一つの石のブログ−科学と将棋と教育を好む人へ

アクセスカウンタ

zoom RSS 福島原発事故の内部被ばくシンポに参加

<<   作成日時 : 2018/03/25 08:20   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 福島原発事故の内部被ばくシンポに参加した。

 今月の7日に原子力学会よりメールが届いた。
 福島原発事故の内部被ばくのシンポ(3/19(月)開催)であり、セシウム放射能のホットスポットともいうべきセシウムボールの研究発表ということなので、すぐに参加申込した。
 この他に3/20にも連動したシンポはあったが、そちらは欠席した。

 3月19日(月)は晴れていたと思う。ペットボトル500mLを購入して会場に行った。
 非会員なので4,000円を払ったら、資料一式とアンケート用紙をくれた。

 プログラム概要は末尾に添付する。

 (1)では「福島事故後の内部被ばく線量評価の現状」というタイトルで石川氏が講演した。
 石川氏は福島原発事故後の内部被ばく線量評価では累計30万人以上がホールボディカウンター(WBC)で検査してほとんどが1mSv未満で、1mSv以上は26名であり、これは2011年に検出されたもの、とのことだった。
 (ちなみに日本人は平均して年間に宇宙線や土中のラドン等で2.4mSvくらい通常に被ばくしており、50年生きていると100mSvを超えて、発がんの確率が0.1%増えるのであるが、この場合の1mSv前後は健康に影響はほとんどないレベルである。)
 また、事故後初期の空気中、食品中、飲料水中の濃度データは飲食物摂取制限が効いており、限定的であった、とのことだった。
 (広島・長崎の原爆、チェルノブイリ原発事故の後にはこの飲食物摂取制限がなかったために、健康に影響するような内部被ばくが多かったと私は推測している。福島ではこっそりイノシシ等を食べた人はいたらしいが、食物摂取制限が余計な内部被ばくを減らせた大きな原因であると考えている。チェルノブイリ原発事故と福島原発事故を対比して、チェルノブイリ原発事故での子どもの白血病等が福島でも起きるのではと心配しているような報道もあったが、福島ではそういう心配はほとんどないであろう。甲状腺に関しても、日本学術会議の2017年9月1日の福島の健康影響評価の論文をみれば、福島の甲状腺がんのレベルは全国と大差なく、新聞報道等では他の県より異常に多い、とのことであるが、他県では喉に異常がある子どもだけが受けての結果であるが、福島では全員対象としており、また、最新の高度な医療機器で従来発見されなかった初期のものまで発見できている結果であるとしている。もし、全国のすべての子どもに福島で使用された最新機器を用いて甲状腺検査をすれば同一レベルであることがわかると思われる。)
 体内に取り込まれたセシウムがもし肺等にあれば、対外排出による減衰(生物学的半減期は大人で約100日)より多いと推定されるが、最初の800日間の平均が116日とほぼ生物学的半減期と同じなので、セシウムは血流等の新陳代謝で排出され、ごく一部の人は肺にセシウムが留まっている人も見られたようであった。
 今はほぼ通常通りの被ばくレベル(日本全国と同じレベル)になっており、内部被ばくの心配はないようだった。

 私は質問で、WBCを福島以外で測定(例えば再稼働している原発の周辺や全国にも)し、福島とほとんど変わらないことを示すような試みはしないか聞いた。
 WBCは移動式でシステムとしては可能であるが、こういう測定にかける人も金もないらしかった。

 (2)では「福島事故後の不溶性粒子の検出の地域分布と拡散予測」というタイトルで森口氏が講演した。
 最初にこの不溶性粒子(セシウムボール)は量的には微量であるが、初期の雲(プルーム)により拡散した状況を科学的に説明するために行っていることを説明した。
 セシウムボールは2種類あって、数μの球形のもので、2号機から3月15日前後に関東まで飛散したものと、数十μと大きな非球形のものが3月12日に1号機から北西に放出されたもの、とのことだった。
 これらの粒子は微量であるが、テレビ等では必要以上にその影響が報道されており、これらの報道を見た避難の方が帰還に躊躇するようであれば、テレビ等の影響は大きいと考えられる。

 (3)の「住家内での再浮遊エアロゾルと作業者のWBC 測定例」というタイトルで吉田女史が講演した。
 乾式スミア法で小高、大熊、双葉、富岡(福島原発に近い町)の12の家屋内の表面汚染密度を測り、除染と言う作業で、はたき掛け、サイクロン掃除機、家庭用掃除機の3つでセシウムの除去を見た。
 3つともほとんどセシウム除去できず、はたき掛けは再浮遊が多いという結果となった。
 再浮遊したもののマスクからセシウムボールらしいものが数個観測された。
 ただこの講演の資料の数枚はグラフが表示できていないようで、再浮遊の傾向等は画面だけで確認した。

 (4)の「不溶性粒子の吸入による内部被ばく線量の評価」というタイトルで真辺氏が講演した。
 身体の中の各臓器をブロックに見立てたコンパートメントモデルを仮定し、放射線医学の世界的な権威機関のICRPの確率論的分布でセシウムボールの取り込みを表示しようとしたが、データが十分でないらしかった。
 会場で福島からの一般市民が来ていて、呼吸器系だけでなく、耳の中のことも考慮して欲しい、とコメントしていた。

 (5)の「不溶性粒子の内部被ばくの影響をどう考えるか」というタイトルで甲斐氏が講演した。
 過去のラジウムペイント、トロトラストのトリウム、旧ソ連のマヤック再処理施設のプルトニウム、チェルノブイリ原発事故のヨウ素、ウラン鉱夫のラドン等の被ばくと比較しようとしたのであろうが、あまりよくわからなかった。

 (6)の「短半減期核種の内部被ばく」というタイトルで山口氏が講演した。
 ヨウ素131の他の短半減期核種ということで、半減期3日のテルルTe-132等が挙げられていたが、すぐに消えてしまったものの再評価のようであった。
 ヨウ素I-131については付随していたと思われる微量のI-129(半減期1千万年)で再評価しようとしているのは学会発表等で知っているが、Te-132は初めてであった。
 しかし、資料が英文で書かれていて、予備知識もないので、ほとんど理解できなかった。

 総合討論の時に、私は吉田女史に、再浮遊の時にセシウムボール確認、とのことだったが、乾式スミアを行ったもののセシウムボールはどうだったか聞いた。
 吉田女史はそれは測定していないが、サンプルは保存してあるので測定してみたい、と回答した。
 他にセシウムボールや不溶性粒子といっているが、定義がはっきりしていないのでは、というような指摘もあった。
 私は保健物理学会が福島原発事故の内部被ばくに関してほとんど影響がないことを声明を出すようなことをしないのか、また栄養による放射線損傷した細胞の修復を女子栄養大学の香川氏が2016年11月の原子力学会誌に発表しているが、こうした栄養をサプリのような形でのヨウ素剤の代わりの薬剤として開発しないのか、を聞こうと思ったが、あまり質問し過ぎると、質問者の偏りとして、進行役の人に敬遠されるので、アンケートに書いておいた。

 今回はセシウムボールに関する講演が多かったので、一般参加で福島から来た人もいたのであろう。
 福島を何とかしたいという気持ちはひしひしと伝わってきて、力を貸せないことで申し訳ない気持ちになった。

 今後もこうした福島原発事故の被ばく関係のシンポジウムには出席して、福島ではもうほとんど放射線影響のないことを情報として収集していき、少しでも多くの人に理解してもらいたいと思う。


<日本保健物理学会シンポジウム >
 福島事故後の内部被ばくの課題の解決に向けて −不溶性粒子と短半減期核種−

1.日時  :2018 年(平成30年) 3 月19 日(月) 13:30−17:00
2.場所  :東京大学 工学部2 号館 212 講義室
3.主催  :一般社団法人 日本保健物理学会
4.参加費 : 正会員2,000 円、学生会員 1,000 円、非会員 4,000 円
5.プログラム:
 13:30−13:40 開会挨拶 吉田 浩子(東北大:企画委員長)
【第一部】           座長:甲斐 倫明(大分看護科学大)
 13:40−14:00 (1)福島事故後の内部被ばく線量評価の現状
            石川 徹夫(福島医大)
 14:00−14:25 (2)福島事故後の不溶性粒子の検出の地域分布と拡散予測
            森口 祐一(東京大)
 14:25−14:50 (3)住家内での再浮遊エアロゾルと作業者のWBC 測定例
            吉田 浩子(東北大)
 14:50−15:00 (休憩)
【第二部】           座長:石川 徹夫(福島医大)
 15:00−15:25 (4)不溶性粒子の吸入による内部被ばく線量の評価
            真辺 健太郎(原子力機構)
 15:25−15:50 (5)不溶性粒子の内部被ばくの影響をどう考えるか
            甲斐 倫明(大分看護科学大)
 15:50−16:15 (6)短半減期核種の内部被ばく
            山口 一郎(保健医療科学院)
 16:15−16:25 (休憩)
【第三部】
 16:25−17:00 総合討論   座長:甲斐 倫明(大分看護科学大)

6.趣旨:
 内部被ばく影響評価委員会では、福島原発事故後の内部被ばくに関する諸問題の中で、線量評価方法(摂取した放射能から線量を評価するまでの方法)に関する課題について取り組んできました。
 特に、比放射能の大きい不溶性微粒子(いわゆるセシウムボール)を吸入したときの線量評価方法や影響について、検討を行ってきました。
 第一部では、事故後の内部被ばく線量評価に関する現状のほか、委員会メンバー以外から演者2 名をお招きして、不溶性微粒子に関連するトピックについてお話し頂きます。
 第二部では、不溶性微粒子の吸入による内部被ばくの線量評価や影響に関して報告を行うとともに、事故直後に存在したテルル等の短半減期核種による内部被ばくに関しても報告を行います。
 第三部では、第一部、第二部における発表内容を中心とした総合討論を開催します。
 ご興味のある方は奮ってご参加ください。
   −以上−

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
福島原発事故の内部被ばくシンポに参加 一つの石のブログ−科学と将棋と教育を好む人へ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる