放射線教育関係フォーラム等に参加して

 ここのところ、数件の放射線教育フォーラムに参加している。

 参加したのは以下のフォーラムである。
  (1)公開パネル討論「今やる、放射線教育Ⅱ」                 (小学校、中学校用の教育)
  (2)廃止措置等基盤研究・人材育成プログラム 第1回東京大学人材育成セミナー  (大学の教育)
  (3)放射線教育の現状と今後のあり方について                (一般向け、高専用教育)

 これらのプログラム等の詳細は末尾に添付する。
 また、末尾添付のURLを辿ると、各フォーラムの紹介のHPに飛んでいくので、そこでもより詳細に確認できる。

 要するに小学校、中学校、高校、大学の放射線教育の現状を知りたかったのである。
 また、隠れた目的としては、私の考え方の後継者を探したかったこともある。
 多分30年程度の原子力分野の在籍期間を通じて私のような考え方をする人には出会っていない。
 私の息子は工学の電子・電気系だから、工学一般の話はできるが、こと原子力に関して息子は素人である。
 娘は文科系であるから、やはり原子力の話は難しいであろう。
 だから、私のような原子力分野での異端の思想の持ち主(原子核を加速器等を使わないで人工的に変換するとか、半減期の変更に寄与する原子核構造の葉脈状の仮定の構想等でノーベル賞級の研究を行う)の後継者を探すというのは無理かもしれない。
 ただ、今までは比較的安易な考えでよかったが、福島原発事故が起きてしまったからには、この放射能の被害をできるだけ早く収束させるためには、原子核変換によりセシウム放射能の消滅や核燃料の燃焼で出てくる100万年単位のネプツニウムのような超ウラン元素の放射能を消滅させるための原子核変換の考え方を構築する以外にはないし、研究スピードも必要である。
 私には、青色LEDの赤崎教授の下の天野教授や中村教授のように優れた弟子や後継者がいるわけではない。
 彼らにしても青色LEDの開発で成算があったわけではなく、技術者としての思い入れが花開いてノーベル賞につながったものであろう。
 それと同種の錯覚を私は抱いている。この錯覚を共有してくれる後継者探しもこれらのフォーラム参加の理由である。

 放射線教育フォーラムに話を戻すと、(1)の討論では福島の中学校の先生、鳥取県の先生や福井県の先生が報告者として、実践例の報告を行っていた。
 (2)は福島事故での廃炉を踏まえた東大他の数大学及び数機関連携の人材育成という目的である。
 (3)は高専の放射線教育や東京の戸山高校のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)での放射線教育について知りたいと思ったのである。

 これらのすべてについて書くのは大変なので、思いつくままに記憶に残ったことを以下に書いておく。

 (1)では郡山の中学での授業で霧箱を取り上げていた。霧箱は放射線(アルファ線)の飛んだ跡が白い線のように目視できるものである。飛行機が飛んだ跡に白い線のような雲が空に見えるのと同じ現象である。私は高校の時に物理同好会でこの霧箱実験を行った経験がある。
 目に見えない放射線の可視化という視点でおもしろい実験と思う。また生徒に関心を持たせる格好の材料であろう。
 また、六ヶ所村の再処理工場のPRセンターの見学とかも行ったらしい。福島原発事故の当該県ということもあり、他の県に比べて豊富な取組資料が用意されていた。
 鳥取県の中学では三朝温泉が近いので、温泉での放射線測定等地の利を活かした実践例が報告されていた。
 福井県は原発が全国で最も多いので、教育実践も「もんじゅ」や福井県立病院の陽子線治療施設等外部の機関との連携を図っているようであった。

 討論では放射線に関する知識をどのように教えたらよいか、手探り状態らしかった。
 一つの取っ掛かりとして風評被害があり、この風評被害を出発点として放射線に関する知識を教えることを私から提案した。

 (2)のセミナーでは、東大を軸として、東北大、京大、九大、会津大学、福島高専、富山高専、アトックス(会社)、原子力機構の連携を模索しているようであった。
 福島原発事故での廃炉をロボット等を使い、処理していくようである。
 私は各大学で福島原発の模型等を使って講義してはどうかと提案したが、費用が高いので、3次元モデルのソフト等を活用したい、とのことであった。
 防災においてロボット競技会等を開催しているようで、これらのように若者に面白いと思わせるようにものを活用すべきと思った。
 また、ロボット操作を、例えばソニーのプレステのリモコンのような若者が慣れた様式で統一した操作機器はどうかと聞いたら、そのようなことがこれから先に必要であろう、とのことであった。
 レーザー技術については、かなり実用的な応用も図られているようであった。レーザー除染等も利用されているらしかった。
 私は福島原発で発生し、今なおタンクで数10万トンものトリチウム水が保管されているが、これらのトリチウム水にレーザー照射してその蒸発速度の違いを利用しての分離は考えられないか聞いたが、レーザー分離は効率が悪いから、おそらく無理であろう、とのことだった。
 また、トリチウムに中性子を照射する件も聞いてみたが、会場にいた東大の先生がおそらく何の反応も起きないだろうとのことだった。
 これは実験をやってみたことがあるのか、それとも単なる推測か聞いてみたかったが、時間がなかった。
 アトックスという放射線管理を行う民間会社は福島原発事故の現場にも入っている、業界内では割りによく知られている会社である。
 廃炉に関して、東電・福島系のBWRと関電美浜系のPWRでの廃炉による違いを聞いてみたが、データを持っていないようであった。

 パネル討論では会津大学の成瀬氏がここに来ている人はそれなりに関心を持っているのであろうが、参加していない学生にどうやって面白さを伝えるか、と指摘していたのを覚えている。

 (3)のフォーラムでは田中氏が放射線教育全般の概要とキーポイントを話された。
 私は一般大衆に向けては、例えばNHKの土曜お昼の「生活笑百科」のように、原子力を漫才や落語で関心を持たせる取組はどうか、と提案した。
 会場にいた加藤フォーラム理事長が、面白い考え方、と評価してくれたが、ではどのように、との議論はなかった。吉本興業あたりでやってくれないか、と半分冗談めいて言ってはいたが。
 富山高専の高田氏が高専での放射線教育について説明した。高専では原子力の名のついた学科はないので電気・電子のようなカリキュラムの中で関連して行うらしかった。
 NaI(Tl)検出器によるサーベイメータ教育をしている、とのことなので、全国の温泉の測定をやってはどうか、と提案した。
 また、私は大学で自分の身体をWBC(ホールボディカウンタ:身体の中の放射能を核種毎に測定する)で測定し、自分の身体の中にセシウムとカリウムの放射能があると聞いてびっくりした覚えがあるので、全国の原発に付属したWBCを用いて学生にWBC測定してみてはどうか、と提案した。
 高専ではNHK等でロボットコンテストを放映しているようにロボットのメカに詳しい気がしている。福島原発事故で使われているロボット等の操作等の教育があると、将来高専の卒業生が全国の原発に従事するようになれば、原発事故等のロボット操作等に役立つと提案した。
 また、福島では今、公共交通を利用したKURAMAシステムで放射能の空間線量をオンラインで見られるシステムが稼動しているが、これを全国の原発のある県の高専でKURAMAシステムを活用できれば、原発の再稼動等での安全対策にもなる、と提案したが、どれだけ理解されたか不明である。
 東京の戸山高校でのSSHでは都心での飛行機の利用やソーラークッカー等課題設定型研究が行われて非常に面白いと思った。
 しかし、これらを指導できる先生がいるのか、と思ったが、戸山高校のOBでは科学の権威となるような人もたくさんいるらしく、そういう人たちのアドバイスを受けながらの研究実施のようであった。

 総合討論では、風評被害対策として、セシウムとセシウム以外に分けた説明、また研究者や技術者の奥さんや子どもに向けての説明をしてみると、風評被害の実態に迫れる、と主張したが、やはりみんな自分の家族のことになると口が重くなるらしかった。

 今まで、放射線教育という観点にはあまり重きをおいて来なかった。しかし、自分の考え方の後継者探し、という観点から、こうした放射線教育関係のフォーラム等には今後も参加していきたいと思う。


A 公開パネル討論「今やる、放射線教育Ⅱ」―支援ネットワーク構築へ向けて―
 1.主催者:NPO法人 放射線教育フォーラム
 2.日時:2014年11月16日(日)13:00~17:00
 3.会場:東京慈恵会医科大学高木2号館南講堂(西新橋)
 4.プログラム
  (1) 開会挨拶
  (2)「郡山市における放射線遮蔽効果の授業の取り組み」児玉剛明先生
  (3)「三朝温泉水を用いた放射線教育の実践事例」嶋田武弘先生
  (4)「大学・企業等との連携による放射線教育―放射線利用の授業実践―」小鍛治優先生(福井県)
  (5)「中学校理科における放射線を扱う学習機会の可能性に関する検討」佐々木敏紘先生(宮城県)
  (6)「授業の実践と今後の可能性―中学校理科における放射線の学習を通して―」佐藤深先生(北海道)
  (7) 講演「生活に根ざした放射線教育の出発点は?」小林泰彦氏(原子力機構)
  (8) パネル討論 実践報告者、講演者及び会場からの発言者を交えてパネル討論
    コーディネータ:高畠勇二先生(エネルギー・環境理科教育推進研究所)
  (9)閉会
   (詳細は右記のURL参照 http://www.ref.or.jp/report.html)

B.廃止措置等基盤研究・人材育成プログラム 第1回東京大学人材育成セミナー
 1.主催者:東京大学
 2.日時:2014年12月11日(木) 13:00~17:00
 3.場所:東京大学本郷キャンパス工学部2号館212号室
 4.プログラム
  (1)開会挨拶 西田 亮三(文部科学省)
  (2) 福島第一原子力発電所事故と本プログラムの目指すもの 岡本 孝司(東京大学)
  (3) 廃止措置における遠隔操作 淺間 一(東京大学)
  (4) 廃止措置における核種分析 高橋 浩之(東京大学)
  (5) 遠隔マニピュレーションシステムの設計・評価に関する基盤的研究 横小路 泰義(神戸大学)
  (6) 福島第一原子力発電所廃炉にむけたレーザー技術の開発 大道 博行(原子力機構)
  (7) 事故廃棄物の処理処分に向けた放射能分析 亀尾 裕(原子力機構)
  (8) 福島第一原子力発電所の廃炉へ向けた取組みと現場課題 天内 真(アトックス)
  (9) ディスカッション 司会:岡本 孝司(東京大学)
    パネリスト:天内真(アトックス)、大野和則(東北大学)、亀尾裕(原子力機構)、高田英治(富山高専)、成瀬 
    継太郎(会津大学)、松野文俊(京都大学)
  (10)閉会挨拶 岡本 孝司(東京大学)
    (詳細は右記のURL参照 http://www.robot.t.u-tokyo.ac.jp/decommissioning/)

C:放射線教育の現状と今後のあり方について
 1.主催者:放射線安全フォーラム
 2.日時2014年12月13日(土) 13:30~17:30
 3.場所:千代田御茶ノ水ビル 
 4.プログラム
  (1)「放射線教育フォーラムにおける活動と今後の計画」田中隆一(放射線教育フォーラム)
  (2) 国立高専における放射線教育について 高田英治(富山高専)
  (3) 高校における物理学教育・SSH・放射線教育の現状 小林一人(東京都立戸山高校)
  (4) 大学における震災直後の状況と現状をふまえて 高橋 浩之(東京大学・教授)
  (5) 総合討論
    (詳細は右記URLを参照  http://www.rsf.or.jp/events.html)

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