防災科研の成果発表会に参加

 防災科研の成果発表会(2020/2/13(木))に参加した。
 これもブログで書いた日程が前後している。

 今年の1月10日(金)に日本防災士機構から上記の案内メールが来た。
 以前日本防災士会からのメールと勘違いしていたが、メールは日本防災士機構(防災士の認定試験を担当)、封書で案内が来るのは日本防災士会(組織率1割未満、約18万人の防災士がいて、日本防災士会に入会しているのは1万人弱)で、防災士会の方が旧態依然の感じがする。
 この防災科研(防災科学技術研究所) といい、令和防災研究所といい、何か紛らわしい名前が多くついている。
 この防災科研は国立研究開発法人であるが、昨年参加した令和防災研究所はNPOらしい。
 令和防災研究所は日本防災士会が関連しているが、この防災科研と防災士会はあまり関係がないように見える。
 この会も似たり寄ったりだろうとは思ったのだが、ゲストに池上彰氏を呼んで対談、というプログラムを見てつい申込してしまった。
 この科研は2月10日にリマインドということで、メールが来た。

 2月13日にはティバッグのお茶をマイボトルに入れた。
 この時すでに新型コロナウイルスの報道が出ていたので、マスクをかけて出かけた。
 いつもより少し早めの時間に出て、JR有楽町駅の近くのホールと思って南出口の有楽町マリオンの方に行った。
 でも何も開催されていない。
 おかしいと思って、会場の東京国際フォーラムに電話したら、駅南の朝日ホールではなく、駅北の方の会場だった。
 完全に勘違いしており、慌てて駅の北の方に行き、やっとたどり着いた。

R2-3-15 411_01-img-01 東京国際フォーラム概観.jpg
         図1 東京国際フォーラムの外観

 早めの時間だったので、何とか東京国際フォーラムB棟に着いた。
 ここはエスカレータが長く、7階なのだが、エスカレータ2本を乗り継いで上がった。
 休み時間にはエスカレータで1階まで降りてみた。
 避難訓練のつもりであった。

 会場受付でメールの受領票を示すと、資料一式を手提げバッグでくれた。
 この中には、プログラム、資料だけでなく、USBが1個入っていた。
 この中に今日の発表資料がすべて入っているようであった。
 研究成果ポスター発表での人気投票のために金色のシールも入っていた。
 気に入った研究があれば、このシールをその研究ポスターに貼って欲しい、とあった。
 この金色のシールの多い研究ベスト10は研究費の増額を行う、と説明があった。
 また、池上彰氏の対談のために質問投稿ができるsli.doというスマホのアプリが用意されていた。
 プログラムの裏にその専用ページへのアクセスができるQRコードが表示されていた。
 そのQRコードを読み込み、質問専用ページにアクセスできるようにしておいた。
 このQRコード読取アプリも以前読込したいと思って、apple store から無料でダウンロードしておいた。
 プログラムは末尾に添付する。

 最初に林理事長が開会挨拶を行った。
 防災技術は研究して終わり、ではない。
 実用化して初めて意味がある。
 今日は池上彰氏をゲストに迎えて、風水害にフォーカスを当てる。
 昨年8月に九州豪雨、9月に台風15号、10月に台風19号が来て、国土整備の欠陥が明らかになった。
 動員力には限界がある。
 これまでの公助だけではやっていけない。
 自助・共助を高める必要がある。
 いざという時に的確に行動できるようにしておくことが必要である。
 今日会場に来た人が率先して実行して欲しい、と言った。

 第1部では『1年間の研究成果から「知る、備える、行動する」を考える』というテーマで、7件の発表があった。

 (1)では「オリンピック・パラリンピックにも貢献!30分先までの大雨をピンポイントで予測」というタイトルで、国家レジリエンス研究推進センターの岩波氏が発表した。
 ゲリラ豪雨について説明する。
 2017年多摩川の花火が中止になった。
 ツイッター投稿が多かった。
 ゲリラ豪雨というのは定義が決まっていない。
 気象庁は局地的大雨といっている。
 監視はOKだが、予測は難しい。
 雨雲の立体構造を隙間なく30秒で観測可能なマルチパラメータフェーズドアレイ気象レーダ(MP-PAWR)を埼玉大学に設置して、半径60~80㎞の範囲で観測している。

R2-3-15R1  MP-PAWR 岩波氏.jpg
         図2 気象レーダの状況

 従来は3分間隔であったが、このレーダは30秒間隔であり、250m格子である。
 また雷の予測なども行う。
 大雨の直前予測手法としてVILナウキャストというシステムがあり、地面付近の雨量でなく、上空の雨量分布を検知して、急な雨量変化にも対応できるシステムとした、と説明した。

 この後に司会から池上氏にコメントが求められた。
 池上氏は、専門用語が多すぎる、スマホアプリがあると便利かも、今の若い人はゲリラと言われてもわからない、とコメントした。
 以後報告が終わる毎に池上氏がコメントを求められ、池上氏がコメントするというスタイルであった。
 会場の質問についてはスマホアプリsli.doで入力し、後で一括回答というものであった。

 (2)では「大雨の希さから危険を知る」というタイトルで、水・土砂防災研究部門の平野女史が発表した。
 大雨について説明する。
 昨年の台風19号で総雨量の分布を示す。
 500㎜以上のところが多かったが、九州の雨の方が多かった。
 阿武隈川と千曲川で洪水が起こった。
 希(まれ)な雨であることが災害につながる。
 100年の期間のうち、600㎜を超えたのは5回のみである。
 大雨の希さを再現期間という言葉で表す。

R2-3-15 R1 降水量の再現期間 平野氏.jpg
         図3 降水量の再現期間の状況

 再現期間が長いということは降水が希なことを示す。
 雨量を500㎜単位で分けてみる。
 これは大雨の希さを示し、それが危険度に結びつく。
 インフラを整備していたが、その設計を超える災害だった。
 大雨の希さをリアルタイムに推定することを目指している、と説明した。

 池上氏はスクリーンの画面が一瞬見えない想定外のことが起こった、希さという用語はあまり使われていないので変えた方がよい、50年に1度、100年に1度と言われてもぴんとこない、研究所外で聞いてみた方がよい、とコメントした。

 (3)では「ハザードからリスクへ!リアルタイムに洪水・土砂災害リスクを知る」というタイトルで、防災情報研究部門の佐野氏が発表した。
 土砂災害について説明する。
 雨が社会にどういう影響を与えるか。
 風水害の原因を調べている。
 災害はなぜ起きるか。
 ハザードは何か。
 降雨の強度や実効雨量を測る。
 雨は留まらずに流れていく。
 半減期は72時間である。
 社会がハザードから受ける被害については人口密集地域が大きい。
 外水氾濫リスクを調べる、と説明した。

 池上氏は半減期72時間というが地域によって変わるはず、内水氾濫、外水氾濫の区別が分かりにくい、高齢者はハザードの用語がわかりにくい、50㎜降ると下水処理できない量になる、等をはっきり示した方がいいとコメントした。

 (4)では「衛星データから被災状況を早く知る」というタイトルで、国家レジリエンス研究推進センターの田口氏が発表した。
 台風19号は希水性、甚大性、広域性のあるものだった。
 全容把握の困難さがある。
 宇宙から俯瞰する方法がある。
 衛星の光学センサーやレーザーセンサーを使う。

R2-3-15R1 衛星観測 田口氏.jpg
         図4 衛星データを用いた検討

 EUのセンチネル1衛星や建物データを使う。
 どこの自治体が大変な災害を被っているか。
 適切なタイミングエリアを探す。
 衛星のシミュレーションを行っている、と説明した。

 池上氏はセンチネル1は自由に使えるのか(オープンと回答)、大きい被害のところは連絡できないだろう、常にどんな衛星がどこに飛んでいるかわかるといい、情報プロダクツは商品である、とコメントした。

 (5)では「SIP4Dで災害情報を共有する ~250s/NIED-CRS/ISUT~」というタイトルで、総合防災情報センターの取出氏が発表した。
 SIP4D(基盤的防災情報流通ネットワーク)について報告する。
 今まで省庁でデータがバラバラだった。
 これを統一して、データ流通ネットワーク、省庁連携ネットワークとなるSIP4Dシステムを作った。
 防災科研のクライシスレスポンスサイト(CRS)にある。

R2-3-15R1 SIP4Dの概要 .jpg
         図5 SIP4DとISUTの活動状況

 台風15号では千葉で停電が起こった。
 停電の可視化を行った。
 ドローンで撮影した。
 ISUT(災害時情報支援チーム)は内閣府と防災科研の防災チームである。
 台風15号の倒木等を250メッシュでフォーマットをそろえた。
 建物情報と災害情報を重ね合わせる、と説明した。。

 池上氏は、フジテレビの特番でSIP4Dのことを放送していたのでよく知っている、とコメントした。

 (6)「水害に強いすまいを考える」というタイトルで、先端的研究施設利活用センターの酒井氏が発表した。
 水害に強いすまいについて報告する。
 普通の住宅と水害に強い住宅の2つに色々なセンサーやカメラ60台を装備して実験した。
 水害に強い住宅は内部に水が浸入しなかった。


R2-3-15R1 耐水害住宅 酒井氏.jpg
         図6 水害に強い住宅の浸水試験の様子

 耐水性の住宅のレジリエント性が確認できた。
 ハードとソフトの対策が必要になる、と説明した。

 池上氏はレジリエントは何か、災害に強いまちづくりは重要、とコメントした。

 (7)では「Dr.ナダレンジャーの自然災害科学実験教室」というタイトルで、広報課の納口氏がパフォーマンスを行った。
 納口氏はピエロに似た格好で現れ、雪崩のメカニズムを100円ショップで買ってきたような簡単な小道具を組み合わせた模型を作って実演して見せた。
 このパフォーマンスについての池上氏のコメントはなかった。

 第2部は研究成果ポスター発表ということで、会場の後ろに146件のポスターが貼ってあった。

 それを奇数番が前半の20分、偶数番が後半の20分の間に説明者が付いている、とのことであった。
 地震、津波、火山、土砂災害、雪崩、災害情報等の研究が表示されていた。
 私は最近宮城県大川小学校津波訴訟で学校や自治体の防災の認識の低さを指摘した裁判があったので、「学校教職員の防災力向上」のところに金色のシールを貼った。
 また、質疑応答スマホアプリのsli.doにアクセスし、ノアの方舟(津波・洪水対策)の現代版(例えば潜水艦や人間魚雷回天)の提案を書いておいた。

 第3部は「避難~災害を乗り越えるための行動をどう促していくか~」というタイトルで、林理事長と池上彰氏による対談が行われた。
 池上氏は発表した各人は実践的に社会への実装化を目指して欲しいと言った。
 情報プロダクツの品質を高める。
 プロダクツをどうアクションに結び付けるか、である。
 大雨が降っている時に地元で入力できる人はいるのか。
 ISUTのチーム(防災科研と内閣府)が活動した。
 クライアントサーバーからWebシステムへの移行が必要である。
 今はパソコンよりスマホ、スマホの標準化が必要である。
 この報告会のビフォーアフターはどうなるのか。
 林理事長はいじっても大丈夫か。
 猿回しの猿と同じ状況かもしれない。
 NHKの災害班にいた時に真っ先に災害現場に駆け付けた。
 日本海中部地震で、子どもの死をいっぱい見た。
 研究者と社会のツーウェイモデルが必要である。
 東工大にリベラルアーツ研究室がある。
 2011年の3.11がきっかけである。
 東大の先生がテレビでベクレルBqとシーベルトSvの話をしていた。
 テレビを見ていても理解できなかった人が多かった。
 専門家の言ったことをアナウンサーも理解できていない。
 文系と理系の間に深い川がある。
 理系の人はコミュニケーション能力に欠けている。
 専門用語ばかり使っていると、社会が見えなくなる。
 水俣病の時、技術者は薄々気づいていたはずだが、見て見ぬふりをした。
 自分のやっていることは世のため人のためになっているか、常に自問自答して欲しい。
 東工大で社会科学、人文科学を教えている。
 理系の論文をつっこむのはうれしい。
 土砂崩れの現場に行くと、なぜこんなところに住んでいたのか、と思う。
 市内に近いことがあったのか。
 防災科研は熊本の被災地に入った。
 そのおかげでSIP4D(府省庁連携防災情報共有システム)の開発が進化した。
 ISUT(災害時情報支援チーム)も進化した。
 大きな被害のところばかりテレビは映す。
 避難や警報のレベル1~5はできているか。
 火山のレベル化はすでにできている。
 レベルを懸命に説明してやっとわかる。
 パッと見てわかるようにしないといけない。
 今日の報告で図面がいっぱい出てきた。
 この中で使った色はISO(国際標準化機構)の色の規定に従っている。
 大勢の人が避難すると、避難所がいっぱいになる。
 垂直避難(建物の上層階)もある。
 避難命令は日本にはない。
 でも避難指示だとまだ大丈夫だと思う人がいる。
 メディアのいうことすら聞かない。
 避難のevacuationとshelteringの違いは何か。

 この後、会場の質問ということでスマホアプリからの質問リストがスクリーンに映し出された。
 無難な質問が取り上げられ、私のノアの方舟の質問は最後の方に画面には出たが、取り上げてはもらえなかった。

 以上で、この発表会は終了した。
 大したことはないだろうと思って参加したが、意外に随所に工夫を凝らしていた。
 質疑のスマホアプリ、人気投票のシール、発表資料のUSB配布等ちょっと驚いたことが多かった。
 国の機関ということで、それなりの成果を期待されている様子が窺えた。

 今後もこの機関の動向には注意を払っていきたい。
 もし可能であれば、防災科学の開発(液体窒素消火器、ドライアイス手りゅう弾、ノアの方舟現代版、魔法瓶型断熱住宅等)を一緒に研究できればいいと思う。

<防災科学技術研究所 令和元年度 成果発表会>
 1.日時:2020年(令和2年)2月13日(木)13:00~17:00
 2.会場:東京国際フォーラム ホールB7
 3.主催:国立研究開発法人 防災科学技術研究所(略称NIED)
 4.プログラム
  13:00-13:20 開会挨拶 防災科学技術研究所 理事長 林春男

 第1部 1年間の研究成果から「知る、備える、行動する」を考える
  13:20-13:35 (1)「オリンピック・パラリンピックにも貢献!30分先までの大雨をピンポイントで予測」
         国家レジリエンス研究推進センター 岩波 越
  13:35-13:50 (2)「大雨の希さから危険を知る」
         水・土砂防災研究部門 平野 洪賓
  13:50-14:05 (3)「ハザードからリスクへ!リアルタイムに洪水・土砂災害リスクを知る」
         防災情報研究部門 佐野 浩彬
  14:05-14:20 (4)「衛星データから被災状況を早く知る」
         国家レジリエンス研究推進センター 田口 仁
  14:20-14:35 (5)「SIP4Dで災害情報を共有する ~250s/NIED-CRS/ISUT~」
         総合防災情報センター 取出 新吾
  14:35-14:50 (6)「水害に強いすまいを考える」
         先端的研究施設利活用センター 酒井 直樹
  14:50-15:00 (7)「Dr.ナダレンジャーの自然災害科学実験教室」

 第2部 研究成果ポスター発表
  15:00-15:40 (8)「ポスター発表」

 第3部 避難~災害を乗り越えるための行動をどう促していくか~
  15:40-16:55 林春男理事長と池上彰氏による対談
  16:55-17:00 閉会挨拶
   -以上-

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