成型自在なゲル材料 微細な植物繊維とクエン酸から原子力機構(10/31)」である。
 食品や化粧品の増粘剤として使われる種類の微細な植物繊維「セルロースナノファイバー」と、レモンなどに含まれるクエン酸を材料として、非常に弾力性があるゼリー状の「ゲル」が開発された。
 日本原子力研究開発機構と東京都立産業技術研究センター、東京大の研究チームが30日発表した。
 直径が10円玉程度、厚さ約2センチのこのゲルに2トンの重さをかけて圧縮しても壊れず、水を含ませると元に戻った。重さの95%が水で、乾燥させると白いふ菓子のような状態になる。

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         図8 成型自在なゲル材料の例

 さまざまな形に成型可能で、自然の中で時間がたてば分解される、という。

 14番目は日経新聞で『仲井嘉浩・積水ハウス社長「道の駅ホテルで地方再生」(10/2)』である。
 積水ハウスが米ホテル大手のマリオット・インターナショナルと連携して、地方の「道の駅」に併設するホテルを10月から相次いで開業している。
 ちょっとこれは直接科学には関係ないが、義父宅のことに多少関連するので、メモ代わりに書いておいた。
 地方創生事業の一環として捉えられるかもしれないと思う。

 15番目は東京新聞で「昆虫食、世界が注目 人口増対応 タンパク源(11/13)」である。
 将来の食料危機に備え、世界中で「昆虫食」が注目されている。
 昆虫は、肉に代わりうる優れたタンパク源である。
 日本でも、見た目ではコオロギやカイコなどと分からず、味にもこだわった食品が登場している。

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         図9 コオロギせんべい

 動いている虫は苦手な人でも、食材の虫は意外と食べやすいかも、という。 

 確か、以前コオロギの佃煮が酒の肴として出たことをうっすらと記憶している。
 それから見れば、せんべいくらいなら食べられないこともないかもしれない。

 16番目は日経新聞で『会沢高圧が「自己治癒」コンクリート、世界初の量産化(11/14)』である。
 会沢高圧コンクリートはバクテリアがひび割れを修復する「自己治癒」コンクリートを世界で初めて量産化する。
 オランダの大学が開発した技術で、札幌市に年産70万立方メートル規模の生産拠点を設けた、という。

 確か以前にEテレのサイエンスZEROで紹介されたことがあるように思う。
 人間の身体が骨折すると、体内でせっせと修復するが、それと同じことをバクテリアにさせるというのは想像しただけでも面白い。

 17番目は産経ニュースで「脳とコンピューターを静脈からワイヤレス接続、考えるだけで機器を操作できる新技術が秘めた可能性(11/14)」である。
 再検索で産経ニュースでは出てこなかったが、yahooニュースで出てきた。
 人間の思考を担う生身の脳と、二進法で計算を繰り返す冷静沈着なコンピューターがある。
 このふたつをつなごうとする際に厄介なことは、分厚い頭蓋骨の奥にある情報を取り出さなければならないことである。
 そもそも頭蓋骨というものは、脳を安全な場所にしまい込み、周囲のできごとにいちいち反応しないようにするためにあるのだ。
 技術者たちは過去数十年にわたり、人間の脳とコンピューターのキーボードやロボットアームを連動させること、すなわち肉体と半導体との交信の実現に力を尽くしてきたのである。
 ある研究チームが、信頼度の高い新手法による臨床試験の成果を10月28日に発表した。
 弾力があって伸び縮みするステントと呼ばれるチューブに電極を取り付け、血管を通して脳に到達させる手法、とのことである。

 考えただけで、その信号が外部に伝わる、というのは画期的なことと同時に、自分の考えが人にわかってしまうという二律背反がある。

 18番目は東京新聞で『「世界初の水素発電ホテル」がレタス栽培 ロビーに工場出現(11/25)』である。
 京浜工業地帯にある川崎キングスカイフロント東急REIホテル(川崎市川崎区)の1階ロビーに24日、水素発電でリーフレタスを水耕栽培する工場がお目見えした。

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         図10 水素発電ホテルでのレタス栽培

 最初の収穫は来月末の見通しである。
 年明けにもビュッフェなどで提供を始めるという。
 2018年開業の同ホテルは「世界初の水素ホテル」である。
 化学メーカーの昭和電工川崎事業所が使用済みプラスチックを分解して水素を取り出し、長さ約5キロのパイプラインで供給する。
 水素はホテル敷地内の燃料電池で電気や熱に変換され、客室などで利用されている、という。

 以前の記憶でのロボットのホテルもあれば、このような水素発電のホテルもある。
 ニューノーマルなホテルで生き残りを図っているのであろう。

 19番目は毎日新聞の「120度の高温で生息する微生物群発見 海底下1200メートル掘削調査(12/4)」である。
 海洋研究開発機構などの研究チームは、高知県・室戸岬沖で海底下約1200メートルまで掘削調査し、高温かつ高圧の過酷な環境に生息する微生物群を発見したと4日付で公表した。
 温度は約120度に達し、高温でも生きられる特殊な微生物の仲間とみて種の特定を進める、という。

 20番目は日経新聞の「まるでスパイ映画 部屋の電球を見れば盗聴可能に(12/20)」である。
 部屋の天井からつり下げられた電球(ランプ)の振動を見て室内を盗聴する。
 そんなスパイ映画顔負けの盗聴手法が2020年6月に発表された。
 lamp(ランプ)をmicrophone(マイクロホン)として使うので「Lamphone(ランプホン)」と命名された、という。
 これ以上は会員限定で無理であった。

 しかしこれが本当なら、会議室の電灯まで盗聴器の心配をしないといけなくなる。

 21番目は朝日新聞の『自然界のマジック 植物の個体をつなぐ「接ぎ木」に迫る(12/25)』である。
 植物の異なる個体をつなぐ接ぎ木がある。
 果樹や野菜を育てる園芸農業の世界では、もはや欠かせない技術だ。

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         図11 接ぎ木の概要

 成立するしくみは実はまだ十分にはわかっていないが、その謎を解き明かし、新たな利用を広げる研究が進んでいる、という。

 植物の世界ではまだ従来の方法の中に科学的な視点が導入されていない分野が多い。
 接ぎ木もその一種であろう。
 また原子力委員会委員の大西女史のミクロラジオオートグラフィという植物内での水分や栄養の移動の調査に酸素の同位体や水素の同位体のトリチウムを使って調べる、というのも原子力委員会メルマガで紹介されていた。
 私個人では、どうして樹木は一本の真っ直ぐな木だけでなく、二股、三股に分岐して成長する種があるのだろう、という疑問がある。

 22番目は朝日新聞で「グラスの抽象画、何の研究?科学イラストの世界とは(12/25)」である。
 分子やDNAといったごく小さな世界は目で見ることができない。
 京都大学物質―細胞統合システム拠点(アイセムス)の高宮ミンディ特定助教は、研究成果をイラストにしたてて、一般の人の関心をひく活動をしている。
 といっても、描くのは小難しい説明図ではなく、淡い色のグラスやプロペラなどだ。
 グラスから液体が流れる様子の絵は、これまで固体として知られていた物質の中に、液体状に変化させられるものが見つかったことを示す。
 形を自在に操りやすく、応用範囲が広がる研究成果だ、という。

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        図12 グラスから液体が流れる様子の絵

 23番目は毎日新聞の『動物の行動探る「バイオロギング」最前線 AI搭載の記録装置も (12/28)』である。
 動物の体に小型機器を取り付け、行動を調べる「バイオロギング」という調査手法がある。
 最近はAI(人工知能)を搭載した記録装置の登場など、技術や独自のアイデアを生かした研究が生まれている、という。

 このバイオロギングも以前EテレのサイエンスZEROで取り上げられていた。

 24番目は日経新聞の『「リンダ問題」を解く 脳といのちに挑む量子生命科学(12/28)』である。
 渡り鳥は微小な地磁気を検知して何千キロも飛ぶといわれる。
 人の体内で働く酵素は目的の化学物質やたんぱく質などを素早く、正確に見つけ化学反応を促す。
 生物が備える精妙な機能には、原子や分子より小さなスケールの「量子の世界」の現象が関わっているとの見方がある。
 量子科学技術研究開発機構(QST)の研究グループは、量子力学と生命現象の関わりを調べる科学の新領域「量子生命科学」の開拓に取り組んでいる。
 これ以上は会員限定で無理であった。

 「リンダ問題」は何か、がわからないままである。
 Wikipediaによると、合接の誤謬だそうである。
 もう少し説明すると、誤解を招くような極端な例、認知バイアス(偏見)とも言われるようである。
 それでもう一度上の記事の見出しに戻ると、脳といのちの精緻な働きが量子の世界まで広げて考えないといけない、と言っているのか、それが偏見と言っているのか。
 結局わからないままである。

 「その他」ではいろんな分野でのトピックがあるので、まとめは難しい。
 感想としては、コロナ関係で下水の分析、プラズマクラスター、渋柿、空調、紫外線がコロナに効果がある、コロナウィルスの培養に成功、非接触タッチパネル開発等があり、少しずつ技術が進んでいる様子がわかった。
 空飛ぶ車関係では、ドローンの大型の空飛ぶ車、フランスではタクシー用に開発等があった。
 ドローン型は落下の危険性があるから、安全面からはホバークラフト型の方がいい。
 その他では、昆虫食、自己治癒コンクリート、白黒写真のAIによるカラー化、1億年前の生物、120℃で生きている生物、部屋の電球の点滅で盗聴等世の中の不可思議がたくさん出てきている、という印象である。
 この防災、科学のトピックの追跡は結構私としては面白かったので、今年も半期毎にまとめていきたいと思う。

  -以上-

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