一つの石のブログ−科学と将棋と教育を好む人へ

アクセスカウンタ

zoom RSS 核医学で体内被ばくを体験

<<   作成日時 : 2018/11/11 17:35   >>

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0

 核医学で体内被ばくを体験した。

 この前の10月21日のブログで、私が前立腺がんだったことを書いた。
  https://hitotsunoishi.at.webry.info/201810/article_3.html

 この時にがん転移の可能性を見るために、3種類の検査をした方がいいというので、その3種類の検査を受けた。
 検査は以下の3つである。

 (1)10/23(火) PM CT 
 (2)10/26(金) AM 骨シンチグラフィ用の注射、 PM @骨シンチグラフィ、AMRI

 この中で、骨(こつ)シンチグラフィというのが、放射性物質(RI)を体内に注射して、骨へのがんの転移状況を見る、というものなのである。

 10月16日(火)の結果説明の時に、これらの検査の説明資料をくれた。

 骨シンチグラフィというのは、X線検査の体内版みたいなものである。
画像

         図1 骨シンチグラフィの状況(国立国際医療研究センターHPより抜粋)

 骨シンチグラフィの検査方法は、テクネチウム(Tc-99m)という放射性物質を370MBqか740MBq注射するらしい。(R病院からもらった資料には書いてなくて、検査後にインターネットで調べた。)
 ここでは370MBqと仮定して内部放射線被ばくのことを考えてみる。
 この注射をしてから、3時間後にCTみたいな骨シンチグラフィ装置を使って検査するのである。

 最初に検査当日の行動パターンを示し、その後にその行動パターンの線量分析・検討等、の順に書いていく。

 10月26日(金)は晴れていた。
 この日の朝、出かける前に、堀場製作所製のPA-1100という線量計を持った。
 これは0.001〜20μSv/hまでの線量率を測定できるものである。
 それとペットボトルのお茶500mlとおにぎり2個を途中のコンビニで買って行った。

 R病院に入る前に線量計の電源をONにした。
 これ以後、思いついては線量計の値をノートに書いた。

 検査部署に行く前までは0.05μSv/hくらいで、これが通常の場合の自然放射線の線量率である。
 義父宅に行く時の東京駅・上野駅で0.03μSv/h、福島駅で0.05μSv/hと平常であり、福島駅の直前のトンネル内で0.02μSv/hと低くなる。(今年10月31日現在)

 検査部署の前は0.08μSv/hと少し高くなった。
 これは、何人か骨シンチグラフィ用の放射性物質(RI)が近くに貯蔵されているか、実際に現在治療でRIが使用されていると思うので、仕方ない気がする。

 10時過ぎに名前を呼ばれて、RI溶液を注射された。
 注射の後は、3時間どこで過ごしてもいいし、昼食も食べて構わない、飲料水もOK、とのことだった。

 でも私は体内にRIを入れているので、雑踏や食堂にいると、周囲の人が余分な被ばくをするのはよくない、と思い、R病院を出て、近くの公園に行った。

 公園ではグラウンドゴルフをやっているお年寄りグループや散歩中の幼児を連れたお母さんたちがいた。
 お母さんや幼児からは離れて、なるべくお年寄りグループの近くのベンチに座って読書をしていた。
 若い人ほど放射線のダメージが多くなる(といっても、私の出す線量<後述>くらいでは大したダメージはないのだが)ので、お年寄りグループの近くの方のベンチに座っていた。

 その時に読んでいた本は「胡蝶の夢」(司馬遼太郎著)で、江戸末期の蘭学医療のことを書いていて、いかに医者が当てにならないか、というような内容のものであった。

 お昼にはそのベンチに座って、おにぎり2個を食べた。
 トイレに行きたくなった時はR病院まで戻り、病院内のトイレに行った。
 おしっこの中にもRIが若干含まれているはず、と思ったからである。

 午後1時半前に再度R病院に戻り、できるだけ若い人から離れたベンチに座り、順番を待った。
 すぐ目の前のポスターに、核医学検査での被ばくは1〜15mSv/回と書いてあった。
 (年間の平均被ばく線量が日本人平均で2.4mSv/年であるから、1回の検査でこの数値を超えるみたいであった。
 医療用被ばくは放射線作業従事者の被ばくと違って、現状では制限があいまいである。)

 名前を呼ばれて、検査用パジャマに着替えた。
 検査前にトイレに行ったはずだが、検査直前にまた行った。

 少し予定の時間より遅れて、骨シンチグラフィ検査が始まった。
 CTみたいな装置で、胴の輪切りみたいなX線写真を撮るらしかった。
 この後にMRI検査も受ける予定だったので、そのことを言うと、そちらの検査担当には遅れるという連絡がいっている、とのことだった。

 MRIも若干遅れて受けた。
 これは道路工事現場のような騒音の中で検査を受けるもので、以前人間ドックの病院でも検査した。

 検査2つが終わって、水分をなるべく多く摂取して欲しい、とのことだったので、病院の自販機でペットボトル500mlをもう一本買った。
 また、昼におにぎり2個だったので、ポタージュスープ缶も1個買い、その場で飲んだ。

 帰る途中も電車の中等で小まめに水分を摂った。
 駅のトイレ等も数回使った。
 また電車内ではできるだけ女性に近づかず、男性の傍に立っていた。
 女性の場合、妊娠中の女性がいたりすると、余分な被ばくを避けた方がいいからである。
 家に帰って、線量計の数値データをチェックした。
 線量計は2時間経過すると自動でOFFになるので、途中何回かONし直した。

 さて以下から、上記の行動及び線量計のデータを基に、私が骨シンチグラフィで受けた内部被ばくについて考察してみる。
 受けたRI注射はTc-99mであり、線源の強さは370MBqと仮定する。
  Tc-99m:半減期6時間(6h)、放出γ線0.141Mev
 また、このTc-99mはガンマ線を放出して、Tc-99になる。
 このRIは以下の性質を持っている。
  Tc-99 :半減期20万年、ベータ線0.294Mev 、ガンマ線は出さない

 この日の1日の線量計の数値を整理してみると、以下のようになる。

画像

         図2 線量計の読み取りデータの状況(縦軸は対数目盛、以下の図はすべてそのようになっている。)

 値がバラバラなのは、ナップサックの中にある線量計をその位置で読み取ったので、私というRI線源からの距離がバラバラなためであり、近いところでは概ね20μSv/hを超えている。
 RI注射直後の20μSv/hは20μSv/h以上と思って欲しい。

 また、線量率 at 1m(μSv/h)は自宅に帰って、自宅にあったメジャーを使って、1m離したところに線量計を置いて測定した。
 朝10時に1mの距離での線量率を推定すると、RI手帳から1p線量当量率定数はTc-99mで0.0214(μSv・m2・MBq−1h−1)であり、線源強度を370MBqと仮定すると、7.92μSv/h at 1mとなる。

 自然減衰だと、物理的半減期Tpに従って減衰するが、今回の場合、おしっこやうんち等で体外に新陳代謝で排出するものも加味されて、実効半減期に従って減衰した。

 この実効半減期 Teffにおいては、以下の式から、生物学的半減期 Tbが求められる。
  (1/Teff)=(1/Tp) + (1/Tb)

画像

         図3 線量率 at 1mでの線量率変化

 この式でTp = 6 (h)であり、
計算で
   Teff = 3.8 (h)
と求められて、これらのデータを使うと
   Tb = 10 (h)
となった。

 身体の中のRI(Tc-99m及びTc-99)は通常の物理的半減期6時間、生物学的半減期10時間を加えた実効半減期3.8時間で、体内のRIは半分に下がる。
 私の水分の取り方次第で、この生物学的半減期は若干変動する。

 また、胸に線量計を当てた時の線量率の変化を図4に示す。

画像

         図4 胸に当てた時の線量率変化(3日間)

 3日後にはほぼ通常の値0.05μSv/hぐらいに下がっている。
 だから3日間で、ほぼ体内のRIは体外に排出されたものと考えられる。

 この間の被ばく線量はどのくらいか考察してみた。

 最初の1日の時はRI注射直後から、私というRI線源から1m離れた位置での線量率は約8μSv/hであるから、人体の厚さ25pとしてその4倍の32μSv/hくらいであったと考えられる。
 実際には胸に当てた線量計は常に振り切れて19.99の点滅表示(20μSv/h以上という意味)であった。

 線量率R0=7.92とすると、t=(0,∞)で積分して
  Rtotal=∫R0×exp(−λt)dt=R0/λ
      =68μSv

 これは1m離れた位置での被ばくであるから、実際にはこの4倍の300μSvくらいのガンマ線被ばく(Tc-99m) があったと推定する。

 この他にTc-99のベータ線被ばくがある。
 ベータ線の換算係数は1であり、Tc-99のベータ線のエネルギーはTc-99mのガンマ線のエネルギーの約2倍であるから、上記の300μSvの倍の600μSvくらいの被ばく量と推定した。

 厳密にいえば、体内の臓器毎に線量率換算係数の違いがあり、正確な値ではないが、およそ300μSv+600μSv=900μSv(0.9mSv)となる。
 最初の仮定でのTc-99mが740MBqだと、この値の倍の約2mSvとなり、病院の前に貼ってあったポスターの1〜15mSvの数値がまんざら当てずっぽうのものではないことがわかった。

 この他、10月23日のCTではヨウ素の造影剤を注入されたらしく、R病院の資料では時々気分が悪くなる人がいるらしかった。
 私は幸いそうしたことはなく、身体が少し暖かく感じるという通常の反応のみであった。

 この3つの検査の結果が11月13日に判明する。

 前立腺がんが他の場所に転移していないことを願うのみである。

      −以上−

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 4
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
核医学で体内被ばくを体験 一つの石のブログ−科学と将棋と教育を好む人へ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる