2021年下期の科学トピックまとめ(その1/2)

 新年始まったばかりで、まだオンラインのシンポジウム関係はない。

 越年したが、昨年(2021年)下半期の科学トピックをまとめることにした。

 今週は(その1)として、下記の(1)~(3)のAI、ロボット、ドローン、エネルギ―、医療関係等の項目とする。
 来週に(その2)として、下記の(4)(5)の宇宙、プラゴミ、その他についての項目を書く。
 ただし、私の個人的な興味・偏見に基づくものであるから、網羅しているわけでもなく、多少の偏りがあるかもしれない。

 どういう項目がいいかは去年のブログを参考に分類した。
 (1)AI、ロボット、ドローン等の最近の流行の機器関係
 (2)エネルギー、電池、水関係
 (3)iPS、がん治療、医療関係
 (4)宇宙、プラゴミ関係
 (5)その他(新型コロナも含む)

 これらについて順番に書いてみる。

 (1)AI、ロボット、ドローン等の最近の流行の機器関係
 ドローン等は、防災とも関連性があり、防災のニュース関連にもダブりがあるかもしれない。
 防災情報について、1月のシンポの開催頻度が少なければ書くつもりである。

 1番目は毎日新聞の「阿波踊りロボ ぞめきのリズムに合わせ 徳島の高専生が製作(7/25)」である。
 徳島県の阿南工業高等専門学校の学生が製作した阿波踊りロボット「Awa Dancers」が18日、徳島市南末広町のイオンモール徳島に登場した。
 人間の踊り子さながらの動きで買い物途中の家族連れらを魅了した、という。

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         図1 阿波踊りロボの様子

 2番目は日経新聞の「米テスラ、ヒト型ロボット開発へ 技術説明会でCEO表明(8/20)」である。
 米テスラは19日、ヒト型ロボットの開発に乗り出す考えを明らかにした。
 電気自動車(EV)の運転支援機能に使うのと同じ半導体やソフトウエアを使い、2022年内にプロトタイプの完成を目指すという。

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         図2 テスラの人型ロボットのイメージ

 3番目は日経新聞の「空飛ぶクルマで救急医療、30年代 政府工程表案(8/31)』である。
 政府が新たに策定する「空飛ぶクルマ」の2040年代までの工程表素案がわかった。
 実用化に向け旅客輸送を中心に中長期的な普及イメージを示し、30年代には救急医療での活用を盛り込んだ、という。

 4番目は毎日新聞の「建設ロボ 共同開発 ゼネコンなど16社タッグ(9/23)」である。
 鹿島や清水建設、竹中工務店など建設会社16社は22日、建設現場用のロボットを協力して開発するコンソーシアム(共同事業体)を設立した。
 あらゆる機器を通信でつなぐモノのインターネット(IoT)の技術でも連携しながら、現場の生産性向上を目指すとともに、各社の研究開発費の削減も狙う、という。

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         図3 清水建設の資材搬送ロボットの例

 5番目は読売新聞の『ロボットがクリ拾い、AIで認識した栗をアームでかごに…農園社長「ロボットの手借りたい」(9/27)』である。
 京都府京丹波町のクリ農園「丹波農園」で26日、人工知能(AI)搭載のロボットがクリ拾いをする実証実験が行われた、という。

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         図4 ロボットの栗拾い

 6番目は毎日新聞の「分身ロボットでキャンパスを散策ーICT活用による障害者と学生のコミュニケーション創出(10/1)」である。
 明星大学人文学部福祉実践学科の吉川ゼミ(吉川かおり教授)では、ICTを活用した障がい者と学生の交流活動として、分身ロボットOriHime*を活用したキャンパスツアーを実施した。
 (*分身ロボットOriHime・・株式会社オリィ研究所が開発した分身ロボット。カメラ・マイク・スピーカーが搭載されており、インターネットを通して操作することで、「その人がその場にいる」ようなコミュニケーションを実現。)

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         図5 分身ロボットの例

 7番目は毎日新聞の「人材不足解消へロボットが医薬品試験 盛岡のメーカーなど共同開発(10/18)」である。
 製薬業界の人材不足をロボットが救う。
 精密機器部品メーカー「アイカムス・ラボ」(盛岡市)と子会社の「アイ・モーションテクノロジー」(同)、製薬大手「シオノギファーマ」(大阪府)の3社は、医薬品の試験自動化装置の開発に共同で取り組む。
 装置が完成すれば作業の効率化や品質の向上が見込まれ、課題となっている人材不足を補うと期待がかかる、という。

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         図6 医薬品開発ロボのイメージ

 8番目は読売新聞の『東急電鉄が導入、深夜のトンネル点検に「インフラドクター」(11/8)』である。
 東急電鉄(東京)が9月、トンネルなどの鉄道路線に異常がないかをチェックする「インフラドクター」を導入した。
 世田谷線などを除く東急線全線で、最終電車の運行が終了した深夜に稼働している、という。

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         図7 インフラドクターの状況

 9番目は日経新聞の「東芝、写真から大きさを計測するAI インフラ管理(11/22)」である。
 東芝は22日、一般的なカメラの写真のみで対象物の大きさを計測できる人工知能(AI)を開発したと発表した。
 数枚の写真を読み込ませると、高い精度で長さや面積、体積を測ることができる。
 インフラ設備の保守・点検などでの利用を見越し、早期の実用化を目指す。
 インフラ設備管理のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援につなげる、という。

 10番目は朝日新聞の「専用飛行場を設置、プールで水中操作も ドローン博物館がオープン(11/29)』である。
 ドローン(小型無人機)の魅力を紹介する博物館「ドローンミュージアム&パークみの」が、岐阜県美濃市曽代の旧市勤労青少年ホームにオープンした。
 手のひらサイズから産業用まで100台余りのドローンを展示。
 屋外には専用の飛行場もあり、実際に操作を体験することもできる、という。

 11番目は日経新聞の「不定型文書も精度よく認識 コージェントラボ、AI高度に(12/3)」である。
 光学式文字読み取り装置(OCR)向け技術を手掛けるスタートアップのCogent Labs(コージェントラボ、東京・港)は人工知能(AI)を活用し、手書き文書の情報を正確に認識できる技術を開発した。
 書式が一定でない契約書や大学のリポートのほか、設計図にも対応した、という。

 12番目はNHKニュースの「歩行支援ロボットでお遍路を体験 実証実験 香川 善通寺(12/14)」である。
 医療機関などで使われる歩行支援ロボットを使って、お年寄りがお遍路を体験する実証実験が、香川県善通寺市で行われた。
 東京工業大学が開発した歩行支援ロボットは、医療機関で足が不自由な人のリハビリなどに使われているが、観光への活用方法も探ろうと、全日空と協力して実証実験が行われた、という。

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         図8 歩行支援ロボットでのお遍路の様子

 13番目は日経新聞の「アバターロボット、観光地導入相次ぐ 地方創生にも(12/20)」である。
 ANAホールディングス発スタートアップのavatarin(アバターイン)は、「avatarin(アバターイン)」と呼ぶサービスのベータ版の提供を、2021年10月21日に開始した。
 アバターインでは、離れた場所にいるロボットを自分の「アバター(分身)」に見立て、パソコンなどから遠隔地の様子を画面を通して見られる。
 これ以上は会員限定で見られなかった。

 14番目は日経新聞の「手術ロボ、執刀データ活用競う 医療機器最大手も参入 (12/21)」である。
 手術支援ロボットが本格的な普及期に入る。
 医療機器の世界最大手メドトロニック(アイルランド)が参入し、2022年にも日本で承認を得る可能性がある。
 「ダビンチ」が独占してきた市場に大手や異業種、新興勢が挑む。
 医師の執刀データの活用が差異化の肝となる。
 米グーグルも人工知能(AI)で医師の技を再現する研究を実施。
 競争の軸がハードウエアから「頭脳」に移る。
 これ以上は会員限定で見られなかった。

 15番目は日経新聞の「脳波×AIでベテランの暗黙知を発掘(12/21)」である。
 後継者が不足する日本の製造現場では、熟練者の仕事を人工知能(AI)によって効率化する動きが加速している。
 一方で、あらゆる作業をAIで代替することはリスクをはらむ。
 ノウハウを人が学ぶ機会が失われ、次世代の熟練者の育成を阻んでしまう。
 そうした問題に対処するために、AIを通じて学べる仕組みづくりも進んでいる。
 これ以上は会員限定で見られなかった。


 16番目は日経新聞の「政府、法令4万件をAIで検証 規制緩和へ法改正急ぐ(3/27)」である。
 政府はデジタル化に向けた規制緩和を急ぐため、書面・対面を義務づける法律などから人工知能(AI)を使って改正すべき箇所を抽出する検討に入った。
 法改正を巡る事務の効率を上げて規制緩和の早期実現につなげる。
 検証する対象は法律や政省令、行政上の通達などおよそ4万件にのぼる。
 これ以上は有料会員限定で見られなかった。

 以上が2021年下半期のAIやロボット等の科学的情報である。

 新型コロナウィルスパンデミック以降に、AIやロボットの導入が一層進んでいる印象を受ける。
 ロボットのパターンとして、人間に近いもの、人間の筋力補強する部分的なサポート機器、アバター型で代理散歩、代理遍路のようなものが出てきた。
 人間の脳の思考模擬、文書・法令のチェック等にAI活用というのが出てきた。
 確か以前に「強いAI」、「弱いAI」という分類があって、前者は人間に近づけるもの、後者は人間と緩く共存するタイプというのがあった。
 できれば後者のパターンを多くして、人間と共存できるものが好ましいと思う。

 ドローンはいろんなタイプが出てきて、水陸両用、今回は救急医療用に使われるものも出てきたし、ドローン博物館等も出てきて、様々な応用が進んできていると思う。

 (2)エネルギー、電池、水関係
 1番目は朝日新聞の「地熱で水素製造 大林組の実証プラント運転開始 大分(7/19)」である。
 大手ゼネコンの大林組が、大分県九重町野上に建設していた水素製造の実証プラントが運転を開始し、18日、現地で式典があった。
 地熱発電の電力で水を電気分解し水素をつくる国内初の施設。
 同社は2024年3月まで実証作業を続け、供給先への陸送なども含めた水素製造の経済合理性を追求していく、という。

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         図9 地熱発電設備の状況

 2番目は日経新聞の「石油つくる驚きのプランクトン 脱炭素の新たな有望株(8/9)」である。
 海洋研究開発機構(JAMSTEC)と豊橋技術科学大学、自然科学研究機構生理学研究所の研究グループが、石油と同等の燃料を合成できる植物プランクトンを北極海で見つけた。
 石油と同等の燃料をつくる生物はこれまで見つかっていなかった。
 世界初の発見だ。
 脱炭素社会の実現に不可欠なバイオ燃料の開発につながる可能性を秘める。
 これ以上は有料会員限定で見られなかった。

 3番目は毎日新聞の『「熱光発電」に熱視線 高出力で小型化可能 京大チーム理論限界突破(8/16)』である。
 熱の力を光に変えて電力を生み出す「熱光発電」への期待が、熱を帯びている。
 太陽光や廃熱を有効利用でき、太陽光発電の課題である発電効率を大幅に向上できる可能性があるからだ。
 7月には京都大の研究チームが、加熱した光源から取り出せる光エネルギーの理論的限界を突破する装置を、世界で初めて開発したと米国化学会の学術誌に発表した。
 まだ実用段階ではないが、「科学的に大きなブレイクスルー。脱炭素社会の実現に向けた一歩だ」としている。

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         図10 熱光発電の原理

 4番目は日経新聞の「石炭火力を水素発電に、広島で実験が最終段階(8/18)」である。
 瀬戸内海に浮かぶ長島(広島県大崎上島町)で、石炭火力発電を二酸化炭素(CO2)をほとんど出さない水素発電に変えようとする実証実験が最終段階に入ろうとしている。
 石炭火力への逆風が強まる中、同プロジェクトは2050年の目標「排出実質ゼロ」を大きく左右するとあって注目度は高い。
 これ以上は有料会員限定で見られなかった。

 5番目は日経新聞の「水素効率よく運ぶ合金、レアメタル不要に 量研機構など(10/11)」である。
 「脱炭素」を目指して水素燃料に注目が集まる中、水素を効率的に運ぶ技術の研究開発が進んでいる。
 量子科学技術研究開発機構などの研究チームは希少金属(レアメタル)がなくても水素を効率よく吸蔵できる合金の開発に成功した。
 安価な運搬方法が確立されれば水素利用の拡大につながり、2050年に温暖化ガス排出量を実質ゼロにする政府目標の実現に役立つ。
 これ以上は有料会員限定で見られなかった。

 しかし、このプレスリリースとは別に、量研機構QSTがこの研究の説明を行ったHP資料があった。
 それによると以下のような鉄とアルミの合金らしい。

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         図11 新しい水素吸蔵合金の概要

 6番目は日経新聞の『地熱発電「次世代型」動く 大成建設やカナダ新興が開発(3/12)』である。
 脱炭素社会の実現に向け、地熱発電で新たな発電手法の開発が進み始めた。
 大成建設は二酸化炭素(CO2)で発電する技術の開発に着手した。
 カナダの新興企業は熱水を循環させる発電所を日本で稼働させることを目指す。
 日本は地熱の資源量が世界3位だが、開発が遅れている。
 新手法で開発を後押しできれば、資源を生かした脱炭素電源の確保につながる。

 これ以上は有料会員限定で見られなかった。
 しかし、このプレスリリースとは別に大成建設がプレスリリースして読売新聞が載せていた記事があった。
 下記のような構造である。

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         図12 CO2を利用した地熱発電のシステム

 7番目は毎日新聞の「尿や汗から電気を取り出せる? 生物の仕組み応用した電池の開発 (11/24)』である。
 我々人間を含む生物は、炭水化物や脂質などを摂取し、酵素などの働きで分解してエネルギー源にしている。
 生物が、機械と違って電池やガソリンなどが無くても活動できるのはこのためだ。
 「バイオ燃料電池」はこうした生物の仕組みを応用して、酵素や微生物を使って生物のエネルギー源の物質から電気を作る、という。

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         図13 汗や尿から発電する仕組

 8番目は毎日新聞の『「クギ刺しても安全」半固体電池の開発成功 山形大など商品化へ(12/4)』である。
 山形大は、森下正典・産学連携准教授と企業が、次世代電池「半固体電池」の共同開発に成功したと発表した。
 地場製品の米沢織と組み合わせた補助電源付きスマートフォンケースとして、世界で初めての商品化を目指す、という。

 9番目は日経新聞の「全固体電池、3D印刷で製造 硬さ変わる材料活用(12/10)」である。
 東北大学の本間格教授と小林弘明助教らは次世代電池として注目を集める全固体電池を3D(3次元)プリンターで作る技術を開発した。
 硬さを自由に変えられる材料を使う。
 数時間で製造でき、従来必要だった高温での工程もない。
 試作した電池は様々な性能試験に耐えるなど一定の性能を備えており、全固体電池の早期実用化に役立つと期待している。
 これ以上は有料会員限定で見られなかった。

 10番目は朝日新聞の『プロペラない風車、脱炭素で注目 変化球と同じ「マグナス力」で発電(4/22)』である。
 プロペラがない風力発電機「マグナス式風車」の開発が進んでいる。
 平たい羽根の代わりに自転する円柱が風を受け、強風下でも発電できるという特徴がある。
 台風に襲われやすい離島の再生可能エネルギー電源として注目される、という。

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         図14 プロペラない風車

 11番目は朝日新聞の「炭素で脱炭素?CO2使う蓄電システム開発、東工大(12/23)」である。
 東京工業大学の研究チームが、二酸化炭素(CO2)を使って充放電する新たな蓄電技術の開発に成功したと発表した。
 まだ試験段階だが、将来的にはCO2を排出せず、再生可能エネルギーで余った電気をためる大容量蓄電システムが実現できるかもしれない。
 開発した蓄電システムは、充電時にタンクから送り込んだCO2を電気分解し、一酸化炭素と酸素にする。
 さらに、熱化学反応で一酸化炭素から炭素を取り出してエネルギー源としてためる。
 放電する場合は、空気中の酸素をとりこみ、炭素と反応させて電気を作る。
 反応で生じるCO2は外部に出さずタンクにためて再利用する、という。

 以上でエネルギー、電池、水関係の項目は終了である。

 やはり地熱発電が日本に特有のエネルギーであるので、開発を進めるべきである。
 CO2を出さないという点で、CO2を水H2Oの電気分解と同じようにする方法が研究されているが、カーボンニュートラルの点でどうなのであろうか。
 CO2を熱媒体として地熱発電に利用というのは火力発電廃止に移行する方向に逆行する。
 石油を作るプランクトンも同じ問題がある。
 汗で発電等はウェアラブルセンサーの電源としての利用で、本格的な電源ではない。
 固体電池を3Dプリンターで作る、釘を刺してもOKの固体電池、レアアースを使わない水素吸蔵合金等のちょっと変わった研究も進んでいるようである。

 (3)iPS、がん治療、医療関係

 1番目は日経新聞の「造血幹細胞培養で治療に幅 筑波大、液体のり成分利用(7/12)」である。
 しかし、この記事を検索しても出てこなかった。
 その代わりに、tsukuba journalに以下の説明があった。
 造血幹細胞は、赤血球・白血球・血小板といった様々な血液細胞へ分化する能力を持っており、血液がんや遺伝性血液疾患の治療への適用が進められている。
 しかしながら、造血幹細胞は骨髄中にわずかしか存在せず、採取後の増幅が不可欠である。
 ドナーマウス由来の造血幹細胞を体外で大量増幅する技術として、ポリビニルアルコール(PVA)を添加した培地を用いる方法が報告されている。
 そこで本研究チームでは、この方法を応用し、造血幹細胞がごくわずかに含まれる骨髄細胞から、磁気ビーズを用いた免疫磁気細胞分離法とその後の簡単な培養操作のみで、造血幹細胞の機能を維持したまま選択的に純化・濃縮できる技術を開発した。
 これにより、体外での造血幹細胞への遺伝子導入が容易になると同時に、その大量増幅もできることから、従来のような放射線照射などの前処置を用いることなく、移植が可能となった。

 この研究には先行研究として、以下の日本医療研究開発機構(AMED)のプレスリリースがあった。
「液体のりで造血幹細胞の増幅に成功―細胞治療のコスト削減や次世代幹細胞治療に期待―」(東大 山崎聡教授、2019年5/30)
 こちらの方が基本的な研究らしい。

 2番目は読売新聞の「マウスのES細胞から卵子を作製、九大など成功…不妊治療に活用期待(7/16)」である。
 様々な細胞に変化できるマウスのES細胞(胚性幹細胞)から卵巣の組織を作り、試験管内で正常な卵子を作ることに成功したと、九州大の林克彦教授(生殖生物学)らの研究チームが発表した。
 不妊治療の研究に役立つ可能性がある、という。

 3番目は朝日新聞の「腸内細菌増えすぎもだめ? 前立腺がん増殖させる細菌も(7/19)」である。
 大腸がんや糖尿病の予防効果を持つ腸内細菌が、一方では前立腺がんの増殖をうながす。
 近畿大と大阪大の共同研究チームが、こんな研究成果をまとめた。
 専門家は腸内細菌の群れ「腸内フローラ」のバランスを整えることが大事だという。

 4番目は毎日新聞の「唾液で迅速に大腸がん検査 短時間で高精度に 慶応大(8/3)」である。
 慶応大先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)の曽我朋義教授らは3日までに、唾液による大腸がん検査について、多くの人から採取した検体を一度に測定する技術を開発したと発表した。
 精度も高い上、検査に要する時間が大幅に減り、手軽ながん診断へ期待がかかる、という。

 5番目は毎日新聞の「核酸医薬を脳内に効率良く アルツハイマー病の根本治療に可能性(8/13)」である。
 病気の原因となるたんぱく質を作り出す、細胞内の特定の遺伝子に直接作用する次世代薬「核酸医薬」を、これまで困難だった脳や脊髄(せきずい)内の神経細胞に効率よく届ける手法を開発したと、東京医科歯科大のチームが13日、科学誌ネイチャー・バイオテクノロジー電子版で発表した。
 アルツハイマー病やパーキンソン病など、神経難病の根本的な治療につながる可能性がある、という。

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         図15 核酸医薬を脳内に、のイメージ

 6番目は毎日新聞の「ミャンマーの植物から抗がん作用の物質抽出 名古屋市大グループ(8/13)」である。
 ただこのキーワード検索しても出てこなかった。

 でも以下の記事が出てきた。
 毎日新聞の『ミャンマーの植物から抗がん成分発見 名古屋市大「創薬に」(6/14)』
 名古屋市立大の研究グループは、高知県立牧野植物園と協力し、ミャンマーのキョウチクトウ科植物から抗がん作用のある化合物を抽出したと発表した。
 同国では軍のクーデターで政情不安が続く。
 同大薬学研究科の林秀敏教授(生化学)は「今は研究どころではないだろう。将来的にミャンマー政府と協力し、現地の産業育成にもつながれば」と話している、という。

 おそらく以前の記事(6/14)を知らなかった別の記者が載せた(8/13)のかな、と思う。

 7番目は毎日新聞の「研究進むアルツハイマー早期診断 脳にたまる異常たんぱくを可視化(8/18)」である。
 アルツハイマー病など認知症の治療を効果的に進めるには、客観的なデータに基づく診断や、早期発見が欠かせない。
 そのために必要なのが、脳内にたまる原因物質の量や場所を知ることだ。
 そこで、脳を切らずに調べる方法や、疑いのある人を健康診断などで極めて早期に見つける手法の開発が進んでいる、という。

 8番目は日経新聞の「ダイヤでウイルス高感度検出 量研機構、診断に活用狙う(8/23)」である。
 ダイヤモンドを使い微量な病原体などを検出する手法に期待が高まっている。
 ウイルス感染症では、初期は検体中のウイルス量が少なく、間違った判定をしてしまうこともあった。
 量子科学技術研究開発機構などは特殊な装置がなくても高感度に検出する手法を開発した。
 2050年にはウイルスやがんの診断や基礎研究でダイヤの活用が一般的になっている可能性がある、という。
 これ以上は有料会員限定で見られなかった。

 9番目は朝日新聞の「精子の運動に必須のたんぱく質発見 不妊治療活用も(8/25)」である。
 大阪大学などの研究チームは、精子が正常に動くために必要なたんぱく質の一種をマウスで発見した。
 このたんぱく質はヒトにも存在することから、男性側が原因となる不妊症の原因究明や避妊薬の開発に役立つとしている。

 10番目は毎日新聞の『受精卵培養期間延長、議論に 「14日ルール」 国際学会が指針改定(8/26)』である。
 生命科学の研究で、細胞分裂の始まったヒト受精卵の培養は何日目まで許されるのだろうか。
 多くの国では上限は「14日」で定着しているが、これが見直されようとしている。
 生物学的な理解が進むと期待される一方、倫理的課題もあり、議論となりそうだ、という。

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         図16 受精卵培養研究

 11番目は読売新聞の『筋肉増やすなら「朝食にたんぱく質」…早大チーム発表、高齢者の健康維持に活用も(8/30)』である。
 朝にたんぱく質を多く含む食事をとることが、筋肉の増加に効果的であることを動物実験で確認したと、早稲田大の柴田重信教授(時間栄養学)らの研究チームが発表した。
 食事の量とタイミングを活用した高齢者の健康維持法につながると期待される、という。

 確か以前NHKの「ガッテン」で同じ内容のことが紹介されていた記憶がある。
 一度に多くの栄養を摂っても体内に吸収できる量は限られているから、3食を栄養バランスよく食べること、ということだったと思う。
 また、就寝中にも体内の臓器は起きている時と同じくアミノ酸を消費し、足りなくなった時には筋肉から借りてくる、というようなことも説明されていて、この不足した筋肉中のアミノ酸を補う意味でも、朝のタンパク質摂取は筋力低下・老化防止になる、と説明されていたと思う。

 12番目は読売新聞の「人の受精卵の遺伝子改変、遺伝性疾患の基礎研究で認める方針…生命倫理専門調査会(9/5)」である。
 政府の生命倫理専門調査会は、遺伝性疾患の治療法開発などに役立てる目的で、人の精子と卵子から受精卵を作った上で、ゲノム編集技術を用いて遺伝子改変する基礎研究を認める方針を決めた。
 総合科学技術・イノベーション会議などの審議を経て正式決定される、という。

 何か危険な研究のような気がする。
 中国で確かゲノム編集したベビー誕生でもHIVか何かの病気に関連した研究だったと記憶している。
 遺伝性疾患の治療という美名の下に、どんどん研究がエスカレートしないか、どこで歯止めがかけられるか、が焦点と思う。

 13番目は毎日新聞の「線虫で早期膵臓がん検出 尿のにおい嗅ぎ分け 大阪大など発表(9/9)」である。
 大阪大などのチームは6日、嗅覚が鋭い線虫の反応を利用して、発見が難しい早期の膵臓(すいぞう)がんを人の尿から検出できたと発表した。
 膵臓がんは10年生存率が6・5%と、がんの中でも低い。
 早期診断が重要だが、画像や腫瘍マーカーなど従来手法では難しく、チームの石井秀始特任教授は「早期診断法の開発につながる」と話している、という。

 すい臓がんは自覚症状がなく、何か変だと思った時は手遅れ、ということがあるようで、早期発見が望まれるところである。
 私もすい臓に関して以前ポリープのようなものを人間ドックで指摘され、精密検査でがんではないことを確認したような記憶がある。

 14番目は朝日新聞の「ALS進行、白血病の薬で食い止める iPS創薬の治験で世界初(10/1)」である。
 体が徐々に動かなくなっていく難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」について、京都大などのチームは30日、iPS細胞を使って見つけた治療薬候補の「ボスチニブ」を飲んでもらう治験の結果、一部の患者で進行を止められた可能性があると発表した。
 ALSの進行を食い止めた例は世界初とみられる。

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         図17 ALS治療の状況

 前にテレビドラマでこのALSのことを描いたものがあった。
 怖い病気だと思った記憶がある。

 15番目は日経新聞の「脳の地図がみえた 神経細胞1000億、医療やAI進化(11/20)」である。
 謎に包まれた脳の研究で最近、神経細胞の地図が一部完成した。
 日米欧は2010年代半ばから大型の研究事業を始め、米国が成果をまとめ、高い評価を受けている。
 脳の仕組みをもっと詳しく探るため、専門家たちは実験や観察の新技術と国際的な協調が必要と考えている。
 これ以上は有料会員限定で見られなかった。

 16番目はNHKニュースの『生活習慣病などで体内にたまる「老化細胞」 マウス実験で除去(12/11)』である。
 年齢を重ねることに伴って起きやすい、生活習慣病などの人の体内では、老化して正常に働かなくなった細胞がたまっているとされる。
 順天堂大学などのグループは、マウスの実験でワクチンのように免疫を刺激する物質を投与して「老化細胞」を取り除くことができたと発表し、将来、老化に伴う病気の治療につながる可能性もあるとしている、という。

 17番目は毎日新聞の「抑制たんぱく質を発見 アルツハイマー原因物質に関与(12/30)」である。
 アルツハイマー病の原因物質として有力視されている「アミロイドベータ(Aβ)」の生成を抑えるたんぱく質を、阿相皓晃(ひろあき)・元 慶応大講師(神経科学)や民間の「グロービア ミエリン研究所」(横浜市)などのチームが動物実験で発見した。
 脳内の神経細胞から伸びる「軸索」を覆う構造物「ミエリン」の形成にかかわるたんぱく質「MBP」で、発症の仕組み解明や治療への応用が期待される、という。

 医療の面では、いろいろな治療法が開発されてきていいと思う反面、生命倫理に抵触するような研究も続々と出てきており、これらの研究抑制等をどのように行うか、が問われる。
 人の受精卵の培養期間延長、マウスのES細胞から卵子、人の受精卵の遺伝性疾患についての改変、等が人間の尊厳に関わるものである。
 これらの認可での専門家会議では理系だけでなく、倫理や哲学等文系の専門家も同数委員で構成しないと危ない結論になりそうである。
 世界の人々の科学的なリテラシーが問われることになると思う。

 科学トピック下半期のまとめ(その1/2)はここまでとする。
  -以上-

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