「よい放射線とわるい放射線」講座に参加

 「よい放射線とわるい放射線」という公開講座に参加した

 原子力学会より2月22日に上記の講座の案内メールを受け取った。
 その中の「放射線はがんを治す」というタイトルに吸い寄せられて、開催日が日曜ということもあり、すぐに申込した。

 3月24日(日)は晴れだったと思う。
 会場の慶応義塾大学三田キャンパスは行ったことがあった気もしたが、事前にインターネットで確認しておいた。
 都営地下鉄三田線の三田駅から徒歩7分とあった。
 若干早めに出て途中でペットボトルのお茶500mlのペットボトルを買った。
 三田駅から方角はわかったが、やはり少し迷った。
 やっと着いたと思ったが、どこの建物かわからない。
 看板も何も出ていない。
 守衛さんに放射線の講座はどこでやっているか聞いてみた。
 守衛さんもわからないようで、奥で別の人に聞いていた。
 何か北館で催し物をやっているみたい、ということで北館を教えてもらった。
 後でメールをみてみると、ちゃんと北館と書いてあったのだが、私が見落としていたのである。

 会場に着いて受付で名前を言うと、講座資料をくれた。
 プログラムを末尾に添付する。

 また前立腺がんの放射線治療短信もその後ろに添付する。

 中に入ると広いホールで確かに300人くらいは入れる。
 実際の参加者は100名程度であっただろうか。
 何か別の行事もあったようで、会場には高校生も30人くらい参加していたらしい。

 線量計を持って行っていたので、ついでに測定してみると、13:03に0.037μSv/h、13:05に0.026μSv/hと低い値であった。
 わが家でだいたい0.05μSv/h前後はある。
 仙台の義父宅ではだいたい0.07μSv/h程度であり、通院している築地駅で0.08μSv/hくらいである。

 講演Ⅰでは「放射線を見てみよう」というタイトルで、高エネルギー研(KEK)の桝本氏が講演した。
 公開講座ということで、一般市民もいることを踏まえて、わかりやすい説明、内容を心がけていたようである。
 自然界には放射線が多くある。
 一例ではカリウムで通常人体内に4,000ベクレルくらいある。
 山の頂上や飛行機の中で宇宙線が飛んでいる。
 放射線は普通見えないが、見える工夫をしてきた。

 その工夫4つを紹介していた。
 霧箱、スパークチェンバー、イメージングプレート、ガンマカメラである。

 霧箱はよく知られており、最近では小学校や中学校の実験にも使われる。
 飛行機が飛んだ後のひこうき雲みたいなのができるのと同じで、荷電粒子が飛んだ後に霧状の筋が見えるものである。

 スパークチェンバーは私はあまりなじみがないが、ちょっと放射線検出器の原理のようである。
 ヘリウムガスを封入して、10kVくらいの高電圧をかけて、その中を荷電粒子が飛ぶと、電子が弾き飛ばされて、それが電子なだれを起こして、放電(スパーク)を起こすものらしい。
 阪大の人が発明、と聞いてちょっとうれしかった。

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         図1 スパークチェンバー(KEKのHPより)

 イメージングプレートは特殊な蛍光体を塗ったプラスチックに放射線が当たると励起される。
 それを今度はレーザー光を当てると、青い光を放って基底状態に戻ることを利用し、この青い光を検出するものである。
 福島で植物の汚染調査で私が学会発表で聞いたことがあるような気がした。
 一例をネットで調べたので、載せておく。

         
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         図2 イメージングプレート(広島大・遠藤教授のデータより)

 ガンマカメラはビデオカメラのように撮影すると、放射能があるところが可視化できる装置である。
 福島でのセシウムの撮影やこの前に私が検査を受けた骨シンチグラフィというのもこの一種である。

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         図3 ガンマカメラ(コンプトンカメラ)の構造(JAEAのデータ)

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         図4 ガンマカメラの測定例(JAEAのデータより)

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         図5 骨シンチグラフィの例(大雄会HPより抜粋)

 講演Ⅱは「放射線はがんを治す」というタイトルで、東京女子医大の唐澤女史が講演した。
 わかりやすいタイトルである。
 世界のがん患者の半数以上で放射線療法が行われている。
 しかし日本では未だ30%で、おそらく原爆のような負のイメージのためと思われる。

 放射線療法は臓器の機能と形態を温存して治療できて、手術や抗がん剤と比較して身体への負担が少ない。
 放射線療法は正常細胞とがん細胞の放射線感受性の差を利用している。
 がん細胞は正常組織より放射線で死にやすい。
 今2人に1人はがんになる。
 がんの相対的生存率で前立腺がんの場合、97.5%治る。

 放射線療法は外部照射、小線源治療、内用療法の3つがある。
 外部照射には3つあって、通常照射、高精度照射、粒子線照射である。
 (私が現在受けているのが、高精度照射の中のIMRT、その中の画像組合せのIGRTである。)

 小線源治療は小さな放射線源を身体に入れて直接照射するものである。
 体腔に線源を留置して照射する腔内照射と、組織内に線源を刺入して照射する組織内照射がある。
 前者は子宮頸がん治療等を考えるとよい。
 後者は前立腺に直接治療薬の放射性物質を注射するイメージかもしれない。

 内用療法は放射性医薬品を静脈内あるいは経口投与して治療を行うものである。

 外部照射ではほとんどがX線治療であるが、日本では粒子線治療が世界で最も進んでいる。

 講演Ⅲは「よい放射線とわるい放射線、あなたの身の回りの放射線はどっち?」というタイトルで、首都大学東京の古田女史が講演した。
 放射線は治療や診断のために医学で有効利用され、産業で殺菌等の工学的な利用も行われている。
 ホルミシス効果というのは100mSv以下の放射線であればよい効果がある、というものである。
 ラドン温泉はよい放射線を出しているのか。
 原爆や福島事故はわるい放射線を出しているのか。
 放射線を含めたすべてのものが、私たちの役に立つ「よいもの」にも被害を与える「わるいもの」にもなる。
 今「よい」と証明されていないのに「よい」と勘違いさせてしまうような宣伝文句のついた商品が売られている。
 コンシューマープロダクト(日用品)という。
 放射性コンシューマープロダクトとして、モナズ石の装飾品等が挙げられる。
 健康まくら、化粧品、消臭・脱臭剤、家庭温泉の元等があるそうである。

 この後にディスカッションとなったが、実際には質疑応答であった。

 私は唐澤女史に聞いた。
 放射線業務従事者は中央登録して被ばく管理している。
 放射線治療している患者も同様の被ばく管理をすべきではないか。
 唐澤女史は回答した。
 放射線業務従事者は悪い影響があるから被ばく管理する。
 放射線治療は健康によい影響を与えるから被ばく管理は必要ない、と答えた。
 私はなおも、1度の放射線治療後に、別の部位のがんが見つかったら、また放射線治療をすることになり、それでよいのか、と聞いた。
 唐澤女史は何度でも放射線治療する、とのことだった。
 座長がこのやり取りを聞いていて、これが今回のテーマの「よい放射線、わるい放射線」のいい例かもしれない、と答えた。
 私は今でもやはり放射線治療においても、放射線業務従事者と同じように被ばく管理すべきと思った。
 唐澤女史の言うように何度も放射線治療を受ければ、それだけ目的箇所のがんは治るかもしれないが、その分他の部位のがんの可能性が高まる。
 また放射線治療の限度はどのくらいか、どの程度まで許容されるか、また放射線治療と放射線業務従事者の被ばく管理のダブルスタンダードを単一の基準に変えることが必要なのではないかと思う。

 今回の私の前立腺がんの放射線治療においては80Gy/40回という被ばく線量であり、これをセシウムのガンマ線換算すると80Svで、通常の人の年間被ばく線量の2.4mSv/年と比べると、30,000倍である
 また、私の放射線業務従事者での被ばくは1mSvを超えていないから、その量の80,000倍にもなる。
 また、私は既に退職しているが、現役の放射線業務従事者ががんになった場合に放射線治療を受けることになると、放射線治療の被ばくと放射線業務従事者の被ばく管理という2つの基準に縛られることになる。
 また、放射線治療は約80Gy(セシウム換算80Sv/40回照射)と放射線業務従事者は年間50mSv、5年間100mSv(0.1Sv)という被ばく線量の極端な違いで、もしこの放射線業務従事者が2度目のガンに罹った時は放射線治療に由来するものか、放射線業務に由来するものかわからなくなる。
 ただ、現在は放射線治療の被ばく管理は行っていないので、この辺りの議論は誰か該当者が出るまでわからないままかもしれない。

 この他にも高校生等が数点質問していたが、私は自分の質問に気を取られて、メモを取っていなかった。

 また、休憩時間に、私は唐澤女史に前立腺がんの治療中であるが、宇宙飛行士の被ばく管理対策としての栄養を通常の2倍摂っているというと、そんな話は聞いたことがないと言われた。
 また、前立腺がんの放射線治療を受けているのであれば、排便と蓄尿のコントロールをしっかりするように、とのアドバイスももらった。

 今回の公開講座では、この放射線治療のことを一番聞きたかったので、その結果が十分納得できるものではなかった。
 しかし、排便と蓄尿のコントロールはその時までに数回失敗した経験があったので、痛いところを突かれたとは思う。
 また、この通常の栄養の2倍(葉酸、ビタミンCとビタミンE)摂取というのは、宇宙飛行士用のがんのない正常細胞損傷用の被ばく対策であって、実は放射線治療の上で有効かどうかははっきりわかってはいない。

 私は今自分の身体で人体実験をしているようなものである。

 この人体実験で思い出したのは「華岡青洲の妻」という本である。
 この本は、江戸時代の紀州の医者の華岡青洲が自分の奥さんと母親に自分が考案した麻酔を試すという物語で、私も最近読んでみた。
 しかし、青洲の奥さんはこの実験段階の麻酔の副作用で、盲目になってしまうのである。
 この本を読んでちょっとがっかりしたし、不安になった。
 私も栄養2倍摂取の副作用で、他の部位へのがんの転移促進とか、一旦消滅したがん細胞が栄養2倍で正常細胞よりも早く復活する可能性を怖れたのである。
 いずれにしても、今は放射線治療で97.5%の前立腺がんが治るというデータに期待するしかないと思う。


<NPO法人放射線安全フォーラム 市民公開講座>
 「よい放射線 と わるい放射線」
  - それってナ~ニ?-その2
 1.開催趣旨
 本公開講座のテーマにどの様なイメージを持たれましたか?
 多分、「よい放射線」は、私たちの役に立つ医療用放射線であり、「わるい放射線」 は、原爆のような私たちに害を及ぼす放射線ではないでしょうか。
 では、その境目はどのようになっているのでしょうか?
 境目を区切るのは、はっきりとした線でしょうか?
 私たちの生活圏には、沢山の放射線源と放射線があります。
 境目はくっきりした線ではなく、放射線を利用する私たち個々の知識によって 変わってくる、幅が有るのだと思います。
 「わるい放射線」と感じていた事象が、よく知るとその幅内にあったのだと、他の自然現象と同じな のだと考えられるのではないでしょうか。
 こうした判断が出来る知識をもつことが、大切だと考えています。
 本公開講座では3人の先生方に、放射線の基礎からお話し頂きながら、皆さまとともに「放射線」について考えたいと思います。
 本公開講座は、 どなたでも自由にご参加いただけますので、奮ってご聴講いただければ幸いです。

 2.日時:2019年(平成31年)3月24日(日)13:00~16:30
 3.会場:慶義塾大学三田キャンパス北館ホール
 4.定員:300名
 5.プログラム
  講演Ⅰ 「放射線を見てみよう」 桝本 和義(高エネルギー加速器研究機構:KEK)
  講演Ⅱ 「放射線はがんを治す」 唐澤久美子(東京女子医科大学 放射線腫瘍学講座)
  講演Ⅲ 「よい放射線とわるい放射線、あなたの身の回りの放射線はどっち?」古田悦子(首都大学東京)
  Ⅳ    ディスカッション 座長: 高橋 浩之(NPO放射線安全フォーラム 理事長、東京大学大学院)

 <前立腺がんの放射線治療短信>
 放射線治療は39回/40回を終了している。
 蓄尿と排便のコントロールは3月24日の唐澤女史のアドバイス以降失敗は減っている。
 蓄尿は相変わらず治療2時間前に病院に行き、排尿して300mlのお茶を飲むこととしている。
 
 この他に唐澤女史のアドバイスから、排便を1日に2回している。
 通常の朝1回と、午前中にもう一度蓄便感がなくても行くようにした。
 今はスペースOARというゼリー状の遮へい材を直腸近傍に注入しているので、便が溜まっている感覚がなくても2回便が溜まりすぎということで、排便と蓄尿のやり直しをした。
 だから、24日以降は1日に2度行っている。
 しかし、1度午後に2回目の排便をしたところ蓄尿がうまくいかない事例もあった。
 今は午前に2回としている。

 そろそろ最終ステージであり、来週月曜でこの放射線治療は終了となる。

 この前の4月11日(木)にM医師、I医師の面接があり、経過観察ということで、7月に血液検査(PSAマーカー検査)と診断を行う予定になっている。

 なお、4月11日の血液検査ではPSAマーカー数値は4のままであった。
 ちょっとがっかりしたが、先生曰く、すぐに放射線治療の効果は出ない、ホルモン療法ならすぐに下がったが、と言われた。

 -以上―

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