原子力学会誌3月号の私的解説ー核変換技術の状況

  原子力学会誌の2008年3月号がきていたので、私的な解説をしてみる。

  目次の前にCMのページが記事みたいである。「三菱重工のUS-APWR、米国NRCにてDC審査開始、日本メーカー単独で初」とある。三菱重工は思い切ったCMを出したものである。
下の解説に、三菱重工が米国で進めていた改良型加圧水型軽水炉(APWR)についての米国原子力規制委員会(NRC)の型式証明(DC)の審査開始とある。
もう少し解説すると、もともとのPWRを改良して米国で大量販売しやすいように改良した原子炉で米国の規制機関に審査して合格すれば、米国での大量生産が可能になるという野心的な試みである。去年の12月での情勢らしい。

  目次を見る。核廃絶に真剣に取り組もう-パグウォッシュ会議評議員に就任して思うこと、とある。原子力に関わるものの基本的なスタンスである。見てみる。放射性廃棄物の分離変換技術はどこまで期待できるか?-「分離変換サイクル」研究専門委員会活動報告に代えて、とある。基礎研究は終了するらしいが、目ぼしい成果もないから終わるかも。でもまあ見てみる。私はこれが最も大事な研究と認識しているから。原子力立国にふさわしい原子力法制を-原子炉等規制法の問題点、とある。規制法とは原子力の法律のバイブルのはずだが、何を書いてあったか思い出せない。見てみるか。他はあまり大した記事ではないなあ。

   巻頭言は評論家の竹村健一氏である。毒舌であるが、わかりやすい言葉使いは有名だが、このタイトルは意表をついている。当たり前なことなんだけど一般人にはちょっとどきっとするのかも。「あんたも放射線だしてるんですよ」 説明すると飲食物と一緒に身体に入った放射性物質が線源なのである。天然のカリウムに微量含まれている放射性物質や原爆実験の後遺症ともいえるセシウムやストロンチウム、家の壁の中にあるラドンを肺に吸い込んでる、とかいろいろあるのだが、確かに一般の人に説明した人はいないかもしれない。でも原発の出す放射線は弱い、として、だから原子力という論法は少し無茶である。やはり素人と言わざるを得ない。
   放射性ガスや放射性廃液は規制濃度以下とはいえ、出しているし、原発で使用済みの燃料は莫大な放射能の塊として残り、再処理すると高レベル廃液や高レベル廃棄物は出るので、やはり原子力は基本的に放射能をガバガバ出すという認識が必要なのである。それでもなおかつ進めるんですか、という問いかけこそが必要なのである。
   こうした認識が不足している評論家に原発賛成と言われてもうれしくもない。
 

   パグウォッシュ会議評議員として、東大の鈴木達治郎教授がなったらしい。パグウォッシュ会議の原点は1955年のラッセル・アインシュタイン宣言に遡るらしい。2007年で50周年らしいが、その業績はよくわからない。各国の核戦略に影響があったらしいが、少なくとも核兵器の爆発抑止機器とか自爆誘発機器の開発とかは聞いたことがない。
   今後も活動するようであるが、理念だけでは世界は動かないことは歴史が証明している。科学者がリードする会議であるなら、こうした具体的な機器開発とかにも注力するべきではないか。

   ニュースでは「東電,柏崎刈羽原発の1・7号機の設備点検計画書をまとめる」とあった。あれ、中越沖地震の時何号機が動いていたんだっけ。昨年の10月の原子力学会誌で以下の記述があった。『(学会誌報告)東電より説明があり、「止める」、「冷やす」、「閉じ込める」は機能した、とのこと。「止める」、とは原発を安全に停止すること。地震発生当時運転していた2,3,4,7号機は全制御棒が挿入されてスクラム(緊急停止)したらしい。』
そうすると、1,5,6号機は止まっていたのか。通常考えれば1号機と7号機は損傷が少ないから、早く動かせると見える。でも1号機はともかく7号機は動いていたのに大丈夫か、と思える。まあ、進展に注目したい。

   「最終処分地における参加型意志決定」とある。この前の高知県の1町村が最終候補地として名乗りを上げ、選挙で負けて取り下げた最終処分地に関するものである。処分地は国際的な問題となっているので、各国のお知恵拝借というところだろう。原発推進には必ずもれなくこの高レベル廃棄物または使用済み燃料処理がついてくるということを忘れて欲しくはない。

   放射性廃棄物の分離変換技術はどこまで期待できるか?-「分離変換サイクル」研究専門委員会活動報告に代えて、とある。
   基礎研究終了するらしい。超寿命の核種の分離変換を研究したオメガ計画を記憶している。でも基本的なところで道が間違っていると思っている。中性子、ガンマ線や加速器で加速した荷電粒子を使う消滅法では必ず副次生成物が発生して、だめなことは最初から予想できる。それを上回る方法でなければ、実用化は難しいだろう。
   私は別の方法を検討している。今現在まだ検討中であり、私の寿命のあるうちに可能かどうか微妙になってきたので、もし私の代でできないようであれば、学会あたりに私の方法の提案(ただし間違っているかもしれない可能性はある。)を遺言替りに残しておきたいとは思う。この報告では一応継続とはなっているが、成果が乏しいとやめろ、という意見が出てくることもあるであろう。

   原子力立国にふさわしい原子力法制を-原子炉等規制法の問題点、とある。
   原子炉等規制法ってなんだったっけ?ああ、少し思い出した。そうだ。原発事業者や再処理事業者や燃料加工事業者等が国に事業申請を出して、それを国が審査して許可を出す。また、事業の実施における種々の国の施設検査を受けることで国と事業者が一体となって事業を進めていくのだった。
   でも最近は燃料サイクル事業や国際的な原子力の広がり、事業者のデータ改ざん、高経年化した原発の取扱い等の問題に個別に対応するのが難しくなってきたのだ。それで法律の改正をするのに、骨組を根本から変える方法と部分的なつぎはぎでするかという検討である。
   別に結論というわけでなく、両者の比較検討をしただけらしい。中越沖地震等の件も踏まえた検討が必要であるが、オープンな環境で議論を積み重ねて迅速に回答を出せるようにして欲しい、と思う。

   今月号は結構話題性のあるテーマが多かった。でも一番注目すべきは核変換であろう。ベースにあるべき考え方は放射能の生成と消滅の人為的なコントロールであり、これを目指すことは科学者であれば当たり前のことであるが、最近はこうした考え方が少なくなっているようである。考えてもみて欲しい。300年または1000年放射能が減衰するまでこの処分容器を保管しておいてください、それは私たちが便利さのつけで残してしまったやっかいなゴミなんです、とあなた方の子孫に言えるかどうか。
   彼らは言うに決まっている。自分たちの代で出したゴミは自分たちで解決すべきです、と。少なくともそうした努力は続けなければいけない。それが原子力を推進してきた私たちの世代の最低限の責任、と私は思う。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

2008年04月12日 07:58
はじめまして[#^∇^#]
訪問ありがとうございます♪”

腰痛の。。。読ませてもらいました!
重い物を持つのに、しゃがんでから等々、
知らない事ばかりだったので、実行してみようと
思います(*・∀-)~☆

全然、運動もしていないので、
腹筋や背筋も、少しでいいような事が書いてあったので、
プーにも出来そうなので(汗)
毎日、頑張ってしてみます!

花粉症、プーは毎年です。。。
初めてなられたみたいですが、
花粉症は嫌ですよねぇ(T_T;)
プーは、慢性鼻炎+花粉症です★” 最悪。。。

また遊びに来てくださ~い!
プーも、また来ます(^O^)/

この記事へのトラックバック