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zoom RSS ステージ4(末期)のガンも治療可能かも

<<   作成日時 : 2018/03/04 14:43   >>

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 久しぶりに講演会(名称は研修会)で興奮してしまった。

 上記のようにステージ4の末期がんが治る可能性のある治療法を聞いたためである。
 私の母は胃がんで30年以上も前に亡くなっているが、この治療法がその時あれば、と、つい思い出してしまった。

 そこで今回は少し講演会の内容を4番目のガンに関する講演から始めて、その他の講演はその後で説明することとする。
 プログラム概要を末尾に添付する。

 このガンに関する講演のタイトルは(4)「放射線によって誘導される抗腫瘍免疫と“免疫放射線治療”の可能性」である。
 放射線によるガン治療はよく知られていると思う。
 ガン患部に放射線を照射して、ガンの部分を小さくすることで延命治療となり、場合によっては回復して社会復帰することも可能である。
 その過程で毛が抜けたり、食欲が減退する等の副作用がある。
 でも根本的な治療法とはなり得ない、いわば延命治療の範疇にあるものと考えていた。
 その私の常識を根本的に覆すような講演であった。

 講演者の鈴木氏はまず最初に放射線治療の歴史から始めて、この治療法は120年前から始まっていたが、最近の15年で高度化が進んだ、と説明した。
 放射線治療法は粒子線治療と高精度放射線治療の2種類がある。
 高精度放射線治療の一つのIMRT(強度変調放射線治療)の例を示した。
 ガン患部に集中して放射線を照射して、それ以外の被ばくを少なくするようにコンピュータ制御するようであった。
 粒子線治療は身体の表面から15p入った部分くらいが一番線量のピークになるようなブラッグピークにガン患部を調節するものである。
 日本の粒子線治療施設は国立がんセンター等18か所ある。
 前立腺ガン等は90%くらいの5年生存率があるものの、肺ガン、直腸ガン、肝臓ガン等は30〜50%と低い。
 これはガンの転移による再発等があるためである。
 以上が、今一般に行われている放射線治療である。

 ここからがメインの話となる。
 メインの話には少し予備知識が必要となる。
 それはアブスコパル効果というものである。
 「アブ」は「遠く」という意味で、「スコパル」は「狙う」という意味である。
 「遠くを狙う」効果と言われてもピンとこないであろう。
 私がこの講演から理解できたものとしては、対象とするガン患部を放射線照射してガン患部を小さくした時に、実はその周りの小さなガン患部が照射後に小さくなるというものである。
 狙った対象でないところのガンが小さくなるということである。
 これは放射線治療の専門医は昔から腫瘍免疫として知っていた。
 鈴木氏の治療例で、脳リンパ腫のガンで、健康状態がよい患者は悪い患者に比べて5年生存率が高いことがわかった。
 健康状態の良し悪しもこの治療の効果に影響する。
 マウスの実験で、マウスの両足にガン細胞(腫瘍細胞)を移植して、片足だけに放射線照射すると、もう片方の足のガン増殖が抑えられるという結果が得られた。
 これはアブスコパル効果、または腫瘍免疫の作用である。
 このメカニズムをもう少し詳しく調べた。
 このメカニズムの中で、抗腫瘍免疫として、身体の中にあるTリンパ球のようなガン細胞攻撃組織が活性化する。
 この組織がガンの内部に浸潤してガン細胞を壊すようである。
 このTリンパ球のような組織は放射線によって活性化する、との仮説を説明していたが、私は以下のように推測している。
 このTリンパ球のような組織はガン細胞が増殖するとほとんど機能していなかったのが、一部のガン細胞を放射線で照射することにより、ガン細胞の増殖能力が弱まり、その時に機能低下していたTリンパ球等の組織が息を吹き返したように働き出すのではないかと思う。

 この放射線療法ともう一つの併用方法として、免疫チェックポイント阻害剤というのがあるらしい。
 ガン治療薬として最新の薬みたいで、ニボルマブやイピリブマムという名称である。
 T細胞(Tリンパ球?または免疫細胞)とガン細胞がカギとカギ穴のような関係でくっついて免疫細胞が機能低下しているのを、これらの薬剤はこのカギとカギ穴の間に入り、その結合を阻害する新型の抗がん剤らしい。
 この新薬はT細胞を増殖(いい意味での暴走)させてガンを抑え込むというものらしい。
 このニボルマブと放射線療法を併用することで、5年生存率が上がる、とのことである。
 この療法でステージ4のガン(末期ガン)に対しても効果が出るのではないか、との予想をしている。
 まだ治験例が少ないので、確定的なことは言えないが、有望な治療法である、とのことであった。
 ただ放射線治療の線量としては50Gy前後(ガンマ線であれば約50Svで確定的な影響が出るものであり、5Gy前後で脱毛や紅斑<目に見えないやけど>)と高く、放射線治療の根本的な問題は残っている。

 私も丸山ワクチン等を考えたことはあった。
 放射線免疫療法はそれらを包含した療法であり、放射線で増殖するガン細胞の勢いを止めて、その間に身体の中のTリンパ球等の免疫細胞の活性化によりガンを制圧するという考え方である。
 放射線免疫療法が再び注目される治療技術として登場しそうな気がしている。

 続いて、今回の研修会の残りを最初から少し説明しておく。

 昨年の12月末にこの研修会の案内が来た。
 参加費用1万円は少し痛いが、この中で被ばく医療体制のテーマがあったので参加申し込みした。
 この申込書はFAXで出したが、この中で予め質問したいことがあれば、というので、「放射線による細胞の損傷の栄養による回復」の話題はないかと書いておいた。

 今年の1月末にこの研修会の事務局から電話があって、私の質問には答えかねる旨の連絡があった。

 2月27日(火)は晴れていた。
 この研修会は朝10時から始まる。
 朝コンビニでおにぎりと新聞とペットボトルのお茶500mLを買った。
 会場は都営三田線の春日駅と直結の文京シビックセンターである。
 受付で1万円を払い、資料とアンケートを受け取った。
 会場には215人の参加があったことを伝えていた。

 (1)「放射線障害防止法関係の最近の動向」で原子力規制庁の斎藤氏が講演した。
 このテーマは二部構成で(a)「第一部 安全水準の向上に向けて」と(b)「第二部 法令改正の状況」であった。
 (a) は最近の事故や立入検査の状況説明、(b)は今年4月からの法律改正とそれに対応した予防規程改訂に関するものである。

 (a)「第一部 安全水準の向上に向けて」では最近の事故について説明した。
 紛失・誤廃棄・盗取、被ばく、汚染・漏えい、その他で最近8年で27件の事故があった。
 ここから、事故例として、漏えい5件、所在不明4件、火災1件を説明した。
 J-PARCの漏えい事故、東京医科歯科大学の学生の漏えい、民間企業の旭プレシジョンの微量汚染、阪大の配管老朽化による漏えい、民間企業の潟_イキョウとエヌエス環境鰍フ線源紛失事故、警視庁の線源紛失、東工大の排水設備の微量漏えい、塩野義製薬の汚染マウス紛失、京大のRI施設の火災であった。
 これだけの事故がちょこちょこ起こっているのは管理体制に問題があるのであろう。

 立入検査は平成28年度で408件で、医療機関212件、研究機関39件、教育機関59件、民間機関83件、その他15件である。
 実労働時間260日くらいとすると、1日2件弱の立入検査をしていることになる。
 予防規程の変更の届出、標識の表示、記帳の漏れ、測定漏れ、健康診断、教育訓練等で指摘が多くあった。
 また、人事異動等で業務の引継等にも問題があるらしかった。

 (b)「第二部 法令改正の状況」は今年4月からの法律改正とそれに対応した予防規程改訂に関するものである。
 法律改正の項目は
  @報告義務の強化
  A廃棄物規制を炉規法に一元化
  B試験、講習等の科目の規則委任
  C法律名の変更等
  Dセキュリティ対策の強化
  E事業者責務の取入れ
の6項目であるが、主眼はDのセキュリティ対策であろう。
 東京オリンピック2020年に向けて、放射線に関するテロも危惧されているから、RI管理をしっかりやることを狙ったものと思う。
 業務の改善として、PDCAサイクルの導入等がある。
 また、予防規程や防護規程を2019年8月までに改訂または整備することとなっている。
 内容としては放射線取扱主任者の代理の規定の厳格化、盗取等の対策などを求められている。
 そのために放射線取扱主任者の責任が重くなっているように感じた。

 私は質疑応答で放射線取扱主任者に外部の人を導入するのはどうか、小さな事業所であれば、放射線取扱主任者が一人の時に、その人が出張する時には代理で資格者がいない時にどうか、と聞いた。
 斎藤氏はそれはあまり好ましくない、外部のものだと、組織内の状況がわからないのではないか、と消極的な回答であった。
 でも最近の会社においては社外取締役等を多く採用しており、その流れと同じではないかと思ったが、反論はしなかった。
 他にネットで海外からRI購入への対処、核鑑識(全RI事業所の核種、数量、形状等の物理形状等の登録で警察における指紋登録システムのようなもの)の整備状況、RI事業所の火災(今回京大の施設火災があったことから、一般事業所で起きた場合の対処方法)対処方法等を聞きたかったが、一人1問ということで断念した。

 (2)の黒澤氏は「ICRP/ICRUによる新しい実用量の定義について」というタイトルで講演した。
 この講演は線量が後方からの放射線の場合に増えるとか、ガンマ線の20〜100keVの領域で従来は線量が過大評価だったとかの話で、線量の被ばくの専門家にとっては聞くべき内容なのであろうが、私はあまり興味を持てなかった。

 (3)の富永女史は「被ばく医療体制の現状と課題」というタイトルで講演した。
  私はこの講演を聞くために参加したのである。
 富永女史は福島原発事故の時の医療体制や今の全国の医療被ばくの体制などを説明した。
 2011年以前は東日本ブロックは放医研、西日本は広島大学を中核とした医療被ばく体制となっていた。
 しかし福島原発事故を受けて緊急被ばく医療体制は崩壊した。
 地元の医療機関がほとんど機能しない状態で、放医研から専門家を現地派遣し、また、放医研から広島大学、弘前大学に依頼して派遣した体制を組んだ。
 この事故の反省として、消防、自衛隊、放医研で患者搬送したが、行き当たりばったりで相互連携できていなかった。
 また、消防、警察、DMATは全国から応援が来たが、放射線災害に対応できる部隊は限られていた、等の問題があった。
 この他、日頃の訓練でできていないことは災害現場では実効性ないこと、ボストンマラソン爆弾テロ事件では重症患者はすべて発生1時間以内に医療機関に収容され全例救命されたが、一つの病院ではその直前の6年間で73回の災害対応起動及び623回の通信テストを行っていたことを例に挙げていた。
 福島原発事故の影響で、原発周辺の防災が必要な地域が10qから30qに拡大されて、県をまたいだ防災体制が必要になってきた。
 また、原発のある県またはその周辺の地域では被ばく医療体制は整備されてきた。
 しかし、RI事業所における放射線事故等は全国のどこで起きてもおかしくないが、体制は整っていない。
 高度被ばく医療センターは放医研、広島大学、長崎大学、福島県立医科大学、弘前大学の5つが原子力規制委員会で指定されたが、まだ始まったばかりで施設整備は十分ではない。
 これらの体制においては主に原発事故を想定しており、テロやRI事業所の事故は想定されていない。
 医療における人材育成もなかなか進んでいない。
 放医研は東京オリンピックの開催に向けて、千葉県の行政、警察、消防とのテロ対策連携の研修会を年7回程度行っている、とのことであった。

 私は質問で、東京オリンピック2020年では東京等での開催場所も多いが、テロ対策研修会は東京都や神奈川県とは実施しないのか、また東京でテロが発生した場合等の時に全国連携(他の地域からの支援)の体制はあるのかを聞いた。
 富永女史は、放医研としてはできない、東京都から申し入れがあったら、検討の余地はある、とのことで、テロ等が起きた時の全国連携の体制は全くできていない、とのことだった。

 本当はこの富永女史に「放射線損傷したDNAの栄養による回復」のことを聞きたかったが、事前に事務局から無理、との回答があったので、質問しなかった。

 4番目は冒頭の鈴木氏の講演であったので、ここでは省略する。

 この研修会は昨年の9月にもあり、私は参加している。(ブログには書かなかったかもしれない。)
 参加費用は有料で1万円と高いのであるが、放射線取扱主任者に関する情報、特に政府の法律改正の動きや原子力規制委員会、放医研等の原子力関係の中心機関における講演が多いので、必ず、といっていいほど参加している。
 今回はガンの制圧に関する情報という予想外のことがあって、つい興奮してしまった。
 今後もガン征圧、原子力主力機関の動向等を注視していきたいと思う。


<平成29年度 放射線安全管理研修会 開催要領(東京会場)>
 1.開催日時:2018年(平成30年) 2月27日(火) 10:00〜16:30 (東京会場)
 2.開催場所:文京シビックホール(小ホール)
 3.主催:放射線障害防止中央協議会
  共催:(公財)原子力安全技術センター
  協賛:(公社)日本アイソトープ協会、医療放射線防護連絡協議会
 4.受講料:1万円
 5.プログラム内容
   開会の挨拶 10:00〜10:05
     放射線障害防止中央協議会 会長 山下孝
  (1)放射線障害防止法関係の最近の動向(拡大講演) 10:05 〜12:05
     講師 齋藤雅弘氏 原子力規制庁 放射線防護グループ
    (a)第一部 安全水準の向上に向けて 10:05〜11:00
         (休憩 10分)
    (b)第二部 法令改正の状況 11:10〜12:05 
         (昼休み 55分)
  (2)「ICRP/ICRUによる新しい実用量の定義について」 13:00〜14:00
     講師 黒澤忠弘 氏 産業技術総合研究所
         (休憩 15分)
  (3)「被ばく医療体制の現状と課題」 14:15〜15:15
     講師 富永隆子 氏 量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所
         (休憩 15分)
  (4)特別講演「放射線によって誘導される抗腫瘍免疫と“免疫放射線治療”の可能性」 15:30〜16:30
     講師 鈴木義行 氏 福島県立医科大学 
      −以上−

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