2019年原子力学会春の年会仮想聴講-発表内容の説明等
2019年原子力学会春の年会には参加できなかった。
それは前立腺がんの放射線治療のためである。
(放射線治療の短信については末尾に添付する。)
しかし、事前に参加登録して、参加費1万円をすでに払い込んでいた。
この1万円が丸損なのは悔しいので、春の年会に参加したと仮想して、予稿集から学会で興味があった内容についての内容等の説明をしてみる。
期間は2019年の3/20(水)~3/22(金)の3日間で、茨城大学水戸キャンパスで開催された。
今回も福島事故関連を主としたB会場(以下Bと略、会場はO会場まであった。)を聞こうと思っていたが、B会場は福島原発内のこと、デブリやMA(ネプツニウムNp等の超ウラン元素)の発表が多いため、かなり分散した内容を仮想聴講した。
今回はプログラムや予稿集を見て仮想聴講計画を立てた。
聴講スケジュールは以下の通りとした。
3/20(水) AM1 AM2 PM1 PM2 PM3
H放射線計測 N夢・人材育成 N防災・司法等 N教育 -
3/21(木)
F原子炉 N核セキュリティ H学会発信 B汚染水処理 F線量計測 -
3/22(金)
K無線・ロボ L新検査制度 -
AM1は9:30-10:45くらいにある発表、AM2は10:45-12:00くらいにある発表、PM1は13:00-14:30にある特別セッション、PM2は14:45-16:00くらいにある発表、PM3は16:00-17:30 くらいにある発表時間帯である。
各テーマについて整理してみる。
第一には、福島事故関連の情報収集である。
第二には、私が研究している核変換技術の情報収集と共同研究グループとの連携の検討である。
第三には、教育、といっても私の研究の後継者探しという面が強い。
第四に興味があるものの聴講、今回の場合は内部被ばくと放射線治療である。
その他として、今回はミューオンによる原子炉透過の続きや原子炉稼働をニュートリノで計測のトピックスもあったので、ミーハー的に仮想聴講した。
以下に聴講順にメモ程度に書き留めていく。
長々と見たくない人は末尾にまとめを書いておくので、それだけみればいいかもしれない。
第1日目の最初は放射線計測がテーマのH会場に仮想聴講した。
1H01から1H04では、放射線計測の中で、放射線治療に使うリニアック、放射線医療で使うための線量計、他の2件はウランで汚染したガレキの物理・化学分析であった。
1H01は「ガントリー型リニアックを用いた治療施設の漏えい線量評価」でガントリーというのは門型の移動機構のことを指すらしく、私が放射線治療を受けているのが多分このタイプであろう。
漏えい線量というのも、私が線量計を治療場所に持ち込んだために、この漏えい線量で線量計が影響を受けたためと思われる。
この漏えい線は線源の部分から漏えいするものと対向板という遮へいパネルのようなものに当たって、そこから2次放射線(おそらくX線か電子線)が発生するようである。
私の持ち込んだ線量計がどちらの影響を受けたのか不明であるが、強度的に数時間の半減期を持つ放射化したのであるから、おそらく 前者の線源部分の漏えいであろう。
この発表ではまだ線量評価をしていない準備段階で終わっていた。
次回発表の機会があれば聞いておきたいものである。
1H02は「PVA-KI ゲル線量計を用いた線量評価技術研究」というもので、これも放射線治療における線量評価の一環の研究である。
昨年発表で聞いた気はする。
今回の線量評価が粒子線の線量評価となっていてちょっと残念な気がした。
1H03と1H04はウラン汚染ガレキの分析の話だったので省略する。
続いて放射線計測2でやはりH会場に仮想聴講した。
1H05は原発事故時の海上モニタリングで、これも昨年聞いたテーマの継続研究だったように思う。
今回はモニタリングしたデータから放射性核種の放出率を計算するという意欲的なものであった。
1H06は「海水中トリチウム測定法の迅速化に向けた研究」は福島原発にあるトリチウムの海洋放出を念頭においた分析であるが、液体シンチレータを使うという点で目新しいことはなく、蒸留なしでもできるかも、というものであった。
1H07は「冬季の雷放電と同期したガンマ線フラッシュの定量評価」というもので、昨年の柏崎刈羽原発で発生した雷によるガンマ線発生を理論的に裏付けした研究であった。
この研究により、原発のモニタリングステーションで原発内の核種が外部に漏れたものでないガンマ線を検出することがあるので、モニタリング監視における安全性のデータとなるものである。
午後での最初のセッションでは「シニアネットワーク連絡会セッション-夢に挑戦する人材育成」に仮想聴講した。
若者にどんな夢を提案できるか、と思ったのである。
(1)「若者に夢を与える教育について」というタイトルで茨城大学の高妻氏が講演した。
でも提案が外国に出ていくという平凡なものであった。
(2)「エネルギー産業界としての人材育成の視点」というタイトルで、日立GEの土屋氏が講演した。
次世代炉の中で若者を育てるという観点であった。
(3)「原子力にとっての若者への期待」というタイトルで、学会シニアネットワークの大野氏が講演した。
152回の若者との対話を通して、若者は理を知れば自ら正しい判断を下す、というのが結論だったようである。
その具体論は、と突っ込みたくなるのであるが、仮想聴講なのでできない。
(4)「若者にとっての夢と課題」というタイトルで、東工大の三島女史(学生)が発表した。
学生連絡会員として、学会所属の学生の気質分析を行っていた。
(5)「21世紀を展望した人材育成についての対話」というタイトルで、シニアネットワークの櫻井氏がおそらく対話の司会をしたのであろう。
午後の発表ではN会場で防災・司法・リスクマネジメントのセッションに仮想聴講した。
1N07はJCO事故の分析を行っていた。
住民避難に9時間かかっていた。
防災無線やマスコミ報道で避難呼びかけは効果がなく、広報車で個別訪問した方がよかったらしい。
1N08は原子力裁判における技術的な論点整理ということであったが、だからどうなのか、というのがイマイチわからなかった。
1N09では原発運転員の教育に関して、であるのでパスする。
1N10は「試験研究炉の安全に係る等級別扱いについて」ということで、原子力機構JAEAの与能本氏が発表した。
今の原子力規制委員会は研究炉についても、原発と同じ規制基準で審査しているが、それはおかしいという。 国際原子力機関IAEAは等級別扱い(graded approach)を求めている。
これに従うべきとしている。
正論と思う。
研究炉は出力自体が原発と比較にならない小規模なので、事故が発生したとしても周囲に重大な影響を与える可能性が少ないからである。
続いて、N会場で「社会的受容性・原子力教育」に仮想聴講した。
1N11は社会的受容性の高いと言われる新型炉(小型モジュール炉の想定)のことであるから、パスする。
1N12は「中学生による最終処分地問題の理解促進ーその成果と課題ー」というタイトルで、東工大の澤田氏が発表した。
これは以前別のシンポジウムで聞いた内容と思うが、中学生に考えさせるということで、将来に向けた布石とも思えるが、逆に考えると、今の世代では解決できないからよろしく、というようにもとれる。
1N13は原子力マネジメントというようなものなのでパスする。
1N14は「福井県におけるエネルギー環境教育の普及・促進」というタイトルで、原子力安全システム研究所の大磯氏が発表した。
福井県は原発が多い県なので、その教育については力が入るのであろう。
放射線を目に見える形で霧箱を使ったり、英語版のわかりやすい教材を作る等の活動を福井県理科教育研究会で行っている、とのことである。
1N15は吉田元1F所長を追悼する会の発表のようで、パスする。
第1日目は終わった。
第2日目は最初にF会場に行った。
2F01は過酷事故時のデバイスのことなのでパスする。
2F02は「原子核乾板を用いた透過型ミューオンラジオグラフィによる浜岡原子力発電所2号機格納容器下部の観測(その8)」というタイトルで、名大の森島氏が発表した。
宇宙線ミューオンを使った原子炉の透視で、人間でいうところの肺のX線検査のようなものである。
福島原発の模擬を浜岡原発で行っている。
継続して聴講していきたいものである。
2F03は「原子炉ニュートリノモニター開発のための環境放射線測定」というタイトルで、福井大の池山氏が発表した。
原子炉で発生する反電子ニュートリノを使った研究で、ちょっと意表を突かれた気がする。
ちょっと説明しておくと、原子炉内で中性子が崩壊する時に、陽子と電子と反電子ニュートリノという3つの粒子になる。
この反電子ニュートリノも普通のニュートリノと同じく、ほとんど質量が0に近い中性微子なのである。
この反電子ニュートリノを使って原子炉の稼働状況を知るという面白い発想である。
ただ、小柴先生のニュートリノによるノーベル賞でのカミオカンデが地中深く検出器を置いて、地上のノイズカットしているが、これと同じ地下に設置しては不便ということで地上設置を目指しているらしい。
図1 ニュートリノのイメージ
2F04は光ファイバー型放射線モニタの研究に関するもので、福島原発の建屋内の高線量に対応したものなので、パスする。
2F05はやはり福島原発2号機の線量率評価なので、パスする。
しかし、この中で格納容器内線量で70Gy/hの数値にはちょっと驚いた。
私が今前立腺がんの放射線治療している総線量が80Gy(グレイ)で全身に浴びれば致死量となるデータである。
2号機の格納容器内の線量率の高さはこの中での作業の困難さを思わせる。
おそらく、ロボットによる遠隔操作なのは確かであろう。
このF会場と同時並行で、N会場が核セキュリティの発表であった。
2N01は「核分裂性アクチノイド核種の核特性データベースの作成」というタイトルで、東工大の房氏が発表した。
アクチノイドはウランの周辺の元素でアクチニウムAcからカリフォルニウムCfまで69核種の臨界質量等を整理したもので、核セキュリティライブラリーとなるものである。
2N02は「監視カメラ動画の深層学習を用いた手元動作識別手法の開発」というタイトルで、東大の出町氏が発表した。
原発における妨害破壊行為を監視カメラでキャッチしようというもので、ニューラルネットワークを利用した研究である。
繰り返し数2000回で85%の正解となった、とのことだが、ちょっとマユツバの気もする。
2N03は「Measuring Isotopic Abundance using Nuclear Resonance Fluorescence」(核共鳴吸収・発光を使った同位体割合の測定)というタイトルで、JAEAのOmer氏が発表した。
タングステンの同位体を測定し、4%以内の誤差だったようである。
2N04は「核・放射線テロ事象の初動対応に資する小型放射線測定資機材の開発(1) 核種判定のための複合型ガンマ線検出システムに関する検討」というタイトルで、JAEAの木村氏が発表した。
核テロが起きた場合に現場で簡単に核種判定ができるための装置開発である。
Cs137とCs134を使った結果はよいものだったようで、今後いろいろな線源で適用するようであった。
2N05は「Applicability study of Photofission Rate of Reaction Ratio Method to identify High Enriched Uranium by utilizing the Bremsstrahlung spectrum photon」(制動放射光子を利用した高濃縮ウランを確認するための光核反応に関する研究)で東工大のWei氏が発表した。
原理はよくわからなかったが、濃縮ウランの濃縮度が測定できるようであった。
午後の初めはH会場の「日本原子力学会としての社会への情報発信のあり方」を仮想聴講した。
このセッションは前回も出席していろいろ質問したような気がする。
ポジションステートメント(学会の提言や用語解説等)は前者のみとし、後者の解説は別の項目として切り離すようである。
プレスリリースは緊急性等を考慮したものとし、ポジションステートメントと区別することやプレスリリース後に会員にパブリックコメントを求めるなどの改善案を打ち出していた。
「チーム110」は110名の解説担当者と警察の110をかけたもので、福島原発事故で能力を発揮して欲しい、との狙いがあったらしい。
しかし、あまりに原子力担当が頭を抱える事案が多くて、あまり利用されなかった。
その反省を踏まえて再編成し、マスコミ対応を円滑に進めるためにメディアトレーニング等を実施している、とのことだが、我々会員の目に見える形での活動とはなっていないように見える。
また、I会場で「原子力防災の現状と課題」のセッションがあった。
原子力防災の現状として内閣府の人が一般論を説明していた。
次に茨城県の役人が東海第二原発の周辺30㎞圏内の14市町村の広域避難計画を説明した。
茨城大学の原口女史が原発被災者支援から見えてみたものを講演していた。
震災から8年経ってもまだ被災者への支援は十分ではないようである。
午後の発表ではB会場の「汚染水及び汚染土壌処理技術」に仮想聴講した。
2B10と2B11は原発の冷却廃水の二次廃棄物に関するものであった。
廃スラッジの性状分析、放射化学分析だったのでパスする。
2B12はセシウム吸着したゼオライトの固化技術に関するものであったが、パスする。
2B13は「亜臨界水環境における汚染土壌からのCs 脱離反応速度解析」というタイトルで、東工大の福田氏が発表した。
セシウムは粘土質のものに付着すると安定化して脱着しにくいので、田畑の除染という観点では難しいが、安定しているために流れ出さない、他の領域に汚染を拡大しない、という点ではよい性質なのである。
この安定化した粘土中のセシウムを亜臨界水を使って脱離しようというものである。
今回は模擬体で脱離のメカニズムを推定したようであった。
2B14は「ICP-MS/MS によるNp-237 分析の基礎検討」というタイトルで、JAEAの濱田女史が発表した。
ICP-MSは質量分析で有効な分析なのであるが、今回の分析対象がアクチノイドのネプツニウムNp-137で再処理管理のものである。
この技術を核セキュリティに使うことは考えていないのか、と思った。
F会場は「線量計測」がテーマであった。
2F14は光ファイバー放射線センサーで原発内で使用するものなのでパスする。
2F15は2F14と同じだが、放射線治療での測定を目指している。
ただ今回の対象が350Mevの炭素線ということで、私が受けているX線の15Mevよりかなり高いエネルギーの実験をしているので、前立腺模擬としているが、私の治療にも適用可能なのかは不明である。
2F16と2F17は共に放射線治療での炭素線を対象としており、16ではガス増幅、17ではゲル線量計であるが、まだ基礎実験の段階のようである。
H会場は「内部被ばくと放射線医学」のセッションであった。
2H15と2H16は世界的な放射線の機関の権威ICRPの2007年勧告で内部被ばくの評価ということが提案されているようである。
放射線治療とは違う、体内に入った核種による内部被ばくの評価のようであるので、パスする。
2H17は「エネルギー分析型甲状腺放射性ヨウ素モニタの開発」というタイトルで、JAEAの谷村氏が発表した。
ヨウ素モニターであれば珍しくないと思ったが、バックグラウンドの高いところでの測定機器の開発のようであった。
2H18は「Two-dimensional CT Image Prediction from tracking with optical flow and linear regression for X ray lung radiotherapy」(肺のX線放射線治療における光と線形後退を考慮した追跡による2次元CT画像予想)というタイトルで東大のMichel氏が発表した。
肺は呼吸する時の動きに放射線が追従しにくいので効果的な治療ができにくいようである。
それを予測した画像と実際の画像を比較していたようである。
2H19は「α線治療のためのHe イオンマイクロビームDNA 照射分析の基礎研究」というタイトルで東大の酒井氏が発表した。
RIやアルファ線治療の時にDNA損傷のたんぱく質修復機構の可視化を行ったらしい。
以前にこの修復機構の可視化は予告されていたが、実験が遅れていた。
それがやっと実現したらしい。
DNA損傷したものの修復機構は女子栄養大学の香川氏が示唆していたものであるが、それが実現したとすると、このビデオは見ておきたかったが、今回は欠席したので仕方がない。
今後チャンスがあれば、この研究の主幹である上坂教授にたんぱく質修復機構のビデオ視聴をお願いしてみたい。
2H20は「トリチウムのヒト細胞への影響-PHITS を用いた細胞核線量率の計算」というタイトルで、茨城大学の土田氏が発表した。
トリチウムの影響を実験と解析コードPHITSの両方で比較していた。
トリチウムチミジンの影響があるらしかったが、詳細は不明である。
第2日目も終わった。
第3日目、最終日はまずK会場に行った。
ここのテーマは「無線システムと水中ロボット」である。
3H01、3H02は原発内での無線の検討なのでパスする。
3H03は「水中ロボット「ラドほたる」開発」というタイトルで、福島高専の鈴木氏が発表した。
面白いネーミングなのでつい読んだが、デブリ処理用のものらしく、ちょっとがっかり。
でもロボット技術は進歩させておくべきだろうとは思う。
3H04は上記ロボットの耐放射線性に関するものであった。
10,000Svというおそろしく高線量に耐える機器が必要のようだが、これをクリアしたらしい。
ただ使用した半導体等は徐々に劣化してきたようである。
最後にL会場に仮想聴講した。
ここのテーマは「新検査制度と原子力発電所の安全性」である。
原子力規制委員会は来年から新しい検査制度を始めるらしい。
私も時々原子力規制委員会のHPでそれらの制度資料を見るのだが、どうもはっきりわからなかった。
このセッションでわかったのは、アメリカNRC(原子力規制委員会)のROP(Reactor Oversight Process:原子炉監視プロセス)をモデルにしたシステムであり、今までの上意下達方式でなく、双方向のコミュニケーションを重視するらしいこと、リスク情報の活用くらいである。
どんな討論が行われたことやら。
以上で、2019年日本原子力学会・春の年会の仮想聴講は終了した。
ここで、これらの内容を簡単にまとめておく。
第一には、福島事故関連の情報収集であった。
福島県のことはあまり情報はなかったように思う。
第二には、私が研究している核変換技術の情報収集であった。
ImPACTという官民の核変換研究が行われているのであるが、大規模な施設を使った研究がメインで、私のような細々とした研究が入り込める余地がない。
第三には、教育、といっても私の研究の後継者探しという面が強い。
この面では、夢に挑戦する人材育成に期待があったが、あまり大したことはなかった。
第四に興味があるものの聴講としては、遺伝子修復技術、ニュートリノによる原子炉監視技術があった。
前者に関しては以前期待した遺伝子修復動画が発表されたのは残念である。何とか見てみたい。
ニュートリノ技術については、ニュートリノを測定する技術が新しい機器でなく、従来の機器の組合せのように理解したが、これでニュートリノが測定できるのか不明である。
時間があれば、この予稿集の先行研究も調べてみたい。
その他として、今回は放射線治療に関連するものが多かった。
リニアックの漏えい放射線、被ばく線量を測定するためのガス機器、ゲル機器、光ファイバー機器等が研究されている。
今の私の放射線治療には役に立たないが、将来はこの放射線治療の周辺環境が整備されるようになりそうなのはうれしいことである。
また、核セキュリティに関する研究も進んでいる印象があった。
原子力学会の発表は原子力の情報の宝庫であり、福島原発事故後の復興という観点からも継続して情報収集し、それらのデータを整理していく必要があると思う。
今後も続いて参加していきたいと思う。
<前立腺がんの放射線治療短信>
放射線治療も35回/40回となってきた。
今週は畜尿(治療の2時間前に排尿、直後に300mlのお茶を飲む)が4回成功した。
しかし35回目に直前にお腹の具合が悪く排便したためか、畜尿に失敗し、結局畜尿に3時間かかった。
畜尿と便コントロールは連動しているのかもしれない。
来週は血液検査でのPSA(前立腺がんのマーカー)検査も行われる。
メンテナンス日が1日あり、放射線治療終了は4/15(月)予定である。
身体の状態としては、右手のしびれ、右足股関節のだるさは相変わらずであり、自分生来の持病か、それともがんのリンパ転移かとおびえているところもある。
しかも昨日から右足の裏がすごく痛い。
痛風の症状を思わせるものだが、ひょっとしたら、栄養の摂りすぎによる影響かとも思う。
人間は少し悪いところがあると、いろいろ悪い想像をしてしまうようである。
-以上-
それは前立腺がんの放射線治療のためである。
(放射線治療の短信については末尾に添付する。)
しかし、事前に参加登録して、参加費1万円をすでに払い込んでいた。
この1万円が丸損なのは悔しいので、春の年会に参加したと仮想して、予稿集から学会で興味があった内容についての内容等の説明をしてみる。
期間は2019年の3/20(水)~3/22(金)の3日間で、茨城大学水戸キャンパスで開催された。
今回も福島事故関連を主としたB会場(以下Bと略、会場はO会場まであった。)を聞こうと思っていたが、B会場は福島原発内のこと、デブリやMA(ネプツニウムNp等の超ウラン元素)の発表が多いため、かなり分散した内容を仮想聴講した。
今回はプログラムや予稿集を見て仮想聴講計画を立てた。
聴講スケジュールは以下の通りとした。
3/20(水) AM1 AM2 PM1 PM2 PM3
H放射線計測 N夢・人材育成 N防災・司法等 N教育 -
3/21(木)
F原子炉 N核セキュリティ H学会発信 B汚染水処理 F線量計測 -
3/22(金)
K無線・ロボ L新検査制度 -
AM1は9:30-10:45くらいにある発表、AM2は10:45-12:00くらいにある発表、PM1は13:00-14:30にある特別セッション、PM2は14:45-16:00くらいにある発表、PM3は16:00-17:30 くらいにある発表時間帯である。
各テーマについて整理してみる。
第一には、福島事故関連の情報収集である。
第二には、私が研究している核変換技術の情報収集と共同研究グループとの連携の検討である。
第三には、教育、といっても私の研究の後継者探しという面が強い。
第四に興味があるものの聴講、今回の場合は内部被ばくと放射線治療である。
その他として、今回はミューオンによる原子炉透過の続きや原子炉稼働をニュートリノで計測のトピックスもあったので、ミーハー的に仮想聴講した。
以下に聴講順にメモ程度に書き留めていく。
長々と見たくない人は末尾にまとめを書いておくので、それだけみればいいかもしれない。
第1日目の最初は放射線計測がテーマのH会場に仮想聴講した。
1H01から1H04では、放射線計測の中で、放射線治療に使うリニアック、放射線医療で使うための線量計、他の2件はウランで汚染したガレキの物理・化学分析であった。
1H01は「ガントリー型リニアックを用いた治療施設の漏えい線量評価」でガントリーというのは門型の移動機構のことを指すらしく、私が放射線治療を受けているのが多分このタイプであろう。
漏えい線量というのも、私が線量計を治療場所に持ち込んだために、この漏えい線量で線量計が影響を受けたためと思われる。
この漏えい線は線源の部分から漏えいするものと対向板という遮へいパネルのようなものに当たって、そこから2次放射線(おそらくX線か電子線)が発生するようである。
私の持ち込んだ線量計がどちらの影響を受けたのか不明であるが、強度的に数時間の半減期を持つ放射化したのであるから、おそらく 前者の線源部分の漏えいであろう。
この発表ではまだ線量評価をしていない準備段階で終わっていた。
次回発表の機会があれば聞いておきたいものである。
1H02は「PVA-KI ゲル線量計を用いた線量評価技術研究」というもので、これも放射線治療における線量評価の一環の研究である。
昨年発表で聞いた気はする。
今回の線量評価が粒子線の線量評価となっていてちょっと残念な気がした。
1H03と1H04はウラン汚染ガレキの分析の話だったので省略する。
続いて放射線計測2でやはりH会場に仮想聴講した。
1H05は原発事故時の海上モニタリングで、これも昨年聞いたテーマの継続研究だったように思う。
今回はモニタリングしたデータから放射性核種の放出率を計算するという意欲的なものであった。
1H06は「海水中トリチウム測定法の迅速化に向けた研究」は福島原発にあるトリチウムの海洋放出を念頭においた分析であるが、液体シンチレータを使うという点で目新しいことはなく、蒸留なしでもできるかも、というものであった。
1H07は「冬季の雷放電と同期したガンマ線フラッシュの定量評価」というもので、昨年の柏崎刈羽原発で発生した雷によるガンマ線発生を理論的に裏付けした研究であった。
この研究により、原発のモニタリングステーションで原発内の核種が外部に漏れたものでないガンマ線を検出することがあるので、モニタリング監視における安全性のデータとなるものである。
午後での最初のセッションでは「シニアネットワーク連絡会セッション-夢に挑戦する人材育成」に仮想聴講した。
若者にどんな夢を提案できるか、と思ったのである。
(1)「若者に夢を与える教育について」というタイトルで茨城大学の高妻氏が講演した。
でも提案が外国に出ていくという平凡なものであった。
(2)「エネルギー産業界としての人材育成の視点」というタイトルで、日立GEの土屋氏が講演した。
次世代炉の中で若者を育てるという観点であった。
(3)「原子力にとっての若者への期待」というタイトルで、学会シニアネットワークの大野氏が講演した。
152回の若者との対話を通して、若者は理を知れば自ら正しい判断を下す、というのが結論だったようである。
その具体論は、と突っ込みたくなるのであるが、仮想聴講なのでできない。
(4)「若者にとっての夢と課題」というタイトルで、東工大の三島女史(学生)が発表した。
学生連絡会員として、学会所属の学生の気質分析を行っていた。
(5)「21世紀を展望した人材育成についての対話」というタイトルで、シニアネットワークの櫻井氏がおそらく対話の司会をしたのであろう。
午後の発表ではN会場で防災・司法・リスクマネジメントのセッションに仮想聴講した。
1N07はJCO事故の分析を行っていた。
住民避難に9時間かかっていた。
防災無線やマスコミ報道で避難呼びかけは効果がなく、広報車で個別訪問した方がよかったらしい。
1N08は原子力裁判における技術的な論点整理ということであったが、だからどうなのか、というのがイマイチわからなかった。
1N09では原発運転員の教育に関して、であるのでパスする。
1N10は「試験研究炉の安全に係る等級別扱いについて」ということで、原子力機構JAEAの与能本氏が発表した。
今の原子力規制委員会は研究炉についても、原発と同じ規制基準で審査しているが、それはおかしいという。 国際原子力機関IAEAは等級別扱い(graded approach)を求めている。
これに従うべきとしている。
正論と思う。
研究炉は出力自体が原発と比較にならない小規模なので、事故が発生したとしても周囲に重大な影響を与える可能性が少ないからである。
続いて、N会場で「社会的受容性・原子力教育」に仮想聴講した。
1N11は社会的受容性の高いと言われる新型炉(小型モジュール炉の想定)のことであるから、パスする。
1N12は「中学生による最終処分地問題の理解促進ーその成果と課題ー」というタイトルで、東工大の澤田氏が発表した。
これは以前別のシンポジウムで聞いた内容と思うが、中学生に考えさせるということで、将来に向けた布石とも思えるが、逆に考えると、今の世代では解決できないからよろしく、というようにもとれる。
1N13は原子力マネジメントというようなものなのでパスする。
1N14は「福井県におけるエネルギー環境教育の普及・促進」というタイトルで、原子力安全システム研究所の大磯氏が発表した。
福井県は原発が多い県なので、その教育については力が入るのであろう。
放射線を目に見える形で霧箱を使ったり、英語版のわかりやすい教材を作る等の活動を福井県理科教育研究会で行っている、とのことである。
1N15は吉田元1F所長を追悼する会の発表のようで、パスする。
第1日目は終わった。
第2日目は最初にF会場に行った。
2F01は過酷事故時のデバイスのことなのでパスする。
2F02は「原子核乾板を用いた透過型ミューオンラジオグラフィによる浜岡原子力発電所2号機格納容器下部の観測(その8)」というタイトルで、名大の森島氏が発表した。
宇宙線ミューオンを使った原子炉の透視で、人間でいうところの肺のX線検査のようなものである。
福島原発の模擬を浜岡原発で行っている。
継続して聴講していきたいものである。
2F03は「原子炉ニュートリノモニター開発のための環境放射線測定」というタイトルで、福井大の池山氏が発表した。
原子炉で発生する反電子ニュートリノを使った研究で、ちょっと意表を突かれた気がする。
ちょっと説明しておくと、原子炉内で中性子が崩壊する時に、陽子と電子と反電子ニュートリノという3つの粒子になる。
この反電子ニュートリノも普通のニュートリノと同じく、ほとんど質量が0に近い中性微子なのである。
この反電子ニュートリノを使って原子炉の稼働状況を知るという面白い発想である。
ただ、小柴先生のニュートリノによるノーベル賞でのカミオカンデが地中深く検出器を置いて、地上のノイズカットしているが、これと同じ地下に設置しては不便ということで地上設置を目指しているらしい。
図1 ニュートリノのイメージ
2F04は光ファイバー型放射線モニタの研究に関するもので、福島原発の建屋内の高線量に対応したものなので、パスする。
2F05はやはり福島原発2号機の線量率評価なので、パスする。
しかし、この中で格納容器内線量で70Gy/hの数値にはちょっと驚いた。
私が今前立腺がんの放射線治療している総線量が80Gy(グレイ)で全身に浴びれば致死量となるデータである。
2号機の格納容器内の線量率の高さはこの中での作業の困難さを思わせる。
おそらく、ロボットによる遠隔操作なのは確かであろう。
このF会場と同時並行で、N会場が核セキュリティの発表であった。
2N01は「核分裂性アクチノイド核種の核特性データベースの作成」というタイトルで、東工大の房氏が発表した。
アクチノイドはウランの周辺の元素でアクチニウムAcからカリフォルニウムCfまで69核種の臨界質量等を整理したもので、核セキュリティライブラリーとなるものである。
2N02は「監視カメラ動画の深層学習を用いた手元動作識別手法の開発」というタイトルで、東大の出町氏が発表した。
原発における妨害破壊行為を監視カメラでキャッチしようというもので、ニューラルネットワークを利用した研究である。
繰り返し数2000回で85%の正解となった、とのことだが、ちょっとマユツバの気もする。
2N03は「Measuring Isotopic Abundance using Nuclear Resonance Fluorescence」(核共鳴吸収・発光を使った同位体割合の測定)というタイトルで、JAEAのOmer氏が発表した。
タングステンの同位体を測定し、4%以内の誤差だったようである。
2N04は「核・放射線テロ事象の初動対応に資する小型放射線測定資機材の開発(1) 核種判定のための複合型ガンマ線検出システムに関する検討」というタイトルで、JAEAの木村氏が発表した。
核テロが起きた場合に現場で簡単に核種判定ができるための装置開発である。
Cs137とCs134を使った結果はよいものだったようで、今後いろいろな線源で適用するようであった。
2N05は「Applicability study of Photofission Rate of Reaction Ratio Method to identify High Enriched Uranium by utilizing the Bremsstrahlung spectrum photon」(制動放射光子を利用した高濃縮ウランを確認するための光核反応に関する研究)で東工大のWei氏が発表した。
原理はよくわからなかったが、濃縮ウランの濃縮度が測定できるようであった。
午後の初めはH会場の「日本原子力学会としての社会への情報発信のあり方」を仮想聴講した。
このセッションは前回も出席していろいろ質問したような気がする。
ポジションステートメント(学会の提言や用語解説等)は前者のみとし、後者の解説は別の項目として切り離すようである。
プレスリリースは緊急性等を考慮したものとし、ポジションステートメントと区別することやプレスリリース後に会員にパブリックコメントを求めるなどの改善案を打ち出していた。
「チーム110」は110名の解説担当者と警察の110をかけたもので、福島原発事故で能力を発揮して欲しい、との狙いがあったらしい。
しかし、あまりに原子力担当が頭を抱える事案が多くて、あまり利用されなかった。
その反省を踏まえて再編成し、マスコミ対応を円滑に進めるためにメディアトレーニング等を実施している、とのことだが、我々会員の目に見える形での活動とはなっていないように見える。
また、I会場で「原子力防災の現状と課題」のセッションがあった。
原子力防災の現状として内閣府の人が一般論を説明していた。
次に茨城県の役人が東海第二原発の周辺30㎞圏内の14市町村の広域避難計画を説明した。
茨城大学の原口女史が原発被災者支援から見えてみたものを講演していた。
震災から8年経ってもまだ被災者への支援は十分ではないようである。
午後の発表ではB会場の「汚染水及び汚染土壌処理技術」に仮想聴講した。
2B10と2B11は原発の冷却廃水の二次廃棄物に関するものであった。
廃スラッジの性状分析、放射化学分析だったのでパスする。
2B12はセシウム吸着したゼオライトの固化技術に関するものであったが、パスする。
2B13は「亜臨界水環境における汚染土壌からのCs 脱離反応速度解析」というタイトルで、東工大の福田氏が発表した。
セシウムは粘土質のものに付着すると安定化して脱着しにくいので、田畑の除染という観点では難しいが、安定しているために流れ出さない、他の領域に汚染を拡大しない、という点ではよい性質なのである。
この安定化した粘土中のセシウムを亜臨界水を使って脱離しようというものである。
今回は模擬体で脱離のメカニズムを推定したようであった。
2B14は「ICP-MS/MS によるNp-237 分析の基礎検討」というタイトルで、JAEAの濱田女史が発表した。
ICP-MSは質量分析で有効な分析なのであるが、今回の分析対象がアクチノイドのネプツニウムNp-137で再処理管理のものである。
この技術を核セキュリティに使うことは考えていないのか、と思った。
F会場は「線量計測」がテーマであった。
2F14は光ファイバー放射線センサーで原発内で使用するものなのでパスする。
2F15は2F14と同じだが、放射線治療での測定を目指している。
ただ今回の対象が350Mevの炭素線ということで、私が受けているX線の15Mevよりかなり高いエネルギーの実験をしているので、前立腺模擬としているが、私の治療にも適用可能なのかは不明である。
2F16と2F17は共に放射線治療での炭素線を対象としており、16ではガス増幅、17ではゲル線量計であるが、まだ基礎実験の段階のようである。
H会場は「内部被ばくと放射線医学」のセッションであった。
2H15と2H16は世界的な放射線の機関の権威ICRPの2007年勧告で内部被ばくの評価ということが提案されているようである。
放射線治療とは違う、体内に入った核種による内部被ばくの評価のようであるので、パスする。
2H17は「エネルギー分析型甲状腺放射性ヨウ素モニタの開発」というタイトルで、JAEAの谷村氏が発表した。
ヨウ素モニターであれば珍しくないと思ったが、バックグラウンドの高いところでの測定機器の開発のようであった。
2H18は「Two-dimensional CT Image Prediction from tracking with optical flow and linear regression for X ray lung radiotherapy」(肺のX線放射線治療における光と線形後退を考慮した追跡による2次元CT画像予想)というタイトルで東大のMichel氏が発表した。
肺は呼吸する時の動きに放射線が追従しにくいので効果的な治療ができにくいようである。
それを予測した画像と実際の画像を比較していたようである。
2H19は「α線治療のためのHe イオンマイクロビームDNA 照射分析の基礎研究」というタイトルで東大の酒井氏が発表した。
RIやアルファ線治療の時にDNA損傷のたんぱく質修復機構の可視化を行ったらしい。
以前にこの修復機構の可視化は予告されていたが、実験が遅れていた。
それがやっと実現したらしい。
DNA損傷したものの修復機構は女子栄養大学の香川氏が示唆していたものであるが、それが実現したとすると、このビデオは見ておきたかったが、今回は欠席したので仕方がない。
今後チャンスがあれば、この研究の主幹である上坂教授にたんぱく質修復機構のビデオ視聴をお願いしてみたい。
2H20は「トリチウムのヒト細胞への影響-PHITS を用いた細胞核線量率の計算」というタイトルで、茨城大学の土田氏が発表した。
トリチウムの影響を実験と解析コードPHITSの両方で比較していた。
トリチウムチミジンの影響があるらしかったが、詳細は不明である。
第2日目も終わった。
第3日目、最終日はまずK会場に行った。
ここのテーマは「無線システムと水中ロボット」である。
3H01、3H02は原発内での無線の検討なのでパスする。
3H03は「水中ロボット「ラドほたる」開発」というタイトルで、福島高専の鈴木氏が発表した。
面白いネーミングなのでつい読んだが、デブリ処理用のものらしく、ちょっとがっかり。
でもロボット技術は進歩させておくべきだろうとは思う。
3H04は上記ロボットの耐放射線性に関するものであった。
10,000Svというおそろしく高線量に耐える機器が必要のようだが、これをクリアしたらしい。
ただ使用した半導体等は徐々に劣化してきたようである。
最後にL会場に仮想聴講した。
ここのテーマは「新検査制度と原子力発電所の安全性」である。
原子力規制委員会は来年から新しい検査制度を始めるらしい。
私も時々原子力規制委員会のHPでそれらの制度資料を見るのだが、どうもはっきりわからなかった。
このセッションでわかったのは、アメリカNRC(原子力規制委員会)のROP(Reactor Oversight Process:原子炉監視プロセス)をモデルにしたシステムであり、今までの上意下達方式でなく、双方向のコミュニケーションを重視するらしいこと、リスク情報の活用くらいである。
どんな討論が行われたことやら。
以上で、2019年日本原子力学会・春の年会の仮想聴講は終了した。
ここで、これらの内容を簡単にまとめておく。
第一には、福島事故関連の情報収集であった。
福島県のことはあまり情報はなかったように思う。
第二には、私が研究している核変換技術の情報収集であった。
ImPACTという官民の核変換研究が行われているのであるが、大規模な施設を使った研究がメインで、私のような細々とした研究が入り込める余地がない。
第三には、教育、といっても私の研究の後継者探しという面が強い。
この面では、夢に挑戦する人材育成に期待があったが、あまり大したことはなかった。
第四に興味があるものの聴講としては、遺伝子修復技術、ニュートリノによる原子炉監視技術があった。
前者に関しては以前期待した遺伝子修復動画が発表されたのは残念である。何とか見てみたい。
ニュートリノ技術については、ニュートリノを測定する技術が新しい機器でなく、従来の機器の組合せのように理解したが、これでニュートリノが測定できるのか不明である。
時間があれば、この予稿集の先行研究も調べてみたい。
その他として、今回は放射線治療に関連するものが多かった。
リニアックの漏えい放射線、被ばく線量を測定するためのガス機器、ゲル機器、光ファイバー機器等が研究されている。
今の私の放射線治療には役に立たないが、将来はこの放射線治療の周辺環境が整備されるようになりそうなのはうれしいことである。
また、核セキュリティに関する研究も進んでいる印象があった。
原子力学会の発表は原子力の情報の宝庫であり、福島原発事故後の復興という観点からも継続して情報収集し、それらのデータを整理していく必要があると思う。
今後も続いて参加していきたいと思う。
<前立腺がんの放射線治療短信>
放射線治療も35回/40回となってきた。
今週は畜尿(治療の2時間前に排尿、直後に300mlのお茶を飲む)が4回成功した。
しかし35回目に直前にお腹の具合が悪く排便したためか、畜尿に失敗し、結局畜尿に3時間かかった。
畜尿と便コントロールは連動しているのかもしれない。
来週は血液検査でのPSA(前立腺がんのマーカー)検査も行われる。
メンテナンス日が1日あり、放射線治療終了は4/15(月)予定である。
身体の状態としては、右手のしびれ、右足股関節のだるさは相変わらずであり、自分生来の持病か、それともがんのリンパ転移かとおびえているところもある。
しかも昨日から右足の裏がすごく痛い。
痛風の症状を思わせるものだが、ひょっとしたら、栄養の摂りすぎによる影響かとも思う。
人間は少し悪いところがあると、いろいろ悪い想像をしてしまうようである。
-以上-
この記事へのコメント
ご家族の話、原子力の話も興味深く、長々と読んでしまいました。こんなに文章力がおありなのだから、理系でも、文系のおじょうさまの才能もきっとおとうさま譲りなのだなあと思います。
放射線療法の被爆に関しても興味があります。
これから愛読させていただきます。
ありがとうございました。