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zoom RSS  将棋・名人戦順位戦&タイトル戦等

<<   作成日時 : 2018/04/29 16:36   >>

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 今年3月2日に名人戦順位戦A級の最終局が一斉に行われた。

 今年の順位戦A級は変則的で、普通10人で対戦となるが、昨年に三浦弘行九段のAI疑惑問題で三浦九段を含め、11人での対戦となった。

 最終局直前まで、久保利明王将と豊島将之八段が6勝3敗でトップを走り、5勝4敗が佐藤康光九段、広瀬章人八段、稲葉陽八段の3人であった。
 羽生善治竜王は既に対局を終了して、6勝4敗で最終局は休みであった。

 最終局で、久保王将か豊島八段が勝てばその時点で名人戦挑戦者は決定、二人が勝てば、二人のプレーオフのはずであった。
 しかし、最終局は久保、豊島両人が敗れ、5勝3敗の3人が共に勝ち、羽生竜王を含めた6人が6勝4敗で並ぶという前代未聞の事態となったのである。

 本来ならトーナメント形式が妥当であろうが、名人戦順位戦の場合特別なルールが採用される。
 順位下位の二人が対戦して勝ったものがその上位の人と対戦するというパラマス方式となる。
 だから、今回の例でいえば、昨年の成績から順位は1位稲葉八段、2位羽生竜王、3位渡辺棋王、4位広瀬八段、5位行方八段、6位屋敷九段、7位深浦九段、8位佐藤康九段、9位久保王将、10位豊島八段、11位三浦九段であったので、9位久保と10位豊島の対戦が最初となる。(下の方の表1参照)
 勝った人が次に8位佐藤康九段、そこで勝った人が4位稲葉八段と、そこで勝った人が2位羽生竜王と、そこで勝った人が1位稲葉八段と戦うことになる。
 立場からいえば稲葉八段が一番有利である。

 結果としては羽生竜王が勝ち抜いて挑戦者となっている。

 ここからは順位戦最終局を順に、またプレーオフを順に、また名人戦第2局までを簡単に見てみる。

 ここで、毎日新聞に掲載されていた順位戦順位を挙げておく。
 毎日新聞には名人戦順位戦のこの辺りの棋譜はすべて見られるようになっている。
 会員制なので、普通は見られないようであるが、私は毎日新聞購読者で会員登録をしているので、これらの棋譜は棋譜再現ビデオで画面上で見られるのである。

画像

          表1 名人戦順位戦順位

 最終局は終了の早い順に取り上げる。

 (1)広瀬八段vs豊島八段 22時18分 93手で広瀬勝ち
 (2)稲葉八段vs行方八段 23時22分 91手で稲葉勝ち
 (3)佐藤康九段vs屋敷九段 23時40分 103手で佐藤康九段勝ち
 (4)三浦九段vs渡辺九段 0時5分 147手で三浦勝ち
 (5)深浦九段vs久保王将 0時15分 146手で深浦勝ち

 まず最初に(1)広瀬八段vs豊島八段の対戦を見てみる。
 先手広瀬の誘導で横歩取りになった。
 定石通りの戦いから2筋、3筋の位取りとなり、途中豊島八段の角切りが少し疑問の手だったかもしれない。
 これから形勢は少しずつ先手がよくなり、最後は角のただ捨てから即詰みで先手の広瀬八段が勝った。
 この時点で、久保王将の勝ち負けによる結果を待つこととなった。

 次に(2)稲葉八段vs行方八段の対戦を見る。
 先手稲葉八段は角換わりになるように誘導したが、行方八段は拒否した。
 ここから先手は棒銀に作戦変更し、後手は飛車のラインで角交換した。先手は棒銀では失敗したが、玉を固めて、一気に後手の行方玉に迫り、玉の守りの薄いところを攻めて勝った。
 この時点でもし、久保が負ければ稲葉八段もプレーオフの可能性が出てきた。

 次に(3)佐藤康九段vs屋敷九段の対戦を見る。
 先手佐藤康九段は形に囚われない指し手で、いきなり角交換を行った。
 次に8筋に飛車を振り、向かい飛車の作戦を取った。
 お互いに右方面に美濃囲い風に玉を囲ったが、その次に佐藤康九段が79金と寄った手が意表を突いた手で、飛車交換後の89飛を防ぐ用意周到な手だったようである。
 その後に玉頭で細かな戦いが続いたが、佐藤康九段が押し切った。
 この時点で、久保王将が負けると、6人によるプレーオフ、久保王将が勝つと久保王将が挑戦ということになった。

 次に(4)三浦九段vs渡辺九段の対戦を見る。
 この対戦はプレーオフには関係ないが、負けた方がA級陥落の可能性が高くなる。
 三浦九段が負けるとほぼ陥落、三浦九段が勝つと、深浦九段が勝てば、渡辺棋王陥落となる。
 先手三浦九段が角換わりに誘導して、渡辺棋王は腰掛け銀模様にしたが、三浦九段は矢倉・棒銀模様にした。
 その後、渡辺棋王は雁木囲いから穴熊への組替えを図ったが、この構想が裏目に出て、後手玉の周りでの一進一退の攻防が続き、最後は三浦九段が勝った。
 この時点で三浦九段は残留、渡辺棋王は深浦九段の勝ちで陥落となることになった。

 最後に(5)深浦九段vs久保王将の対戦を見る。
 先手久保王将はいきなり1手目で78飛と飛車を振った。その後は普通に駒組が進み、先手美濃囲い、後手が舟囲い風になり、場合によっては穴熊かという気配であったが、結局左美濃に組んだ。
 両者の激しい攻防が続いたが、最後に後手・深浦が先手・久保玉を即詰みに打ち取った。

 この瞬間に史上初の6者プレーオフ、渡辺棋王、行方八段、屋敷九段の陥落が確定した。

 ここからはプレーオフの順に見ていく。

 (6)久保王将vs豊島八段(豊島勝ち)  (3/4)
 (7)佐藤康九段vs豊島八段(豊島勝ち)(3/10)
 (8)広瀬八段vs豊島八段(豊島勝ち) (3/12)
 (9)羽生竜王vs豊島八段(羽生勝ち) (3/18)
 (10)稲葉八段vs羽生竜王(羽生勝ち )(3/21)

 まず(6)久保王将vs豊島八段の対戦を見る。
 先手豊島八段は居飛車で舟囲い、後手久保は四間飛車・穴熊囲いとなった。
 後手が9筋の歩を伸ばしたが、逆にこの構想を豊島がとがめ、9筋の位を奪い返した。
 その後6筋の攻防から、99金と後手の放った手が勝負手であったが、豊島が柔軟な受けを見せ、途中千日手の気配もあったが、豊島が受け切った。

 次は(7)佐藤康九段vs豊島八段の対戦を見る。
 先手の豊島八段は普通に指そうとしていたのであろうが、佐藤康九段は4手目でもう角交換を行い、その後向かい飛車にした。
 どうも最近の佐藤康九段はこの指し方(角換わり後に向かい飛車)がお気に入りのようであるが、誰も真似しない、というかできないらしい。
 その後、先手は65角から角成、その後に馬切りから後手の角を取り、と乱戦模様になった。
 その後は飛車交換から、自陣飛車の打ち合い等の空中戦を先手の豊島八段が制した。

 (8)広瀬八段vs豊島八段の対戦を見てみる。
 三度先手の豊島八段は角換わり腰掛け銀から始まり、角の打ち合いから角交換と目まぐるしい戦いとなった。 またもや乱戦を制したのは豊島八段であった。

 (9)羽生竜王vs豊島八段の対戦を見てみる。
 四度先手となった豊島八段は横歩取りを採用した。
 共に1、2筋の攻防をしており、先手が角2枚で攻め、後手はと金攻めで果たしてこれで間に合うのかと思ったが、先手の攻めをきわどく凌いで、後手の羽生竜王が勝った。
 負けた豊島八段はここまで3/2の最終局から3/18のプレーオフ第4局までA級棋士4人としのぎを競うという局面を体験しており、相当疲労していたことが推定される。
 くじ引き方式のトーナメントにした方がいいような気がする。

 (10)稲葉八段vs羽生竜王の対戦を見てみる。
 先手の稲葉八段は相居飛車で相当細かい技を繰り出していくが、後手の羽生竜王が丁寧に応対し、途中のお互いの角打ちの位置によって優劣の差が付き、羽生竜王が寄せ切った。

 これでプレーオフは羽生竜王が勝ち抜き、佐藤天彦名人と名人戦七番勝負を行うことになった。

 羽生竜王は昨年末に渡辺竜王(当時)から竜王位を奪取し、これで叡王戦以外の七大タイトルのすべてで永世称号を名乗れることとなり、国民栄誉賞をもらったことは記憶に新しい。
 また、現在タイトル通算保持数が99個と100期にあと1と迫っている。
 何か弁慶が刀を999本奪って、千本目が牛若丸だったことに若干似ている気もする。
 千本目の牛若丸を佐藤天名人と見ると、取れないことにもなりそうである。

 さて二人の対局はこの時点(4/29)で、すでに2局終了して、1勝1敗である。
 これを
 (11)第1局(4/11-4/12)
 (12)第2局(4/19-4/20)
として以下に書く。

 (11)の第1局目を見てみる。
 先手は羽生竜王で、普通の横歩取りと思ったら、佐藤天名人がいきなり角を切った。
 その後に先手は飛車を成り込み、後手は角を再度切ったが、先手はこれを取らずに飛車を取りに行った。
 この後、先手は飛車2枚、後手は馬2枚という凄まじい乱打戦となった。
 最後の寄せは羽生竜王が1手早く寄せ切った。
 見ていてこんなにスリルのある名人戦は初めてのような気がする。
 まるで、佐藤康光九段と久保利明王将の乱打戦を見ているような1局であった。

 (12)の第2局を見てみる。
 先手の佐藤天彦名人は角換わり腰掛け銀模様であったが、後手の羽生竜王が腰掛け銀を指さなかった。
 両者ともに細かい技を繰り出していくが、優劣の差はつかず、一進一退の攻防であった。
 終盤で先手の角切りから2筋の飛車の突破が早く、羽生竜王の投了となった。

 第1局は乱打戦、第2局は細かい技の応酬とお互いの持ち味を発揮した戦いだったと思う。
 乱打戦になると、経験豊富な羽生竜王が有利であるが、佐藤天彦名人は緻密な読みで羽生マジックを封じ込めるという展開で今期もきわどい勝負になる予感がある。

 これからも将棋・名人戦に注目していきたいと思う。
 −以上−

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