原子力機構報告会に参加

 原子力機構・JAEA報告会(11/12(火))に参加した。

 10月15日(火)に原子力学会より上記の案内が届いた。
 JAEAは福島の研究関連で一番研究が進んでいるので、すぐ参加の申し込みを行った。

 このメールが深川消防署の「えいたい消防フェス」の案内より早かったので、「えいたい消防フェス」で11月12日は不参加とした。

 会場の有楽町朝日ホールは以前行ったことがある気がしたが、一応ネットで調べて、東京メトロ銀座線の銀座駅から徒歩5分とあった。
 当日銀座駅から歩いてみると意外に遠かった。
 地下ばかり歩いたのでそう思ったのかもしれない。
 行く途中ではあちこちの非常口を確認しながら歩いた。

 途中で500mlのペットボトルを買っていった。
 しかしプラスチックゴミ問題があったので、11月末のボーリングクラブから、マイボトル550円を購入して、水道水に麦茶のティーバッグを入れて麦茶にしたものを使うようにした。

 朝日ホールに着いたが、ここは有楽町マリオンという建物の11階にある。
 行くときはエレベータを使ったが、帰りはエスカレータを使った。
 会場に着いて受付に行き、資料一式をもらった。
 プログラムは末尾に添付する。

 その次に近くのスタッフに非常口とそのカギの確認を行った。
 ちょっと面食らっていたようであり、すぐ別の人に聞いて、回答してくれた。
 非常口は通常カギがかっている、とのことだった。
 トイレにも行っておいた。
 会場の下の方に行き、報道関係という表示のちょっと後ろの席に座った。

img_hall R1-11-30 朝日ホール概要.jpg
         図1 朝日ホールの概要

 最初のあいさつに続いて、児玉理事長が「将来ビジョン『JAEA 2050+』について」というタイトルで講演した。
 将来社会はどうなっていくのか。
 温室効果ガスに触れ、わが国のエネルギー政策について述べた。
 エネルギー基本計画では「S+3E」となっている。
 SはSafety(安全性)、3EはEnergy Security(エネルギー安定供給)、Economic efficiency(低コスト供給)、Environment(環境への適合)である。
 わが国の第5次科学技術基本計画でSociety5.0の実現に向けて取り組む、としている。
 Society5.0とは、Iotの活用、ドローン等のイノベーションで地域の課題の解決、AIによる必要な情報が提供される社会、ロボットや自動走行車で人の可能性が広がる社会を作ることである。
 そのためにJAEAは何をするべきか。
 原子力が秘めているポテンシャルを最大限活用する道を目指す。
 そのためには機構内のベクトルを合わせないといけない。
 また社会に対してJAEAの活動内容を発信し、理解してもらわないといけない。

 そのために将来ビジョン「JAEA2050+」を作った。
 従来の原子力発電にかかる研究や医療等の放射線利用に加えて、新たな技術「新原子力」を作っていく。
 革新的原子炉システムや廃炉(デコミッショニング)改革、放射性物質のコントロール等を目指す。
 また他分野との融合によるイノベーションの創出を図っていく、との説明であった。

 講演の1番目は「機械学習が開く放射線計測の未来」というタイトルで、佐々木女史が講演した。
 この講演は機械学習ということで注目していた。
 最初に福島事故で放射線を検出器で測定する(データy)が、そこからその場所での線源強度xを逆問題解析により求める。
 y=axにおいて、x=y/aを求める手法をベクトルと行列(マトリックス)で解く手法、と私は解釈している。
 この演算の結果のデータを数多く出して、それを機械学習させる。
 それをリアルタイムで計算して、すぐにyからxを求めるように、計測した結果から線源強度を求めるようにする研究である。

 ただ今はそこまでの研究ではなく、空中から測定したデータを地上で測定したデータに換算する段階である。
 福島事故では上空からヘリで線量測定を行い、地形の凹凸や樹木等の遮へい物を考慮して地上における線量率分布を計算する。
 この入力(空中測定データ)から地上における線量率分布(出力)を出す過程での入力と出力を機械学習させる。
 実際の計算結果では、森林部の計算結果の信頼性が低いものであった。
 しかし、将来はこれらのデータを多く集めることで信頼性は向上する、とのことであった。

 私は質問で、天候の影響、温度、湿度、雪、雨等の影響はどうか、と聞いたが、はっきりした回答はなかった。

 次に「高温ガス炉による水素製造技術の研究開発」というタイトルで、オドツェツェグ女史が講演した。
 高温ガス炉は原発以外で、水素製造のためのガス炉を開発するものである。
 水素は燃料電池や将来の水素エネルギー社会を目標としたときの基本のガスとなる。

 この水素製造のための熱化学法ISプロセスの概要は以下の通りである。
 ISプロセスは2つの化学サイクル(ヨウ素Iのサイクルと硫黄Sのサイクル)を使って、水H2Oから水素ガスH2と酸素ガスO2を発生する。
 まず水H2Oをヨウ素Iと二酸化硫黄SO2と反応させてヨウ化水素HIと硫酸H2SO4を作る。
  I2+SO2+2H2O→2HI+H2SO4 (1)
 ヨウ化水素は400℃の熱で分解し、ヨウ素I2と水素H2を作る。
  2HI→H2+I2 (2)
 水素H2は取り出し、ヨウ素I2は元に戻してリサイクルする。

 一方、硫酸H2SO4は900℃の熱で分解し、二酸化硫黄SO2、水H2Oと酸素O2 を作る。
  H2SO4→SO2+H2O+1/2O2 (3)
 酸素O2は取り出し、水H2Oと二酸化硫黄SO2は元に戻してリサイクルする。

R1-12-1R2 高温ガス炉の概要2 R1-12-1.jpg
         図2 高温ガス炉の概要(HTTRベース)

R1-12-1 R4 ISプロセスの概要 R1-12-1.jpg
         図3 水素製造プロセスの概要

 この反応サイクルの中で、講演者のオドツェツェグ女史は(2)の水素とヨウ素の分離に関わる水素分離膜の研究をしている。
 この分離膜は高い水素H2透過性、高いH2/HI選択性、400℃の高温に耐える耐熱性を要求される。
 これを満足する膜として、多孔質アルミナをベースとしてシリカを蒸着するシリカ膜を開発している。
 製膜法として化学蒸着(CVD)法を採用し、HI分解反応率50%を世界で初めて達成し、水素製造効率目標50%に達する目処がついた、とのことであった。

 私は質問で、H2とI2(昇華してガスになりやすい)の分離について聞きたかったが、外国人であり、たどたどしい日本語での発表だったので、空気を読んで、遠慮してしまった。

 3番目は「スピンによるエネルギーの有効利用と展望」というタイトルで家田氏が発表した。
 今のIot技術では各種センサー群が年間に1兆個を超えるペースで増大し、電源確保が重要な問題となっている。
 大型コンピュータの「京」は計算機と同じ冷却施設が必要である。

 IT自身で省エネする方法はないか。
 そこで考え出されたのが、スピンによる量子技術の応用である。
 ITの基本となる電気、その大元の電子は発熱の原因となる電荷とコマのように回るスピンを持っており、スピンで磁気の流れを作っている。
 このスピンを利用して、発電の基本原理であるファラデーの誘導起電力をスピンに適用して、スピン起電力を作る。
 このスピン起電力を利用して、従来の発電システムに代わるシステムを作ることを目指しているようだったが、残念なことに後半の説明がほとんどわからなかった。

 この後、トークセッションとなったが、最初の数分くらい聞いて、すぐ外に出た。
 JAEAのヨイショばかり聞いている印象であったからである。

 この報告会では、会場外でパネル展示を行っていたので、そちらに行った。
 そこでは最終処分の研究成果や核変換でADS(加速器駆動システム)等のパネルがあった。

 私は最終処分場が水没する危険性を質問してみた。
 NUMOの科学的特性マップでは適地として廃棄物輸送に便利な海岸線が多く、そういうところが選定された場合に、津波や河川の洪水により処分場が水没する危険性が大きい。
 回答はなかった。

 また、核変換としてのADSは超ウラン元素のアメリシウムやネプツニウム等を消滅させるものだが、おそらくエネルギー経済(発電で得たエネルギーと消滅させるのに必要なエネルギーのバランス)的に引き合わないのでは、と言った。
 こちらも回答はなかった。
 私のダブルガンマ線法はそういうものではない、ということを説明して名刺を渡してきたが、今に至るも何も連絡はない。

 休憩後に4番目として、「福島の復興・再生に向けて~機構における1F廃止措置・環境回復への取組み~」というタイトルで、中山氏が講演した。
 今福島にはJAEAの研究施設として、楢葉に遠隔技術研究センター、三春町に環境創造センター等がある。
 福島第一1Fの廃炉に向けて、IRID(廃炉機構)などと連携して推進している。
 また福島イノベーションコースト構想が進んでいる。
 福島浜通りでは、地元と連携して放射線測定等を行っている。
 そのための人材育成にも取り組んでいる、とのことであった。

 最後に基調講演として「除染廃棄土壌の現状 ―環境再生事業と次世代人材育成―」というタイトルで、飯舘村復興対策課専門員の万福氏が講演した。
 福島で発生した汚染土壌は仮置き場等に約1,400万m3が発生している。
 この土壌については、中間貯蔵開始後30年以内に福島県外で最終処分を完了する予定である。
 そのために、政府と一体になって、この土壌の減容・再利用に取り組んでいる。

 飯館村での実証事業としては、汚染土壌の再生資材化、露地栽培、ハウス栽培等に取り組んでいる。
 そのために住民対話などを繰り返し行い、マスコミ公開で住民が,帰還困難区域のモデルになればいいと言っても、マスコミの反応は悪く、無関心に近かった。
 次世代育成についても技術的な議論が中心で、理解醸成を含めたコミュニケーション不足であった。
 次世代人材育成のために、中間貯蔵施設の見学をしたり、ワークショップを開いたりした。
 意見のぶつかり合いこそ重要、福島以外の人も自分のこととして考えてみて欲しい、とのことであった。

 この後、トークセッションがあった。
 越智女史は日常生活が一番難しい、伊藤氏は12市町村のうち9つは役場ごと避難した、買物が困る、飲み屋がない、万福氏は農業が難しくて6割帰ってきて3割が耕作しているが高齢化が進んでいる、等が印象的であった。

 私は18時から町内会の会合が地元であったので、途中で退席した。

 今回もJAEAの報告会に出席してみたが、あまり目立った成果は得られなかった。

 研究としては機械学習が面白いかも、と思っていたが、まだ緒についたばかりだし、水素分離膜も微妙に関心が薄かった。
 スピン技術については、量子力学の不確定性とスピンの関係を聞いてみたい気はしたが、その応用についてはさっぱり見当がつかなかった。

 ただJAEAは何といっても福島復興のカギを握っているし、そのために今後もこのような機会があれば参加するつもりである。

<第14回 原子力機構報告会>
「飛翔(はばた)く原子力機構」-機構をとりまく “いま”と“未来” -
1.開催日時:2019年(令和元年)11月12日(火)13時00分~17時00分
2.開催場所:有楽町朝日ホール
3.プログラム:
 13:00~13:20 開会挨拶及び『将来ビジョン「JAEA 2050+」』について
        理事長 児玉 敏雄
 13:20~14:55第1部:『将来ビジョン「JAEA 2050+」』と原子力機構の研究開発
 13:20~13:35 最先端の研究開発1 機械学習が開く放射線計測の未来
        福島研究開発部門 福島研究開発拠点 福島環境安全センター放射線監視技術開発グループ 研究員 佐々木 美雪
 13:35~13:50 最先端の研究開発2 高温ガス炉による水素製造技術の研究開発
        高速炉・新型炉研究開発部門 大洗研究所 高温ガス炉研究開発センター水素・熱利用研究開発部 ISプロセス試験グループ研究員 ミャグマラジャブ オドツェツェグ
 13:50~14:05 最先端の研究開発3 スピンによるエネルギーの有効利用と展望
        原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター スピン-エネルギー変換材料科学研究グループ研究主幹 家田 淳一
 14:05~14:55 トークセッション1 原子力機構の研究と社会との関わり
        司会者兼パネリスト:原子力機構 門馬 利行
        パネリスト(五十音順):
        ・株式会社日産アーク 松本 隆 氏
        ・日本エネルギー経済研究所 村上 朋子 氏
        ・持続性推進機構 理事長 安井 至 氏
        ・原子力機構 竹中 信吾
        ・原子力機構 家田 淳一
 14:55~15:25 休憩:11階展示会場にて各部門等によるブース展示
 15:25~16:50 第2部:福島の復興・再生への貢献
 15:25~15:45 福島の復興・再生に向けて~機構における1F廃止措置・環境回復への取組み~
        福島研究開発部門 副部門長 中山 真一
 15:45~16:00 基調講演 除染廃棄土壌の現状 ―環境再生事業と次世代人材育成―
        飯舘村復興対策課専門員 万福 裕造 氏
 16:15~16:50 トークセッション2 福島の復興・再生
        モデレーター兼ファシリテータ 万福 裕造 氏
        パネリスト(五十音順):
        ・福島イノベーション・コースト構想推進機構 伊藤 泰夫 氏
        ・東京慈恵会医科大学 越智 小枝 氏
        ・経済産業省 須藤 治 氏
        ・原子力機構 野田 耕一
 16:50~16:55 総括及び閉会挨拶
        副理事長 伊藤 洋一
        総合司会 雲野 右子 氏
 ー以上-

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