第1回ユニバーサルデザインまちづくりワークショップに参加

 今年のユニバーサルデザイン(UD)まちづくりワークショップ(WS)はあるのだろうか、というのが最初に感じていた印象である。

 緊急事態宣言が4月7日に出されて、そういう感想を持った。
 でも4月13日に江東区の担当者から、昨年度の冊子を作成している旨のメールが届き、その中に今年も開催、ということが書いてあった。

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         図1 昨年度の活動冊子の表紙

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         図2 声かけの状況その1(昨年度の報告書より)

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         図3 声かけの状況その2(昨年度の報告書より)

 江東区のやる気はわかったが、果たして無事に開催できるか、その前に今年の参加者募集はあるのかと思っていたが、4月20日過ぎには募集が始まっていたようである。
 私の記録では4月28日に今年度の応募原稿を書いていた。
 ちなみにその文は以下の通りである。
 『ここ数年このユニバーサルデザインまちづくりワークショップに参加しています。
元々はメーカー勤務時代にユニバーサルデザイン(UD)のことを知る機会はあったものの、その内容について深く考えることはありませんでした。
 しかし退職した今はフリーな立場からこのユニバーサルデザインを見直したいと思い、参加してきました。
 車いすの人、視聴覚障害者、外国の人等と関わりを持って、初めて見えるものがありました。
 今新型コロナウイルス対策としてマスクをかけていると、寒い時メガネが曇って俄かに視界が悪くなったりして視覚障害者はこんな感覚なのかも、と思ったりしました。
 車いすの人と話したこともなかったのに、今は普通に話せることに私自身が驚いています。
 昔から、障害を持った人はクラスが別だったり、学校自体が違っていたり、と障害者と交わることがありませんでした。
 だから、障害者との会話する不安、何を話せばいいか、というようなことも、散策等を行っていると、いろんな疑問が湧いてきて、質問ばかりしていたようにも思います。
 しかし、それだけ自分に知識がなかったこともあります。 
 外国人とも片言ではあっても話すことで、少し会話に対する恐怖が和らいだようにも感じます。
 今年は、できればけん玉や折り紙等の日本文化とUDとの関連性等を考えていきたいと思います。』

 上記の原稿を出して、5月7日に採用と思えるようなメールが届いた。
 しかし、5月末に予定していた開催日を7月12日に延期する旨のメールであった。

 6月30日に確認のメールが届いた。
 7月7日にまたメールが届いたので何かと思っていたら、参加当日の検温、マスクの着用について、であった。
 会場には消毒液も用意している、とのことであった。
 5月末に緊急事態宣言が解除されたので、ようやく動き始めたようである。

 7月12日(日)の当日の朝に検温して、36.4度であったので、これで第1関門はクリアした。
 マスクをかけて午後に出かけ、江東区文化センターに行くと、5階が会場である、との貼り紙があった。
 5階に上がると、受付で名前を言った。
 7班と言われた。
 またずいぶん人数が多そうだな、と思った。
 会場に入る前に手の消毒を言われたので、消毒して入った。
 7班の席で静かに開催時間まで待っていた。
 昨年までだと、この待ち時間を利用して、隣の人に話しかけるのがパターンであった。
 しかし、さすがに今年だけはそれは3密回避の関係からまずいだろうと空気を読んでしまった。
 それからしばらくすると、6班に移動して欲しいと言われた。
 どうも欠席者が多かったためらしい。

 プログラムは末尾に添付する。

 まもなくワークショップ(WS)が始まった。
 あいさつでは江東区の担当者から話があった。
 このWSは20年前から継続している、一般区民、相談員、区職員が各々3分の1ずつの構成としてきた。
 今回は41名の一般区民の参加があったようである。
 (ただし、欠席も多かったようで、そのせいで、私は編成替えされた。)

 続いて、今年度の進め方が区から委嘱された進行グループの一人H氏から説明があった。
 今年のテーマは、初めてユニバーサルデザイン(UD)に触れる人でも理解できる「(仮)UD啓発(大人向け)」冊子を検討する、とのことであった。
 具体的には
  (1)WS参加者がUDについての理解を深めること
  (2)WS参加者同士で必要な時に手助けできるようになること
   (参加者の中には車いす、視聴覚障害者、内臓疾患等の人が参加していた。)
  (3)初めてUDに触れる人にどうやって伝えたら理解してもらえるかを考える
  (4)冊子づくりに提案すること
が求められる姿のようであった。

 大まかなスケジュールとしては、今回のキックオフが第1回(PM)、第2・3回は9/5(土)AM/PM、第4・5回は10/4(日)AM/PM、第6・7回は12/5(土)AM/PM、第8回は来年1/31(日)PMということで、AM/PMではおそらくAMにまちを散策、PMにその成果をまとめる、ということになるであろう。
 第8回は冊子案の検討ということになっていた。

 次に講座では「UDってなんだろう?」というタイトルで、川内アドバイザーより講演があった。
 川内氏は車いすの人で、東洋大学の非常勤講師も勤めている。

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        図4 川内氏の講演(昨年のもの)

 かつて障害者は障害があって社会に出ていけないのは、障害者本人に問題があると考えられていた。
 問題を人の側から考える思考で、『医学モデル』と呼ばれる。
 障害者は障害があって社会参加できないのは、住んでいる社会に問題がある、とする思考が出てきた。
 問題を社会のシステムが十分整えられていない、とする思考で、『社会モデル』と呼ばれる。
 人が社会に関われるようにするには、人と社会の双方の努力が必要ということで、バリアフリーの動きが出てきた。
 『リハビリすべきは社会だ』というのが、今日の「障害」観である。

 途上国に行くと、日本でできていることがそこではできない。
 不便がある、不平等がある、差別がある、という問題の何がいけないのか。

 そこには『人間の尊厳』という考え方が抜け落ちているからである。
 2006年に国連で障害者権利条約が採択されたが、その中の考え方は、障害があろうとなかろうとすべての人権及び基本的自由を認識し、これを尊重することである。
 差別かどうかの判断は『他者との平等かどうか』による。
 ここで合理的配慮という用語が登場する。
 障害者が何かを実施する時に伴う負担が過重とならないように配慮、ということである。
 (例えば、車いすの人がトイレに行くときとか、この会場は5階だがエレベータがないと上がって来られない、とか。)

 日本の社会は主流となる人・多数派に都合のいいようにできている。
 障害のある人は多数派に都合のよい社会で困っている。
 高齢者も多数派の社会で困っている。
 でも彼らは自分が年を取ったからで、自分が悪いと思いがちで、社会の問題と気がつかないことが多い。

 障害のある人は社会に問題があることを知っている。
 障害のある人を見ることで、多数派の社会の問題点が見えてくる。

 一人一人の目の付けどころや発想は違う。
 一つの問題を色々な人が考えることが大切なのである、と説明した。

 私は質問で、私はメーカー出身でUDのことは会社で知ったが、メーカーの多くはUDという意識がないのではないか、と聞いた。
 それについて川内氏はいろいろな要望等をいろいろなところに出しているようだったが、これは話しだすと長くなるから、とそれ以上は答えてもらえなかった。

 次にグループワークと発表1に移った。
 『社会モデル』を私の立場で考えてみる、というテーマである。
 Q「私が基準で考えられていない」と思うことありませんか、という内容で、グループ内で討論することであった。
 しかし、実際には困ったことはあまり出てこなかった。
 6班には車いすのO氏がいたので、彼の意見を採用した。
 歩道と道路の段差が2㎝以下と法律では決められていても、ほとんどなっていないので苦労する、ということである。
 グループ発表する時に、このことを私が発表した。

 この後、休憩となった。
 私は廊下に出て、ペットボトルの水を飲んだ。
 今回はマイボトルも持ってきたが、会場で水のペットボトルが一人1本ずつ用意されていたのでそれを飲んだ。
 室内だとマスクを外すと、コロナの3密に相当しそうだと思い、廊下でマスクを外して飲んだ。

 休憩後にビデオ上映・寸劇・お話の3件が連続して行われた。
 多様な立場の人がまちや暮らしで感じていることを参加者に実感してもらうことが狙いらしかった。
 まずビデオでは、車いす使用者のS氏とO氏の2人が、車いすで会場となる文化センターからすぐ近くの江東区役所まで行く、というものであった。(ビデオは事前に撮っておいたもので、当日に移動したのではない。)
 文化センターは階段があって、その横になだらかなスロープがついていた。
 彼らはそのスロープを降りて行くが、遠回りの感がある。
 降りて並木道を行くが、植栽の中は段差があって進めない。
 通行人がたくさんいると、ちょっと通行しにくいと恐怖を感じるようであった。
 それは通行人の方も同じかもしれない。
 車いすの人が通行していると、ぶつかったらどうしよう、ということである。
 区役所に行く近道を行こうとしたが、看板がないので、区役所に通じているかどうかわからない。
 でも行ってみた。
 行き止まりだったので引き返した。
 これだけの行程でも何度も心配事が起きた。
 私たち健常者にはわからない心境があるようである。

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         図5 まちでの声かけ1(昨年度の報告書より)

 次に視覚障害者のN女史が自分の家から近くの駅の改札口まで行くと仮定したビデオであった。
 コロナ騒動でマスクをつけているが、風を感じなくなる、という。
 車の音が聞こえると慎重になる。
 路上駐車している車には困る。
 白杖を左右に振りながら歩いて行く。
 この左右に振る、というのも盲学校で教わったことで、中途で盲目になった人は知らないかもしれない。
 白杖を振ることで障害物があることを知る範囲が広くなるようである。
 電柱はOKだが、たまに支える支線があると怖い。
 ガーっという魚屋さんの冷凍庫の音が聞こえる。
 魚屋さんを通っていることがわかる。
 街路に音楽が流れている。
 道路がかまぼこ型にがたがたしていると困る。
 十字路や線路は怖い。
 線路の横断の時に横に落ちたりする。
 道路を渡る時にエスコートゾーンを頼りにする。
 (黄色い視覚障害者用点字ブロックの横断歩道版で、大仏の頭のような凸凹が横断歩道の白線部分に設置されている。江東区役所の前にはあるらしい。)

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         図6 まちでの声かけ2(昨年度の報告書より)

 次に弱視のK氏が散歩するビデオを見た。
 看板はあまり見ない。
 点字ブロックを見ながら歩く。
 目の高さにあるものは見やすい。
 店のイメージカラーは重要な目印になる。
 階段の上りはわかるが、下りはわかりにくい。
 タイル張りだと特にそうである。
 店の看板が青のものは見やすい。
 見え方アプリを利用する。

 次は知的障害者Sさんの話であった。
 今グループホームで生活している。
 以前は大叔母さんと2人暮らしだったが、亡くなったのでグループホームに入った。
 恋愛はダメ、と言われた。
 オキテを破ると、出ていくことになる。
 子どもができたりすると責任が負えなくなる。
 トラブルも起こる。
 慣れるまで大変だった。
 世話人とはよく話した。

 次は聴覚障害者の寸劇2つであった。
 1つ目はコンビニに客として聴覚障害者のKo氏が来た。
 レジ袋はいりますか、と店員が聞く。
 店員はマスクをしているから、唇が読めない。
 コロナで筆談もダメだという。
 ジェスチャーと指差しで何とか通じた。

 次は聴覚障害者の店員に車いすのお客が来た。
 注文はどうしますか。
 1つ1つ確認して欲しい、とのことだった。
 今は聴覚障害者用の注文カード(このカードの絵を指差しで相手に伝える)を準備しているお店もあるらしいが、少数である。

 最後は難病者のO女史の話であった。
 内臓に病気を持っており、何回も手術した。
 見かけは普通に見えるので、特別扱いはしてもらえないようであった。
 ヘルプマークを持っているはずであろうが、確認し忘れた。

 この後にグループワーク2ということで、UDについての感想や意見を議論した。
 それをグループ毎にまとめた。

 1班は知的障害者の恋愛について、人間の尊厳の立場から見てどうなのか、という意見があった。
 2班はエスコートゾーンについて、見たことがない人がいた。
 視覚障害者が音の情報が多いことにびっくりした。
 ビデオに字幕がついていなかった、と指摘した。
 (会場には手話通訳者2名がいて、交替で手話通訳を行っていたが、普通はなかなかない。)
 3班はすべての人が明日は我が身、という意識が必要である。
 中途で失明するかもしれない。
 誰もがUDの視点を持たないといけない。
 UDは外国人も含むのか、という疑問が出された。
 これには司会から今回は外国人がいないが、当然含むと答えた。
 4班は小学校で手話を教えている人がいた。
 給食時間にコロナ対策でしゃべっちゃダメ、ということに対する対策、とのことだった。
 小学校の出前授業にも関心を示していた。

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         図7 江東区のUDの取組の一例

 私は6班にいたが、自分の班の発表を聞いていなかった。
 私が高校の時に骨折して電車通学ができず、兄に1か月車で送り迎えしてもらった。
 あの時のことを考えてみると、UDについて考えるチャンスだったかもしれない、と言った。
 8班まであったが、記録を残していない。

 最後に事務連絡ということで、アンケート記入をお願いします、とのことだった。
 私はビデオや寸劇に「百聞は一見に如かず」と書いておいた。
 今までのWSではこうしたビデオが最初になくて、散策途中で気がつく、というものであったが、やはり最初にインパクトがある方がいいと思った。

 その時に司会のH氏がその日の夜にZoomでのネット会議実験をやりたいので、関心がある人はメールをください、とのことであった。
 それでWSは終了した。

 家に帰り、さっそくH氏宛にメールした。
 すると、Zoom用のアドレスが送られてきて、早めに夕食を食べて、19時半にアクセスしてみた。
 しかしつながらない。
 H氏からスマホに連絡が来て、再度アドレスを送ったからそれでアクセスして欲しい、とのことであった。
 それに再度アクセスしてみたが、それでもつながらない。
 しびれを切らして、諦めます、との電話をかけたら、向こうでアクセスの通知が来たみたいで、何とかつながった。

 今までZoomは2回経験があり、両方ともシンポジウムなので、こちらからマイクを通じて話すことも画像が出ることもなかった。
 今回の場合は実験ということで、マイクもカメラも起動していて、まさにオンライン飲み会状態になった。
 参加者はH氏(と奥さん)、内臓障害のO女史、視覚障害者のS女史とN女史と私の5人であった。
 S女史とN女史はタブレットを使い、飲み屋でアクセスしていた。
 彼女らはカメラをOFFにしていた。
 私のパソコンのカメラと音声機能も大丈夫、ということがわかった。

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         図8 Zoomでの会話の様子(絵はネットから抜粋、私たちは横一列で表示された)

 詳しい内容は控えるが、印象に残った数点について語る。
 私の背景に移る絵について聞かれ、伊藤若冲の絵と答えた。
 患者による病院設計の概念がある、と言った。
 実施されている例はあるのか、と聞かれたので、概念のみと答えた。
 (後で調べてみたが、今年の6月18日にネットでのスポーツシンポで脳性マヒで車いすの東大の熊谷氏が医療の利用者が医療をデザインする、と説明していた。
 これはスポーツでいうと、アスリートファーストでデザインするとスポーツはどうなるのか、ということと併用で説明していたことであった。)
 私は空気を読まない人と見られていたようである。
 でも空気を読まなかったら30年サラリーマンはできない、と答えた。
 ではなぜ、と更問されたので、ある講演会で講師が空気を読むな、と言われたので、それ以降にそれを意識したら、だんだんそうなってきた、と答えた。
 オリパラでオリンピックは50種目、パラリンピックは半分の20種目程度で、オリンピック種目をすべてパラリンピックでも行うとどうなるか、と言った。
 私はボーリングが趣味で、左右両手で投げられる、と言った。
 N女史はテニスを始めたらしい。
 O女史は医師に止められる、と言ったので、e-スポーツもあるというと、苦笑いしていた。

 以上で長い一日が終わった。

 UDについては、これからも考えていきたいし、そのためにもこのUD・WSに可能な限り参加していきたいと思う。


<令和2年度 第1回ユニバーサルデザイン(UD)まちづくりワークショップ>
 1.日時:2020年(令和2年) 7月12日(日曜日) 13時30分~17時
 2.場所:江東区文化センター5階 第6~8会議室
 3.参加者:区民、相談員、区職員他
 4.プログラム
  13:30 あいさつ
  13:35 今年度の進め方
  13:55 【講座】「UDってなんだろう?」講師 川内美彦アドバイザー
  14:35 【グループワークと発表1】
     『社会モデル』を私の立場で考えてみる
      Q「私が基準で考えられていない」と思うことありませんか?
      ・グループで共有
      ・全体で共有
  15:00 休憩
  15:10 【ビデオ上映・寸劇・お話】
      多様な立場の人がまちや暮らしで感じていること
      ・車いす使用者
      ・視覚障害者
      ・知的・精神障害者
      ・聴覚障害者
      ・言語障害者
      ・難病者
      (・妊婦、杖使用者)
  16:10 【グループワーク2】
      UDについての感想や意見
      Q1 ビデオ上映・寸劇・お話を聞いての感想
      Q2 UDについて初めて知ったこと、気づいたこと
       ・各自、フセンに記載してもらう
       ・グループで共有
       ・全体で共有
  16:55 事務連絡、アンケート記入
  17:00 終了

 5.その他注意事項:
 新型コロナウイルス感染拡大防止の観点より、ご出席の際にはマスク着用が可能な場合はご協力をお願いいたします。
 会場にはアルコール消毒液を用意いたしますので、ご利用ください。
 ご出席に不安のある方、あるいは当日(またはその直前でも)ご体調がすぐれない場合については、無理をせずご欠席いただいて結構です。
  -以上-

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