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zoom RSS 福島県の県民健康調査等の講演会に参加

<<   作成日時 : 2018/08/12 16:05  

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 日本学術会議の福島県民健康調査講演会(8/5(日))に参加した。

 日本学術会議のHPには6月初めころには上記講演会の案内が出ていたと思う。
 私のノートの記録によると、6月27日に参加申し込みを行い、6月29日に講演会事務局よりOKのメールが返信された。

 しかし今回の開催場所が福島県立医科大学となっていた。
 いつもの東京の六本木の日本学術会議の講堂ではない。
 でも義父宅にいる時だから、参加できると思った。

 7月6日に義父宅で開催場所を調べてみると、JR福島駅からバスで30分くらいかかる場所らしい。
 JR福島駅までのローカル線の時間、また帰りのローカル線等の時間等をチェックしておいた。

 当日は早めに義父宅で昼食を取り、夕食のおにぎりとペットボトル500mlのお茶を途中のコンビニで買っておいて、ローカル線で福島まで出た。

 バス停でバスの時間を見ると、出発時間まで30分くらい時間があったので、近くのドトールコーヒーショップで時間をつぶした。
 福島交通のバスは後ろのドアから乗車し、整理券を取る方式であった。
 運転手さんに降車の時の確認をすると、つり銭が出ないから予め両替しておいて欲しい、とのことであった。
 そこで両替して、福島県立医科大学まで490円をポケットに入れておき、降車の時に整理券と一緒に出した。
 乗ったバスは県立医科大学が終点なので焦ることもなかった。
 運転手さんに帰りのバス停を聞くと道路の反対側を教えてくれた。
 そこに行って帰りのバスの時刻を確認しておいた。
 17時半に終了だから、その後のバスで18時10分、JR福島駅からのローカル線の時刻表もメモしておいたから、だいたいの帰宅時間を想定した。
 バス停で、もう一人同じように帰りの時刻を確認している人がいて、その人は講演会開催場所の講堂も守衛さんらしき人に聞いていて、彼の後をついていったので、開催場所にはすぐ到達できた。

 受付には14時頃に着いたので、まだ会場の整備ができていない、とのことで、A4の5、6枚資料を受け取り、ロビーらしいところで待っていた。

 プログラム概要は末尾に添付する。

 会場は田舎だからだろうか、収容人数500人くらい入るりっぱな講堂であったが、50人くらいの参加者だったように思う。

 開会挨拶は日本学術会議会長の山極氏(京都大学総長)が行った。
 この人はどこかのテレビでみたことがあるな、と思って、後で調べてみたら、ゴリラ研究の第一人者と載っていた。NHKのスペシャルか何かで見たのかもしれない。

 続いて福島県立医科大学学長の竹之下氏があいさつした。
 さすがに日本学術会議の講演会だけに、司会が副学長、あいさつに学長と力が入っていたのかな、と思う。
 この福島県立医科大学は福島県から、福島原発事故後の福島県民の健康に関して委託調査を請け負っているようであった。

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         図1 福島県民調査(全県民対象)の概要

 講演(1)は「県民健康調査の概説」というタイトルで、神谷氏が講演した
 福島県立医科大学は図1に示すような内容で、福島県から県民健康調査を請け負っている。
 その目的は福島原発事故による放射性物質の拡散や避難等を踏まえ、県民の被ばく線量の評価、県民の健康状態把握、疾病の予防、早期発見、早期治療につなげ、将来にわたる県民の健康の維持、増進を図るという。
 この調査の内容として、外部被ばく線量を推定する基本調査と健康状態を把握する詳細調査からなり、詳細調査として、甲状腺検査、健康診査、こころの健康度・生活習慣に関する調査、及び妊産婦に関する調査が行われた。
 基本調査では46万人以上の事故後4か月間の外部被ばく線量が推定され、99.8%の住民が5mSv未満で通常の自然放射線被ばく2.4mSv/年と比較して2倍程度であり、これくらいの被ばく線量であれば比較的安心できる線量である。また最大被ばく線量で20mSvだったと思うが、このレベルであれば、発がん性もほとんど問題ない。
 (これは私の個人的な見解:インド・ケララ州の花崗岩質の岩石からの被ばくが年間10mSv前後と多い地域で数万人の疫学調査でほとんど健康影響に問題ないことが報告されている。図2参照)
画像

         図2 被ばく線量による影響(Fuji Sankei Business 2014 3/18の記事より抜粋)
 (図中のグレイの単位はセシウムと仮定するとほぼシーベルトと考えてよい。)

 甲状腺検査で事故時18歳以下の全県民約40万人を検査し、これを繰り返し検査する体制とした。
 第1巡目の事故後3年間での検査で116例の甲状腺がんまたは甲状腺がん疑いが見つかった。
 これらの検査で見つかった割合として、放射線の影響とは考えにくい、また地域差もない(福島県でも他の県でも発生率に差はない)、と結論を出した。
 それでもマスコミは通常の甲状腺検査に比べて30倍も高い、という点を誇張して報道している。
 通常の甲状腺検査は喉に異常を感じて受診した結果から甲状腺がんと診断された例と、福島のように甲状腺に異常を感じなくても全員受診して甲状腺がんを発見する、という事例ではその前提条件が違っている。
 また、最近の甲状腺検査は機器の精度が向上して従来発見されなかったものまで発見されてさらに症例が増えてしまう。
 ただ、医療の専門家も正しい報告をしようとして、医療用語を正確に伝えることで、木を見て森を見ず(個々の専門用語にとらわれて全体が見えなくなる)、という状況になったことは否めない。
 また、チェルノブイリ原発事故での子どもの甲状腺がん発症が大きかったので、福島の親がこれらの報道をみて余計に心配になる、ということもある。
 神谷氏の説明では、チェルノブイリ原発事故では放射性ヨウ素で汚染された牛乳を事故後も周辺住民は食物摂取制限をしなかったので飲んでいた、とのことで、私はこのために事故後に放射性ヨウ素を食物摂取でたくさん取り込んだことをほとんど考慮せずに報道したことも一因である、と思っている。
 福島では事故後に食物摂取制限をしているので、この放射性ヨウ素を取り込んだ可能性は空気中に浮遊する放射性ヨウ素の呼吸による吸入のみである。
 その結果、チェルノブイリ原発事故に比べてその影響ははるかに小さいと考えられるのであるが、こうした状況もほとんど考慮されていない報道となっている。
 広島・長崎の原爆被爆もチェルノブイリ原発事故もウラン、プルトニウム、ストロンチウムという骨に沈着しやすい死の灰を食物摂取制限なく取り込んでいるので、これらの放射性物質が子孫に与える影響として体内に多く残る結果となっている。
 しかし、福島ではほとんどセシウムのみで、これはナトリウム、カリウムと似た挙動をするので、体内に取り込んでも新陳代謝で体外に排出しやすく、体内にほとんど蓄積しない。
 したがって子孫に与える影響はほとんどないのである。
 そういう現実的な事実がほとんど報道されない。
 だから、福島県外に避難している約5万人の家族が子どものことが心配でなかなか福島に戻れない状況が続いている。

 この概説の講演の後で、質疑応答があるかと思ったが、何もなかった。
 以下の講演でも同じであった。

 (2)では「県民健康調査の甲状腺検査・甲状腺がんについて」というタイトルで志村氏が講演した。
 甲状腺の基本として、その働き、ホルモン等による生物の発生・分化、代謝等に関係することが説明された。
 しかし、医療用語が多くて、資料にも概要しか載っていないのでよくわからなかった。
 要するに、(1)で説明したように甲状腺の1巡目検査(先行検査)で甲状腺に関する症状として、のう胞47.9%、結節1.3%が見つかり、これらの軽い症状か重い症状(甲状腺がん)かを特定するために細胞診診断で悪性のものや悪性の疑いのあるものは0.04%であった。
 これがおそらく(1)での116症例に当たるのであろう。
 3年後の2014年の第2巡目の検査(本格検査1回目)、さらに2016年から3巡目(本格検査2回目)が実施された。
 2018年4月から本格検査3回目も始まっている。
 また、25歳以降の検査(事故時に20歳未満)も始まっている。
 ただ紛らわしいのは甲状腺がんといっても、悪性でないために健康に影響がなく本人も気がつかないタイプのラテントがん(軽症の甲状腺がん)が死後の検視等で見つかることもあるらしく、これを含めると余計に甲状腺がんの報道が混乱する。
 これを除くことや、甲状腺がんの判断基準等もきちんとしないといけないようだったが、医療用語が多く、私の理解が不足している部分もある。

 (3)では「原発災害後のこころの問題とそのケア」というタイトルで、前田氏が講演した。
 西日本の豪雨と水害があったが、大きな災害に遭うと、親しい人や家屋の喪失、避難生活の長期化で精神的に辛い状況になる。
 場合によってはPTSD(外傷後ストレス障害)やうつ病になることもある。
 東日本大震災では宮城、岩手も津波被害は深刻だったが、大量の長期避難はなかった。
 これらの間接的な影響をメンタルヘルスの面から支援しようとしている。
 被害者のメンタルヘルスに関するアンケート子どもの性格や行動は母親が記入した。
 自殺の問題は東日本大震災後の初年度は岩手、宮城と福島の3県であまり変わらないが、年を経ると、岩手、宮城は下がるが、福島は増える傾向にある。
 県外に避難した人は相談者がいないことやネットワーク不足等の問題がある。
 風評被害や偏見に苦しむ人も多い。

 (4)では「福島県『健康長寿ふくしま推進』体制と福島県立医科大学 健康増進センターについて」というタイトルで大平氏が講演した。
 福島県は都道府県別生命表の概況で、平均寿命が男性で80.12才(41位)、女性86.4才(43位)と悪い状況にある。
 生活習慣病で亡くなる人が多く、急性心筋梗塞による死亡率は男女とも全国ワースト1位という状況である。
 これを何とかしないといけないということで「健康長寿ふくしま推進」事業を始めた。
 後はその事業の内容の説明であまり宣伝ばかり書いても仕方がないので省略する。
 記憶に残ったのはFDB(福島県版健康データベース)を作って、診断していこうとしていること、健康アプリ「健康づくり、はじめよう」を作成したようである。
 アプリについては、後でauのスマホで調べてみたがなかった。
 おそらく福島県内のもので公開されたものではないのであろう。

 以上でこの講演会は終了した。

 質疑応答が全然なかったので、欲求不満であった。
 義父宅に帰ってから、講演会事務局に宛てて、以下のコメントを送付しておいた。
 多分考慮されないかもしれないが、何もしないではいられなかったのである。

『(1)概説−神谷特任教授
 昨年の日本学術会議で出した報告書(昨年9月)と大差ないかと思います。
 あの報告書は毎日新聞で坂村健氏が評価した文を載せていましたが、マスコミの取り上げがほとんどないと指摘していました。
 私も上記の報告書を読もうとしましたが、いかんせん医学の知識不足で学術会議の報告書で甲状腺の影響はないということくらいしかわかりませんでした。
 一応私も原子力の専門家として30年間原子力ムラに席をおいているものでもわからないのでは、それより知識不足のマスコミが理解できなかったのも無理ないことと思います。
 毎日新聞は今でも福島の甲状腺の報道に関しては影響があるようなニュアンスの報道をしています。
 思い込みといえばその通りですが、これがまた悪意のない風評被害を継続的に強化しているように感じます。

 学術会議の報告書は医学の関係者のみでまとめているために、医学用語が多く、大枠が素人にはわからないように思います。
 学術会議の第三部と第一部の方にこの第二部の福島の健康影響報告書を読んでもらって、医学(第二部)の報告書を、理工学(第三部)の報告書と社会科学(第一部)の報告書に翻訳したものを作成してもらえたら、と思います。
 また、これらとは別に、サイエンスコミュニケーターに翻訳してもらう、例えば日本科学未来館のサイエンスコミュニケーターに頼む、または北大のCoSTEP等に依頼することも考えられます。
 この他、マスコミの科学担当部門の人を集めて、福島の人の健康への影響はないことの理解をしてもらうことも必要ではないかと思います。
 また、チェルノブイリ事故との比較が従来からありますが、これは適当ではないと思います。
 神谷教授も言っておられたように、食物制限をしなかったチェルノブイリ原発事故では子どもに汚染したヨウ素の牛乳を飲ませて甲状腺がんが増加したが、福島では食物摂取制限をして、外部のものは揮発性の放射性ヨウ素のみであり、差があると思います。
 また、チェルノブイリ原発事故ではウラン、プル、ストロンチウム等骨に沈着しやすい核種が多く放出されたが、福島事故では建屋の爆発に伴うセシウムとヨウ素のみで、これらの健康に与える影響、子孫の健康影響は全然異なります。
 これは広島・長崎にも言えることで、これらの比較事例を出すだけで、世間一般はやはり子孫への悪影響と短絡的に考えてしまいます。

 広島・長崎、チェルノブイリと根本的に福島は違うということを明言しないと、いつまでたっても風評被害、福島いじめはやまないと思います。

 また、インドケララ州の疫学調査結果から、福島の数倍の線量率の場所でも健康影響に問題ない、との結論もすでに出ています。
 これらの結果は福島でも現在、将来共に放射線による健康影響はないと言えるのではないかと思います。

(2)甲状腺検査−志村教授
 原子力ムラの説明と同じように、専門用語で、矛盾を指摘されないように、きちんとした説明をしているために素人には何をいっているかわからないように思います。
 嚢胞、結節、ラテントがんという言葉を一般的に表すと、甲状腺異常という一言でいいような気がします。
 また、甲状腺検査のやり方で症状が出ている人に対して行う従来法と違って、福島では全員検査的なやり方なので、多く異常が見つかる。
 また、医療機器の高度化による影響もあることをはっきり示すことが重要なのですが、それを志村教授の説明ではその他の説明、または説明自体を聞き逃しそうな気がします。

  試しに一文で説明すると以下のようになります。
  「従来の症状が出て病院に行って甲状腺がんが見つかる方法と、今回の福島のように症状が出ようと出まいと子ども全員を調べる検査では、後者の方が異常の発見率は上がるが、従来法でやれば同じ結果になる。
 医療機器の高度化も、従来見つからなかった症状が見つかるようになって、福島の異常が多いように見られるが、同様な機器を他県にも適用したら、福島と同じ結果が得られる。」

 今後もこうした空振りは多いかもしれないが、こと福島に関する情報は今後も収集していくことが重要なので、今後もこうしたシンポジウム等には参加していこうと思う。


<公開学術講演会>
 東日本大震災後の福島県立医科大学の対応−福島県『県民健康調査他』−
  1.日時:2018年(平成30年8月5日(日)15:00〜17:00
  2.場所:福島県立医科大学 講堂(福島市光が丘1)
  3.主催: 日本学術会議第二部
  4.共催: 福島県立医科大学・福島医学会
  5.費用:入場無料
  6.プログラム
      司会 安村誠司(福島県立医科大学理事・副学長)
    開会挨拶 山極壽一(日本学術会議会長、京都大学総長)
           竹之下誠一(福島県立医科大学学長)
    講演(1)「県民健康調査の概説」神谷研二(広島大学副学長)
       (2)「県民健康調査の甲状腺検査・甲状腺がんについて」志村浩己(福島県立医科大学)
       (3)「原発災害後のこころの問題とそのケア」前田正治(福島県立医科大学)
       (4)「福島県『健康長寿ふくしま推進』体制と福島県立医科大学 健康増進センターについて」大平弘正(福島県立医科大学)
    閉会挨拶 石川冬木(京都大学大学院教授)
  ー以上−

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