可視化シンポに参加

 可視化シンポ(7/13(土))に参加した。

 元々、可視化に関しては興味があった。

 放射線という目に見えないものを可視化した霧箱があった。
 また会社員時代に流体を研究していたことがあり、その時にアルミホイルを細かくちぎったものを流体の中において、流体の動きを可視化する、等のことも知っていた。

 最近では少し毛色の変わった可視化ということで、警察の取り調べをビデオで撮って、違法な取り調べをしていない、等の風変わりな可視化もある。

 とにかく可視化の研究の傾向を知りたかったのである。
 確か5月頃から日本学術会議のHPに、このシンポのお知らせが載っていたと思う。
 入場料無料、事前申し込み不要と確認していたので、開催当日に行くだけでよかった。

 このシンポの後にがん検診の結果がわかったので、そっちを先に書き、このシンポは遅らせて今回の報告となった。

 当日に会場に行って名刺を出した。
 もらったものはプログラムの1枚のみである。
 講演資料は何もなかった。
 したがって私のノートのメモのみが頼りということになってしまった。
 もし事前申し込みが必要ということであれば、きっと講演会資料が用意されていたのだろうと思った。

 末尾にプログラムを添付する。

 最初に藤代氏が趣旨説明した。
 ICT時代の文理融合を目指している。 
 科学技術計算の可視化、‘可視化は計算’、compute=consider、脳のメカニズムをフルに使う、単なるポスト処理ではない、視考visual thinkingである。
 そろばんはなぜいいか。
 計算をする過程がそろばん玉で見えるからである。

 1番目に「宇宙物理学におけるデータ可視化と可視化研究への期待」というテーマで広島大学の植村氏が講演した。
 宇宙物理学では、最初にソフトプログラム’MITAKA’を見せた。
 三鷹に国立天文台があり、そこで開発された天文ソフトをこう呼んでいる。

地球を飛び立つ図3R1 R1-7-17.jpg
         図1 MITAKAでの図示の例(MITAKAをダウンロードして動かした一例)

 地球からどんどん出ていく様子を見せると、小学生も喜ぶ。
 日食や月食も再現できる。
 最近リュウグウの話題があった。
 高次元データに潜む普遍的なものを探している。
 超新星、超新星爆発、活動銀河、核ジェット、宇宙の灯台等がある。
 f=L/(4πd2)、でL:光度、距離dでLを一定とすると、恒星までの距離がわかる。
 この観測から宇宙の膨張がわかる。
 加速度的に膨張している。
 超新星爆発からわかることはCaの吸収スペクトル、Siの吸収スペクトル等からクラス分類できる。
 機械学習(クラスタリング)+可視化で新しい分類法を探した。
 132サンプルで14の特徴が見えた。
 クラスタ分析で14軸にすると、膨張速度に速いものと遅いものがある。
 活動銀河核ジェットからは銀河の真中にブラックホールがあることがわかり、それは太陽の100万倍らしい。
 今年4月にそのブラックホール観測のニュースがあった。
 核ジェットは光速の99.9%で噴き出すプラズマ流がある。
 このプラズマ流を観測して、ラセン磁場シナリオや曲ったジェットシナリオ等が考えられると説明した。
 質疑は後で受付のようだった。

 2番目は「可視化のためのインタラクション省力化の試み」というタイトルで,お茶の水女子大学の伊藤氏が講演した。
 可視化の書籍の紹介があった。
 Sci VisとInfo Visの2つで、前者はサイエンティフィック・ビジュアライゼーションの略で、後者はインフォメーションビジュアライゼーションの略である。
 2つ合わせて文理融合の可視化のようである。
 次にパレートの法則が示された。
 2割の要素が全体の8割を生み出しているということを示している。
 よく意味がわからなかったので後で調べてみると、例えば、Webサイトでは2割のページに全体の8割のアクセスが集中する、という例や製品の売り上げの8割は全体の2割の顧客で占められているということらしい。
 製品の例がわかりやすい。
 伊藤氏はこれをもっと省力化でいるのではないか、ということで研究している。
 製品の例でいうと、極端に言えば、1割の顧客で9割の売り上げというような考え方なのかもしれない。

 彼の研究室で2つのテーマを紹介していた。
 1つ目はサイエンティフィック・ビジュアライゼーションの例で、翼の形状を700個くらいのデータを可視化する。
 既知の事実の可視化である。
 この可視化は未知の技術にも使えるのではないか、というようなことのようである。
 気象と販売の相関では、気象と気温の関係を気象データの販売等に結び付けるようなこともあるらしい。

 2つ目の例では、東京ディズニーランドの位置とツイートの相関というインフォメーション・ビジュアライゼーションの例である。
 ツイートが多い場所は人気の場所であるから、ベストな見学コースをこのツイートから作ろうということらしい。
 またキャンパス内での落とし物を探す、という命題があるとする。
 本人の記憶が主となるが、それだけでなくてもいいらしい。
 この例題はあまりよくわからなかった。

 次にsongriumという産総研の開発した音楽ソフトのことを説明した。
 新たな分類学ができるようである。
 この用語もよくわからなかったので後で調べてみると、産総研のHPにそのようなソフトがあった。
 ウェブ上の音楽コンテンツの関係性を可視化する音楽視聴支援システムという説明であった。
 試しに1個聞いてみると、初音ミクの音楽と画面にその関連ツイートが流れるような画面が出た。

 要するに、少ない情報から多くの知識を得る、8割の売り上げは2割の顧客による、の方式のようなものを色々考えているらしかった。

 最後の講演では「顔の可視化問題」というタイトルで、工学院大学の蒲池女史が講演した。
 タイトルからして面白いかも、と思わせるものである。
 蒲池女史は哲学科出身であり、工学院大学での採用についてもざわつきがあったらしい。
 工学院大学の中でも情報学の中で人間の研究をしている。
 Chernoffの顔モデルが出てきた。
 どこかでみたような気もする。
 インターネットで見つけた例を載せておく。

Chernoffの顔モデル5R1  R1-7-28 SURVO MM graphics.jpg
         図2 Chernoffの顔の例(SURVO MM Graphics のChernoffの顔より抜粋)

 顔を使った可視化ができる。
 英国首相だったサッチャーさんの絵について、通常の状態とひっくり返したもので大きく印象が異なる。
 マスクを取り外せない学生が多い。
 この会場にそういう人がいたら遠慮しようかと思ったが、いますね。
 (私が一人マスクをかけていた。これは対人恐怖のためではなく、放射線治療を受けていたから免疫力低下して、風邪を引き易くなっていると思うし、この会場に来るまでの電車の中や会場で風邪をひいている人がいるとうつされることを危惧して、かけている。)

 マスクをかけている人は相手から見て不自然に思う。
 顔をどう処理するか。
 個体識別か、表情識別で用途が異なる。
 最近は科学と技術の融合が進んでいるのか、共同研究のお誘いが多い。
 何で考古学と思うようなものもあった。
「顔」のデータベースとして、Gabor Wavelet(ガボール・ウェーブレット)を使った顔表情の符号化が示された。
 何だろうと思って後で調べてみると、顔認証に使われているような映像があった。

ガボールウェーブレット変換を用いた顔の検出R1 防衛大情報工学科資料より抜粋R1-7-28.jpg
         図3 Gabor Wavelett技術を使った顔の角度別表情(防衛大学校の資料より抜粋)

 またエクマンの6人のモデルから多種多様なデータが取れた。
 顔のデータベース一覧は記載情報が統一されていないし、リンク切れも多い(かってそこに存在したが、何らかの理由で削除されている)。
 自分で作った方がいいと思い、自分で作った。

 顔画像の著作権もあり、個人情報保護の動きと連動して難しくなっている。

 最近の関心としては、顔のほほの表情から年齢推定をするのが興味深い。

 この後、休憩があり、その後パネルディスカッションとなった。

 私は蒲池女史の「顔でのほほの表情で年齢推定」で、歌手等のほほを使う筋肉を鍛えている人は年齢推定しにくいのではないか、またほほを鍛える体操があれば教えて欲しいと聞いた。
 それはそうかもしれない、顔を鍛える運動は知らない、とのことだった。

 また可視化に関して、ゴミの可視化は瀬戸内海のゴミの可視化を高校生が行っていたのを参考に全国展開するようなマクロの可視化や環境DNA(川の中の水を採取してその中に住んでいる魚等の環境分布を全国レベルで測定する) によるミクロの可視化はどうか、と聞いた。
 返答の中で、気象データに関して全国レベルでSNS等で収集している例があるらしいことが返ってきたくらいで、あとはどうもうやむやだった気がする。

 可視化という業界がないので、学生がなかなか集まらないようであった。
 顔で女性が多く出てきたが男性が対象となることはあるのか、可愛いというキーワードが結構議論されていたことが意外であった。

 この可視化シンポについては、まだ開発途上のテーマみたいで、いろんな分野の可視化が考えられるお宝発掘シンポのような気がしている。
 今後もこの知的好奇心を触発されるシンポに積極的に参加して、放射線以外の科学事象の可視化について考えてみたいと思う。

<日本学術会議 公開シンポジウム>
  科学的知見の創出に資する可視化 (2):「新しい可視化パラダイム」
 1.日時:2019年(令和元年)7月13日(土)13:00~18:00
 2.会場:日本学術会議講堂
 3.入場:無料、事前申し込み不要
 4.主催:日本学術会議 総合工学委員会
 5.共催:日本工学会、可視化情報学会、日本シミュレーション学会、画像電子学会、芸術科学会、情報処理学会コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学研究会、画像情報教育振興協会(CG-ARTS)
 6.プログラム
  13:00 開会挨拶 小山田耕二(京都大学教授)
  13:10 趣旨説明 藤代一成(慶應義塾大学教授)
  13:20 宇宙物理学におけるデータ可視化と可視化研究への期待
       講師:植村誠(広島大学准教授)
       司会:藤代一成(慶應義塾大学教授)
  14:20 可視化のためのインタラクション省力化の試み
       講師:伊藤貴之(お茶の水女子大学教授)
       司会:小山田耕二(京都大学教授)
  15:20 顔の可視化問題
       講師:蒲池みゆき(工学院大学教授)
       司会:田中覚(立命館大学教授)
  16:30 パネル討論「日本発の新しい可視化パラダイム像とは?」
       ファシリテータ:藤代一成(慶應義塾大学教授)
       討論者:前半の部の講演者・司会者・その他分科会メンバー
  18:00 閉会挨拶 萩原一郎(明治大学特任教授)

 7.概要
 データ可視化は1980 年代後半に欧米の研究機関から研究開発が開始され、この三十有余年の間、あらゆる学理に必要不可欠な技術として浸透してきました。
 それを今後さらに発展させていくためには、新たなパラダイム(基本理念)を策定する必要があります。
 昨年12 月に開催した第1回科学的知見の創出に資する可視化シンポジウムに引き続き、本シンポジウムでは、可視化と接点をもつ情報学周辺の最新シーズの利活用に加え、可視化が重要な役割を果たしてきた代表的な応用分野からの新たなニーズの発掘、そして可視化情報の最終評価者である人間がもつ視覚心理の本質的理解の三方向からこの課題にアプローチし、新たな提言へと繋げていく布石としたいと考えております。
 可視化技術に興味をもつ多くの方々にご参加いただければ幸いです。
  -以上-

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