将棋タイトル戦雑感

 第23期竜王戦のその後やその他のタイトル戦について書いてみる。

 前回のブログでは渡辺竜王の3勝2敗となり、防衛に王手がかかった局面で終了していた。

 第6局は羽生名人の先手で、また角替り腰掛け銀となった。しかし、仕掛けのタイミングが難しかったようで、羽生名人が2筋の飛車を上下させ、その間に渡辺竜王は43金を42金と引き、43金と上がったり、52金と横に移動したりと千日手模様から突如羽生名人が45歩と突き、開戦した。
 開戦後に羽生名人が早々と46角と打って渡辺竜王の8筋の飛車を圧迫するような展開となったが、渡辺竜王は9筋からスズメ指しを狙う展開である。64角と渡辺竜王が打ち、9筋を制圧した。
 その間に羽生名人は1筋、2筋の歩を突き捨て、銀を繰り出す展開で模様の難しい将棋となった。銀交換した後に一転して83銀と飛車、角を攻めに行った。
 局面全体を眺めるという羽生名人らしい手である。この手に対して、渡辺竜王はてっきり9筋のラインの影響力を残して銀取りに93飛といくと思ったが、5筋に飛車を逃げた。
 9筋の攻撃が弱くなるので、この手はどうかと思ったが、渡辺竜王の大局観では飛車の横利きを残しておかないと勝てないというもので、後の展開を見ると、結局その通りになった。
 2筋からの羽生名人の飛車の殺到に対して強く金を出る、桂が飛んでくると歩の餌食にして、香との交換も拒否した玉での応接は力強さを感じさせた。
 2筋を金と玉と桂で勢力を盛り返し、9筋に隠居していた観のある角が、実は飛車の動きを牽制し、最後に55の天王山に勇躍出てきて詰めの主役に躍り出てきたのにはびっくりした。
 結局、飛車の横利きがよく利いていて渡辺竜王の玉は詰まず、羽生玉は即詰めとなり、渡辺竜王が4勝2敗で勝ち、防衛となった。
 羽生マジックといえるものは出なかったが、渡辺竜王は羽生マジックを出す目を摘んでいくスタイルと見え、新しい時代の旗手といえる風格を出しているような気がする。

 今年になって、王将戦と棋王戦が相次いで行われていて面白い将棋が出ている。

 第60期王将戦は久保利明王将に豊島将之六段が挑戦している。豊島六段って何者、と思った。20歳で挑戦者になるのは結構すごいことである。
 王将戦リーグで羽生名人、佐藤康光九段、森内九段といったところを連破しているところからすごい新人が出てきたという印象である。
 迎え撃つ久保王将は先手なら三間飛車の石田流、後手ならゴキゲン中飛車を採用するパターンである。

 第1局は久保王将が後手なので、ゴキゲン中飛車である。9筋から角交換後に9筋の香車を入手して8筋を香車と角の数の攻めで突破し、先勝した。

 第2局は久保王将が先手でもゴキゲン中飛車を採用していてびっくりした。その後久保王将は穴熊にしたが、端攻めと中央の複合の攻めが見事に決まり、豊島六段が勝った。
 タイトル戦で初めての勝利らしいのでうれしいであろう。

 第3局は豊島六段先手で、久保王将はまたゴキゲン中飛車を採用した。角交換してまた再度角交換等華々しい展開となった。
 その後馬を作り合って攻め合いとなったが、久保王将の攻めが勝って久保王将の2勝1敗となった。

 第4局は久保王将先手で三間飛車の石田流を採用した。またもや角交換し、その後飛車角交換となり、またもや乱戦となった。攻め合いとなってはこうした乱戦に一日の長のある久保王将が制して3勝1敗となった。
 3月に決着がつく予定らしい。
 豊島六段はみた感じでは重厚な棋風らしいが、久保王将の乱戦ペースに巻き込まれている感がある。慣れてくれば自分の重厚な土俵でいい対戦になりそうに思うがどうだろうか。

 第36期棋王戦は久保利明棋王に渡辺明竜王が挑戦する今までにない対戦である。
 第1局は久保棋王先手で三間飛車の石田流を採用した展開である。いきなり角替りとなって乱戦の予感がある。再度角替りとなり、久保王将が馬を先に作り、生角の渡辺王将をリードした。その後、久保棋王が飛車を角と交換して2枚角で攻めた。久保の2枚角と渡辺竜王の2枚飛車の戦いとなったが、渡辺竜王の飛車1枚は自陣のままで守備にもあまり利かず終了したので、その大ゴマの働きの差で久保棋王が押し切った。

 第2局は渡辺竜王の先手なので、久保王将はゴキゲン中飛車であった。乱戦で序盤から21飛車成りと88角成りという展開である。
 1手の緩手が即敗着となる空中戦である。55桂、33角等華々しい手が続く。見ている分にはワクワクするが、こういうタイトル戦でこういう空中戦が出てくるというのも時代の変化を象徴するものであろうか。
 渡辺竜王の玉は終盤まで居玉のままであり、また6筋の攻防が数の攻めのようなところもあり、どっちが勝っているのかわからない勝負が続き、終盤で渡辺竜王が久保棋王の飛車と玉の田楽刺しで飛車を取り、やっと渡辺竜王の勝ちが見えた状況である。これで1勝1敗となった。

 久保王将の将棋は最近過激になっている印象がある。もともと捌きのアーティストとして定評があったが、ここ数年のタイトル戦でゴキゲン中飛車と7間飛車石田流の戦法を使いだしてから過激さが増しているようである。
 タイトル戦で相矢倉等の重厚な戦いもいいが、こうした華々しい空中戦もまた面白いかもしれない。

 空中戦も少し勉強しておこうかという思いが少し出てきている。


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