一つの石のブログ−科学と将棋と教育を好む人へ

アクセスカウンタ

zoom RSS 原子力学会誌2009年10月号の私的解説−核兵器誘爆装置の考え方はいかが

<<   作成日時 : 2010/02/21 03:59   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 原子力学会誌の2009年10月号の私的な解説をしてみる。

 一番下に目次を載せておくので興味があれば参照してください。

 まず巻頭言であるが、「マニフェストと起請文」同志社大学大学院教授 浜矩子氏、とある。
 浜矩子氏の名前をどこかで聞いたことがあると思ったら、毎日新聞の日曜版にエッセイを載せている人であった。経済通であると思ったが、学会誌の巻頭言とは多少違和感がある。
 マニフェストは民主党の政権奪取と共に一気に有名になったもので政権公約といっていいであろうか。これと起請文とを同列に扱うべきでないとしている。
 起請文も最初の頃は神仏に誓う約束事で神聖なものであったのが、時代とともに価値が下がったのである。ひょっとしたら、マニフェストもそうならないとはいえないかもしれない。

 時論「日本社会と核セキュリティ−原子力の国際展開の中でのセキュリティ認識」(独)原子力安全基盤機構 中込良廣氏、とある。
 セキュリティについては日本人は鈍感とよく言われる。東京駅で行列に並んでいる時、荷物を置いたままでしばらく離れてもその荷物が盗まれるということを日本人は思わない。日本では物を盗むのを悪とする文化があるおかげであろう。でも世界はそうではない。
 核に関する問題はかつて核兵器への転用、ということで核燃料の盗難ということが主であった。最近はそれにRIテロ(放射性物質<RI>のばらまき)が加わった。物騒な世の中であるが、これが世界の現実であろう。

 解説「核拡散をめぐる国際政治−インド、パキスタンの核兵器開発を中心に」原子力委員会 広瀬崇子氏、とある。
 インドとパキスタンは政治的な思惑から核兵器を開発した。今また、イランも同様の事情で核兵器を開発しようとしているように見える。これらの国にとって核兵器はハリネズミ理論のごとく、自分の国の存亡をかけて突き進むので核抑止を訴えても抑止にならない。
 一番の核抑止は核兵器誘爆機構のある装置を開発して国連あたりで管理することではないか。要するに核兵器を持てば持つほど自国の危険性が増加することではないかと思う。

 講演「立地町の一住民としての思い−原子力発電所とともに歩む 『原子力総合シンポジウム2009』に参加して」高浜女性ネットワーク会長/関西原子力懇談会原子力広報女性アドバイザー代表 江上博子氏、とある。
 長いタイトルである。立地住民として、国に対して座談会等を、マスコミに対して、原子力報道をされる時、専門の先生の意見を取り上げて欲しい、学者へは事故の時に安全性の発信を行って欲しい、等の要望があった。
 専門の先生がいうと専門用語の羅列で何を言っているのかわからない可能性が大きい。専門家が素人向けに話す技術を磨かないといけないであろう。磨く場がないのが問題かもしれない。ニュースキャスタとかゲストに呼ばれる人が多くなるといいのではないか。

 報告「企業における女性のキャリアの磨き方−ダイバシティ連携のための講演会」原子力学会 男女共同参画委員会 笹尾真美子氏、とある。
 ダイバシティとは聞き慣れない言葉であるが、ネットで見るとどうも「多様性」のことらしい。東芝の土井美和子氏を迎えて春の学会で講演したらしい。
 でもその中で女性のキャリアとしての苦労が見つからない。二児の母とのことであるが、保育園や子どもの病気にどう対応したか、等が見えてこない。こうしたことが障害となってやめていく女性技術者は多いと思われるが、そうしたことはどうだったのか。親の助けが借りられる環境にあったとすれば、田舎出身であって家族を持つ女性技術者にとって参考にならない。
 男女共同参画ということであれば、少子化社会問題と連動して保育園や子どもの病気預け入れ施設を原子力業界として自前で持つ、等の議論をして欲しいと思う。

 NEWSでは、浜岡原発4,5号機が地震により自動停止した、とあった。2009年8月11日に駿河湾周辺でマグニチュード6.5、震度6弱の地震があり、これに対して上記原発が安全に停止したらしい。中部電力ホームページ(HP)を見るともう少し詳しく載っていた。
 しかし、このNEWSでも震度くらい示して欲しい。
 他には新潟県の技術委が柏崎刈羽原発6号機の起動試験を了承したことが載っていた。
 また、中国電力の島根3号機(ABWR:改良型BWR137万kW)の原子炉圧力容器が据付された、とのこと。2011年12月営業運転予定らしい。
 
 ジャーナリストの視点「科学技術を見据えた平和構築−永井隆博士の願いがオバマ演説に」科学ジャーナリスト 佐藤年緒氏、とある。
 オバマ大統領の核兵器を使用した唯一の保有国としての道義的な責任に触れたことは私にとって強烈なメッセージだった。アメリカは核兵器使用の正当性のみ主張してきた感があるのに、このメッセージである。
 このメッセージと思いを同じくする永井隆博士がいたことを記憶しておきたいと思う。

 定点“感”測「原子力の“グローカル”展開」敦賀市 秋田晶氏、とある。福井県若狭地区には14基の原発がある、とのこと。美浜3基、高浜4基、大飯4基、敦賀2基と「もんじゅ」と「ふげん」であろうか。あれ、15基かなあ。「ふげん」は廃止措置だから数に入れてないかなあ。
 その若狭地区を将来の廃炉とかいうマイナスのイメージからエネルギー拠点構想にプラスの発想に転換するというものである。
 NASAのケープカナベラルに行った時の見学料を取られたことをヒントに若狭地区も見学料を取る?まさか、ね。発想の転換の例らしい。

 新・不定期連載 未来型リーダーシップを拓くA「学生団体STEP」 東京大学 大中温氏、とある。
 「Sustainability of Energy」の社会を目指すらしい。直訳すると「エネルギーの持続性維持」となる。東大を主体とした阪大、九大、同志社、早大の学生の連合体らしい。
 今から、こうした組織的な活動を行うことはすばらしいことであり、このSTEP運動がsustainabilityであることを願っている。

 今月号は核セキュリティが印象に残った。日本人にとって難しい問題である。性善説の文化を培ってきた日本人にとって性悪説を取る世界の常識的な考え方はよく理解できないのであろう。
 核セキュリティに関連して、核開発に関連した世界の動きがある。インドやパキスタンの例や最近のイランや北朝鮮の動き等多少不穏な動きの大元に、国の存亡をかけた危機感があるので、この危機感を払拭する考え方が必要である。
 現在は経済制裁等の強行路線が主流であるが、これは従来から核兵器を持っている国(米、露、英、仏、中)の状況を肯定した上での方法なので効果があがりにくいであろう。
 核兵器誘爆装置のような考え方は核兵器を持っている国すべてに網をかける点で核の平和活動の観点から好ましい考え方であろう。技術的に可能かどうかは少し疑問符がつくが。

へたな原子力川柳でも作ってみるか。
・マニフェスト、時代とともに擦り切れる?
・核拡散、防ぐ誘爆装置かな
・専門家は文語体より口語体
・少子化が原子力村にも忍び寄る
・温暖化、核のゴミとの悪比べ

<2009年10月号目次>
1.巻頭言「マニフェストと起請文」同志社大学大学院教授 浜矩子氏
2.時論@「日本社会と核セキュリティ−原子力の国際展開の中でのセキュリティ認識」(独)原子力安全基盤機構 中込良廣氏
時論A「原子力の岐路、私の岐路」文部科学省 原子力計画課長 田口康氏
3.シリーズ解説 我が国の最先端原子力研究開発 電中研 NO.13 「配管の健全性確保と合理的な保守管理を目指して−配管減肉現象のメカニズム解明と予測手法の確立」電中研 米田公俊氏他
4.解説@「核拡散をめぐる国際政治−インド、パキスタンの核兵器開発を中心に」原子力委員会 広瀬崇子氏
解説A「核融合関連核データの現状と将来展望−フェムトスケールの物理が支える核融合炉開発」原子力学会 核データ部会  
解説B「原子力施設の安全性および信頼に関わる課題と技術マップの構築」且ミ会安全研究所 首藤由紀氏他
5.講演「立地町の一住民としての思い−原子力発電所とともに歩む 『原子力総合シンポジウム2009』に参加して」高浜女性ネットワーク会長/関西原子力懇談会原子力広報女性アドバイザー代表 江上博子氏
6.報告「企業における女性のキャリアの磨き方−ダイバシティ連携のための講演会」原子力学会 男女共同参画委員会 笹尾真美子氏
7.連載講座 21世紀の原子力発電所廃止措置の技術動向(3)「廃止措置技術−コンクリート解体/はつりの技術動向」大成建設梶@伊東章氏他
8.連載講座 軽水炉プラントの水化学(8)「実機での水化学(2)−構造材料と水の相互作用」 原子力機構 塚田隆氏
9.私の主張「数学・計算法および炉物理の進歩M&C09に参加して」京都大学名誉教授 小林啓すけ(示編に右と書く)氏
8.談話室「原子力分野における『技術者倫理』と『安全文化』−最近の2つの講演から学ぶこと」技術士 桑江良明氏
9.NEWS 
10.ジャーナリストの視点「科学技術を見据えた平和構築−永井隆博士の願いがオバマ演説に」科学ジャーナリスト  佐藤年緒氏
11.定点“感”測「原子力の“グローカル”展開」敦賀市 秋田晶氏
12.新・不定期連載 未来型リーダーシップを拓くA「学生団体STEP」東京大学工学部 大中温氏
その他

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
原子力学会誌2009年10月号の私的解説−核兵器誘爆装置の考え方はいかが 一つの石のブログ−科学と将棋と教育を好む人へ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる