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zoom RSS 2017年原子力学会秋の大会参加その2−発表内容の説明等

<<   作成日時 : 2017/09/24 20:31   >>

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 2017年原子力学会・秋の大会に参加した。

 その2は学会で発表された内容等の説明である。

 期間は2017年の9/13(水)〜9/15(金)の3日間で、北海道大学で開催された。
 今回も福島事故関連を主としたQ会場(以下Qと略、会場はQ会場まであった。)を主としたが、今回の特徴としては核変換のシリーズ発表がM会場であったので、それも聞いて、私のテーマのダブルガンマ線核変換とどこかのグループと共同研究も模索したかったのである。

 聴講スケジュールは以下の通りとした。

9/13(水) AM1  AM2    PM1       PM2       PM3     PM4 
  M核変換  M核変換  Q原子力規制等 O世論調査 O原子力と法等 A教育  
9/14(木)
  Lイメージング F核セキュリティ H学会情報発信 N加速器等 Qモニタリング    Qモニタリング
9/15(金)
  Q環境放射能 Iセシウム回収 A福島復興  Q環境放射能 Q環境放射能   −

 AM1は9:30−10:45くらいにある発表、AM2は10:45−12:00くらいにある発表、PM1は13:00−14:30にある特別セッション、PM2は14:45-16:00くらいにある発表、PM3は16:00-17:30 、PM4は17:30-18:30くらいにある発表時間帯である。

 各テーマについて整理してみる。

 第一には、福島事故関連の情報収集である。
 第二には、私が研究している核変換技術と付随する加速器の情報収集と共同研究グループとの連携の検討である。
 第三には、教育、といっても私の研究の後継者探しという面が強い。
 その他として、今回は原子力学会の情報発信とか福島復興に向けてのセッションとかもあったので、日頃思うところを意見として出しておきたいと思ったのである。

  以下に聴講順にメモ程度に書き留めていく。

 長々と見たくない人は末尾にまとめを書いておくので、それだけみればいいかもしれない。

 第1日目の最初は核変換がテーマのM会場に行った。

 1M01では、核変換の内閣府プロジェクトのImPACTプログラムの概略説明の発表で、JST(科学技術振興機構)の池原氏が説明した。
 LLFP(長寿命核分裂生成物:Long Lived Fission Products)は原発から発生する高レベル廃棄物の中でも半減期が長く、放射能が高いもので、例えばSe-79(セレン79)は半減期約30万年、Zr-93(ジルコニウム93)は153万年、Tc-99(テクネチウム99)は約20万年、Pd-107(パラジウム107)は650万年、I-129(ヨウ素129)は1600万年、Cs-137(半減期30年)の親戚のCs-135は230万年と人類が生存した時間よりはるかに長い時間を要するものである。
 これらの核種をLLFPを加速器を使って、安定な核種または短半減期核種に変換しようという壮大なプロジェクトである。
 私は質問でこのプロジェクトのエネルギー経済(原発で得たエネルギーより低いエネルギーで核変換すること)及び海外との連携協力について尋ねた。
 前者についてはあまり明確な答えはなかった気がする。
 後者について、連携は模索しているが、あくまで日本が主導権を握ってやりたい、とのことだった。
 
 1M02は理研の大津氏の発表で、理研(理化学研究所)の重イオン加速器施設RIBFを使ったPd-107の断面積測定というものであった。
 ここで私はあまりよく理解していなかったが、このRIBFというのは従来の加速器と根本的に違う、ということである。
 通常の加速器というのは、弓道でいうところの、的がウラン等の重い原子核で、それに向かって矢を放つが、この矢が電子、陽子、ヘリウムイオン等の軽い荷電粒子というものであった。
 しかし、このRIBFは逆転の発想であり、的は陽子や重陽子(陽子イオンに中性子1個がくっついたもの)で、それに向かってウラン等の重い元素を矢として使うものである。
 逆運動学手法というものらしい。
 それでもまだよくわかっていなかったが、このウランを矢としてぶつけて、そこから例えばPd-107を生成し、この生成ビームを使って、Pd-107の断面積等を測るというもので、ここでもLLFPをそのまま次の測定に利用するという一連の流れができることである。
 私は質問で、いろいろな方法で核変換をするようであるが、陽子と電子を同時同速度加速でターゲットに当てると的の原子核のクーロンポテンシャルのバリアを超えて核反応できるのではないか、と聞いた。
 でもそれは考えていないと答えた。
 座長がミューオンとかの応用も考えられるかもしれない、とコメントしてくれた。

 このことについては後で、会場にいた元会社の人が面白がってくれたが、その側にいたもう一人が、その考えは昔にはあったが、実際に実験しようとした人はいない、とのことだった。

 1M03から1M07までの発表は概ねこのRIBFのシリーズの発表であった。
 しかし、この内容に関してアカデミックな質疑応答が続き、私はこのやり取りがチンプンカンプンであった。
 このセッションの一番最後は聞かないで、外に出て休憩室でおにぎりを食べた。

 昼休みの12:05から、1Q_PL02で原子力委員会の岡委員長がQ会場で招待講演「原子力利用に関する基本的な考え方」というタイトルで講演した。
 これは少し前に原子力委員会でパブリックコメントを求めていたもので、私も意見を出したがほとんど反映されなかった。
 今回も50分くらいその内容について説明した。

 私は質問で、「福島における放射線の安全」に福島県、復興庁、日本学術会議、文部科学省、原子力学会といろんなところで情報を出しているが、「原子力利用に関する基本的な考え方」の中の情報体系の整備という観点から、原子力委員会で集約する考えはないか聞いた。
 しかし、原子力委員会は主体的に動くということでなく、全体を見渡す、ということが役目である、というような意見で、福島に特化した情報整理ということには消極的なようであった。

 上記の特別講演に続いて、1Q_PL03で「原子力研究に関わる法規制(核燃およびRI)の動向」というテーマでセッションが行われた。
 最初の原子力規制庁の沖田氏は、核燃規制という観点で、今年4月に原子炉等規制法(通常、炉規法と略)が改正されたことを受けて、会社の合併や相続等における規定を加えたこと、廃止措置の項目を入れたこと、事業者の検査制度見直しのこと、保安規定の見直し等について説明した。
 また、今年JAEA大洗で起きたプルトニウム汚染事故についても触れた。
 エポキシ樹脂の放射線分解による水素ガス発生があり、100mSv程度の汚染一人があった。
 また最終報告は9月末になることを話した。
 この他、立入検査で表示の未掲示、10年間放射線機器の校正が行われていない(通常1年以内に放射線機器の校正が必要)等の問題点があった。

 続いて原子力規制庁の吉岡氏は法制改正の概要、組織改編、RI法令改正等を説明した。
 そもそも昨年IAEA(国際原子力機関)のレビューを受けて、国際基準に合わせるように指摘を受けたものである。
 全般的には線源事故等の核セキュリティの強化を目指した内容のようである。
 また、これらに連動して、H31年から放射線取扱主任者試験の内容が変わり、セキュリティの項目を増やす、資格講習の項目追加、教育訓練の内容変更等がある。
 これらに関して、放射線取扱主任者の負担が増えないようにしたい、と言っていたが無理であろう。

 大学の方から、核燃料施設やRIの管理が大変で人手が足りない、JAEAで一括管理するRIバンクのようなものが欲しい、等の意見が出された。

 この後パネルディスカッションらしきものがあったが、議論がイマイチであった。

 私は質問で、今市場ではAIによる自動運転システムで運転手の仕事がなくなる、等の問題が指摘されている。 逆に考えると、AIを核燃施設管理やRI管理に適用するシステムがあればいい、原子力規制庁ではよくHPの調達情報で安全解析のコード開発の募集等があるが、AIによるRI管理システム等があってもよいのではないか、と聞いた。
 技術開発の担当者ではないのでこの場では答えられないが、担当者にはそういう要望があったことは伝える、という官僚の百点満点の回答があった。

 午後の最初のセッションもM会場の核変換のテーマの発表を最初は聞いていたが、どうもアカデミック過ぎてこれ以上聞いても無駄と思い、M会場を出た。

 次候補として挙げておいた世論調査がテーマのO会場に行った。
 1O7、8、9は原子力利用に関する世論調査であり、テキストマイニングという言葉が頻繁に出てきた。
 この意味はアンケートの中から頻出する用語を取り出し、分析するという意味らしい。
 今回は頻出語66個の抽出を行い、クラスター分析したらしい。
 マイニングというのはどうも鉱山から鉱物掘り起こしという意味のようである。
 クラスターは固まりという意味から、バラバラな語の中の類似性等の分析を行ったようであった。
 私は最近の世論調査なるものに不信感を持っている。
 そもそもの発端は、アメリカの大統領選挙でクリントン氏が勝つという大方のマスコミの世論調査が外れ、トランプ氏が勝ったことである。
 この原因追及でいろいろなことが分析されたらしいが、大きな要因の一つに電話調査がある。
 この電話調査は従来固定電話で行われていたが、最近のスマホの普及で固定電話が減っているのである。
 つまり、固定電話を持つ集団ということ自体が世の中の集団の偏った集団になっていることである。
 私の息子も隣の県でアパート暮らしをしているが、固定電話を持ってない。スマホがあれば十分ということである。
 同様な人も多いであろう。
 このようなアンケートのやり方を改めないと、世論調査の意味がなくなってしまう。

 1O10の近畿大学の芳原氏(ぼうはらし)が近畿大学の原子炉の原子炉規制基準手続きに関して発表した。
 1Wの出力であるから微々たるものである。
 これでも設工認や保安規定の改訂等に多大な労力が必要となる。
 近畿大学の原子炉は新規制基準に合格した数少ない例である。

 私は質問で、これに関係したスタッフは何名か、他大学が申請に協力依頼されたら助勢する気持ちはあるか聞いた。
 芳原氏はスタッフは3、4名である、他大学への協力ということでは、今回の申請においては、原子力安全基盤機構の元職員をアドバイザーとしたことが大きい、他大学への協力という点では彼のアドバイスが有効、との回答だった。

 1O11の東大の菊池氏は司法の議論における工学の役割というちょっと風変わりなテーマで発表した。
 司法の場での工学の役割として、地震の耐震性の強化、安全余裕の定量化、防災計画の見直しの3点が有効とした。
 私はこの最後の防災に関して、放射線業務従事者はすべて防災士の資格を取り、防災についての意識を持っていることを示す方がよい、とコメントした。
 すると、座長から自己PRの場にするべきではない、と注意された。

 1O12の川合氏は、無視された新除染技術と不要だった放射性食品基準について発表した。
 シロキサン結合の薬剤が除染に有効で、福島県の渡利小学校の校庭で証明されたが、普及しなかった。
 また食品基準の100Bq/kg以下は厳しすぎる、との意見であった。

 私はコメントしようとすると、私の机のすぐ後ろの人が指された。
 その人は驚いたことに、私と同じコメントであった。
 宇宙飛行士は1日1mSvの宇宙線を浴びても、地上の人の2倍の栄養摂取で放射線被ばくを防護している、食品基準の議論よりも、栄養を十分に摂れば放射線被ばくを心配する必要はない、とのことであった。
 私も香川氏の2016年11月の論文で、栄養摂取による放射線被ばく防護に賛同していたので、それを主張しようとしていた。
 後で、名刺交換すると、香川と書かれていた。
 上記の論文本人と勘違いしたが、後で私がメールを差し上げると、論文著者本人ではなく、彼の弟さんであるとわかった。
 私は川合氏にこのシロキサンの薬剤を森林除染に使えるか聞いたが、川合氏は否定的であった。
 シロキサンを使うより、樹皮を剥ぐことで除染できるのではないか、との立場であった。

 1O13と14では、安全文化醸成に関するものであった。
 私は安全文化はコストと常に相反関係にある、安全に関する措置は必ずコストがかかり、コストがかかることは上司もあまり乗り気にならない、といった。
 それでも、事故が起こると多大な費用がかかるのは確かだから、できることからやっていくのがよい、との答えだった。

 1O15からは教育・人材育成のテーマであった。
 1O15の電中研の野々瀬氏はTRM(team resource management)という航空業界で訓練しているシステムを使って、ある原発の事故対応訓練を行った結果を報告した。

 私は質問で、この訓練で、事故の想定は実施したか聞いたが、具体的な事故例を挙げてはいなくて、事故という抽象的な言葉で訓練を開始したようであった。

 1O16のINSSの大磯氏はアクティブ・ラーニングによるエネルギー教育ということで発表した。
 これは福井大学で学生を対象に、原発、火力、水力、自然エネルギー等の依存度の予想をしてもらうというもので、原子力はデータのばらつきが大きく、次に大きいのはLNGであった。

 私は核融合等新エネルギーのことは話したか質問しようとしたが、別の人がアクティブ・ラーニングの体制について長く質問して、時間切れとなった。

 1O17の大阪府立大の秋吉氏はペルチェ素子霧箱の高性能化ということで話した。
 このペルチェ素子については以前にも発表があり、私が注目していた技術の一つである。
 今回は今までの問題点を克服する改良点について述べた。クルックス管のX線の観察に使えるようである。

 私は質問で、中性子測定できるようになるか、また高山での測定はあるか、と聞いた。
 考えてみたい、との回答だったと思う。

 1O18のJAEAの久語氏はJAEAにおける学生実験の状況について話した。
 大学と連携して夏季実習ということを行っていた。

 私は質問で、大学関係でRIバンクをJAEAで作って欲しい、との要望が昼のセッションであったが、JAEAでこうしたRIバンクを作って、大学の先生のRI確認と学生の実習をペアで行うといいのではないか、と聞いたが、はっきりした回答はなかったと思う。

 この発表で初日の発表は終了した。
 18:15であった。


 2日目は9:30AM前にL会場の「イメージング技術」のテーマ会場に行った。

 イメージングとはちょっと聞き慣れない言葉であるが、放射線の「見える化」技術といえばいいであろうか。
 最近の中学生が簡単に放射線が見える実験を行う例として、霧箱がある。
 飛行機の通った後の飛行機雲のように、放射線(電子等の荷電粒子)が通った後に、細かく白い霧状の痕跡が見える現象である。

 2L01はコンプトンカメラということで、東大の中田氏が発表した。
 通常Cs-137は662keVのガンマ線を出すが、もっとエネルギーの低い32keVの特性X線も使ってセシウムの可視化の高精度化を狙ったものであったが、検出器材料の妨害X線があってうまくいかなかったようであった。

 2L02は指向性ガンマ線イメージング法ということで、東大の吉原女史が発表した。
 どうも従来のGe検出器はコリメータまで含めた測定機器の重量が大きくて、福島サイトでの測定が不十分とのことで、検出器の軽量化を図ったものらしい。

 2L03は浜岡原発の中のミューオンによる原子炉透視の報告で、名大の森島氏が発表した。
 このミューオンによる原子炉透視は福島原発の1号機から3号機までの透視がマスコミ報道されていた。
 それを浜岡でも実施したものである。
 解析の結果、圧力容器や格納容器の近くにある重量物、多分チャンネルボックスや配管等と思うが、こういうものが邪魔をして、シミュレーションのようなきれいな原子炉透視図とはならなかった。
 今後はこれらの原因を検討していく、とのことである。
 浜岡2号機は廃炉となることが決まっている炉で燃料はすでに抜いており、また放射能は福島原発に比べて圧倒的に低いから、透視の評価をする上で炉心近くにいろいろ障害物を置いてみたりしてミューオンの透視の効果を評価できるのである。
 私はミューオンの季節変動について聞いてみたかったが、他の人の質問で終了した。

 2L04は木材内部の放射能分布ということで、防衛大の久野氏が発表した。
 木材の中のセシウムの汚染分布は重要な要素ではあるが、以前森林学会だったかで、外側の樹皮にセシウム多く、中心にいくと少ないという結果が示されていた。
 今回も同じ傾向であった。
 ただ、節と呼ばれる植物の導管に匹敵する水の吸い上げの道筋部分のセシウム比率が高いようで、水溶性セシウムを吸い上げたためではないか、と推定していた。
 福島においては居住部分はほとんど除染ができているが、70%の面積を占める森林部分の除染は居住部分付近以外は手付かずであり、これらの汚染状況を測定することは今後の重要課題と思うので、引き続き情報収集していきたいと思う。

 次に核セキュリティがテーマのF会場に行った。
 この核セキュリティは最近とみに関心が高まっている分野である。
 核燃料物質やRIを盗まれて、悪用されるとひどいことになる。
 テロ防止ということで、東京オリンピック2020年に向けて管理が望まれるところである。

 2F05はサボタージュ防護シミュレータということで、JAEAの鈴木女史が発表した。
 PWRの8つの事故シナリオを作って訓練等を行っているようである。
 2000年以降にテロ情報が入って来なくなった、とのことである。
 少ない情報であるが、オークリッジ国立研究所(ORNL)等が開発したゲームJCATS等で訓練することも検討されているようである。
 アメリカの同時多発テロが2000年に起きてから、世界中がこうしたテロ多発に敏感になって情報が出にくくなっている背景があるように感じた。

 2F06は粒子形状パラメータということで、JAEAの木村氏が発表した。
 例えば酸化ウランの粒があるとしてもその粒径分布が異なる等で識別できるようなものらしい。
 この識別に電子顕微鏡SEM/TEM等を使う。私はEDX(元素分析のSEM)を使うのか聞いてみたが、はっきりした回答はなかったと思う。
 また、このデータは大学や研究所等の放射性核種の性状調査が欠かせない(警察が過去の指紋照合で犯人の割り出しをする際に、指紋登録データベースがあるようなもの)が、この核鑑識のために必要ではないか、と私は聞いたが、担当が違うので、原子力規制庁辺りが調査すべきでは、とのことだった。

 2F07では核不拡散と核セキュリティのタイトルで、JAEAの須田氏が発表した。
 核不拡散と核セキュリティは相互に関連している。2016年核セキュリティサミットもあり、改正核物質防護条約等この分野の関心が高まった。
 内部の脅威に対する対策としては、物的防護出入管理、人的管理、監視カメラ等が有効とした。
 私は核物質不明量(MUF)、核物質分析における誤差から発生する行方不明の核物質量について聞いてみたが、はっきりした回答はなかったと思う。
 
 2F08はNMACの活用ということで、JAEAの田崎女史が発表した。
 NMACとはNuclear material accounting and controlの略で、核物質の総合計量管理とでもいえようか。
 アメリカではsafeguardsと同様な管理体制と考えられる。
 今後のNMACの効果的な活用として、内部の人間の盗取等の人間観察に重点が置かれるようである。
 異常行動チェックリスト、薬物依存でないかどうか、等の異常行動を引き起こす背景に注目しているらしい。

 私は質問で、個人情報との兼ね合いが難しいのではないか、と聞いたが、その辺りははっきりした回答を避けたようである。

 2F09はMOX燃料加工施設の核セキュリティということで、JAEAの清水氏が発表した。
 2F08のNMACの適用例ということで、監視機器やセキュリティ側との情報共有で有効な手段と評価していた。

 私は質問でKMP(Key Measurement Point:計量管理エリアの計測点)という言葉で計量管理をしているか聞いたが、あまりはっきり認識していなかったように感じた。

 昼過ぎのセッションは学会の情報発信というテーマのH会場に行った。

 このセッションではポジションステートメント(PS)という学会の用語解説ということで「燃料デブリ」の作成中である。
 私もこの用語解説の意見募集(パブコメ)に意見を出していたので、今回そのポジションステートメントの説明も聞けると思い、参加した。

 最初に電中研の佐賀井女史が広報規程等を説明した。
 学会会長記者会見等も規程があり、上期で4回あったらしい。
 ただ学会HPについては規程がないらしく、担当者が四苦八苦しているらしかった。
 そこで、今回HP運営ワーキンググループを作り、HPガイドラインを作る、とのことであった。

 続いてJAEAの山本氏がポジションステートメントPSについて説明した。
 これはそのまま素直に訳すと、位置表明となる。
 学会の立ち位置ともいえるが、実際は原子力用語の解説が12件と多く、その他として学会見解、宣言があるらしい。
 ポジションステートメントは今まで1年くらいと作成に時間がかかっていたが、今は2、3か月で作成を目指しているらしい。

 この後総合討論に移った。

 私は当初PSの英訳を想定していたが、それは説明の中で出てきた。
 ネイティブ(英語の現地人、通常アメリカ人か英国人)のチェック等もある、とのことだったが、今まではあまり真剣ではなかったみたいである。
 私は学会が情報発信するためにはまず外部のことを知らないといけないが、学会はHPに質問受付のような項目がないから外部の考えがわからない、これでは誰に向けて情報発信していいかわからない、こういう項目を整備して、学会員、一般の人の意見集約して、敵を知り、己を知らば百戦危うからず、ではないか、と聞いた。
 そういう受付コーナーはあるというような答えだったと思うが、はっきり記憶していない。

 他の人の質問では原子力110番があったと思うが福島事故があって消えたのか、という問いには消えていないが休止に近い状態とのことだった。
 SNSを活用しては、との問いに活用を考えている、との回答だった。
 情報発信のやり方はどうするのか、との問いに、シニアを活用したい、とのことだった。

 午後は加速器・非破壊検査のテーマのN会場に行った。

 ここでは橋の橋梁コンクリートの非破壊検査に興味を持っていたためである。
 今自宅のマンションは30年経過し、相当傷みが出ているはずで、それを検査するのに、この橋梁検査の技術が使えないか、と思ったのである。

 2N15の東大のBereder氏は橋梁の中のPC(プレストレストコンクリート)の長期間の空気中の炭酸ガスによる腐食(Ca(OH)2+CO2→CaCO3+H2O)を測定するために可搬型加速器を用いた検査システムを考えていた。
 ベリリウムターゲットにX線を照射して中性子を発生し、この中性子で橋梁内の水分を検知するというシステムらしかった。

 私は質問でマンションの老朽化にこのシステムは使えないか聞いた。
 可搬型加速器は4MeV以下の光子しか使えないので、マンション老朽化検査には出力不足らしかった。
 それ以上のものを用意するとなると現行法では対処できず、法律の改正が必要となるらしい。
 また、現在の検査システムで線量率20μSv/hと結構な線量を被ばくするようなので、これを大型化したらもっと大きな被ばくとなる可能性もあり、別の方法も考えないといけない。
 超音波とかを併用できないか聞いたら、会場から上坂東大教授(原子力学会会長)が、超音波も考えたが、あまり有効でなく、電磁波等が有効かもしれない、と回答した。

 2N16の東大の小沢氏は橋梁の3次元化でインフラの老朽化を測定し、修理の優先度を決める、とのことだった。 そのため、2次元を双方向で測定して3次元化するというシステムらしかった。

 2N17は東大の上坂氏がこのシステムの総括という視点で発表した。
 4Mev未満の光子(X線)というのが、現行法の順守範囲内でのキーポイントと強調していた。
 ただ、このシステムのネックは雨で、湿気に弱いので、雨と雷との闘いである、と説明した。

 続いてQ会場の移動型放射線モニタリングのテーマの会場に行った。

 2Q18のJAEAの宮村女史は走行サーベイデータの車窓画面上への表示というテーマで発表した。
 放射線の可視化ということであった。

 2Q19の島根原子力環境センターの生田氏の1秒Geという考え方がよくわからなかった。

 2Q20の東電の大浦氏はマルチコプター「RISER」による線量測定というテーマで発表した。
 またドローンの一種かと思ったが違っていた。
 ドローンは電波を使って操作するので、建物の中では使えない。
 福島原発の建屋内で使うための機器で、しかも耐放射線性で2,500mSv/h以下で使用、とのことであり、放射線場の高い室内で使用するものである。
 GPS機能を使わないで、レーザーで自己位置を推定する、という、ちょっと座頭市というめくらの按摩さんが闇夜を杖をつきながら移動するというようなものらしい。
 形はドローンのような形状なのでてっきりドローンかと思っていた。
 今後の建屋内の捜索というような、防災でも例えば地下街の様子を調査する場合に有毒ガスや煙でよく見えない状態でも使える機器かもしれないと思った。
 でもこの会社Create Technogiesでひいてみても、このRISERという商品名は出てこなかった。

 他は無人ヘリやドローンの講演で今までとあまり変化はない印象であった。

 以上で、2日目の発表聴講も終了した。18:30であった。

 3日目は最終日である。

 3Q01の京大の今井氏は飯館村の線量率モニタリングとウェザリング効果というテーマで発表した。
 発表のほとんどは「ふくしま再生の会」の話であった。
 おいおい、この学会はPRの場ではない、と思ったが、飯館村は福島事故で一番大きな被害を受けたところであるから、まあ仕方がないとも思った。

 この会には、この後香川先生の細胞修復についての話をメールで送ったが知っている、とのことであった。

 私は質問でKURAMA2で福島県のモニタリングを行っているが、連携するつもりはないか聞いたが、消極的であった。

 3Q02〜04までは線量率の測定に関することであまり大したことはなかった。

 3Q05の放医研の小林氏の発表も同じタイプかと思ったが、走行中の車に積み込んだのが線量率計でなく、Ge検出器(Radi-Probeシステムと命名)であった。
 このシステムで、自然放射性元素のK-40、U-238系列、Th-232系列の放射能を測定していた。
 これはちょっと考えると無駄なことを、とも思うのだが、よく考えてみると、福島復興の線量率で、元からある自然放射性元素と福島事故で発生したCs-137の区別をつけておくと、復興の目安の線量率の区別がつけられ、Cs-137のみの寄与分の影響評価ができるのである。
 また、今再稼働している川内原発や伊方原発等も、このシステムを使って予め自然放射性元素を測っておくと、いざという時にCs-137との区別がついてよいと思うのである。

 続いて、I会場のセシウム回収のテーマの会場に行った。

 3I04は亜臨界水によるCs-137回収とテーマで、東工大の高橋氏が発表した。
 Cs-137の付着した土からMgイオン等の金属イオンを含む亜臨界水で脱着し、フェロシアン化物で吸着し、ガラス固化体にするものであった。

 私は質問でCs-137を安定化させるために非RIのCsを添加する考えはないか、と聞いた。
 Naがすでにガラス成分としてあるから、CsはNaと同じアルカリ金属であるから不要、とのことだった。

 3I05はKEK(高エネルギー加研)の川合氏が発表したが、1O12の時と同じ内容なので省略する。

 昼休みにはA会場の福島復興のテーマ会場に行った。

 JSTの藤田女史が福島復興に向けた除染状況等の説明を行った。
 また、中間貯蔵に向けての動きが始まっているが、用地買収の困難、中間貯蔵施設に向けた運搬での事故の懸念、お米を主とした風評被害等について説明した。

 NUMO(原子力発電機構)の布目女史は原子力学会の活動として、シンポジウムの開催、除染情報プラザ、今は改名して環境再生プラザへの協力、JAふくしまとの協力等を説明した。

 その後総合討論となった。
 私は、最初に福島で今イノシシやハクビシン等の動物の繁殖が大変で、これらの動物は放射能も持っており、学会としても動物学会等と協力して管理してはどうか、と聞いたが、消極的であった。

 他の人で、福島県で子どもの甲状腺がんが多発しているのをどう思うか、という質問があった。
 これに私が反論して、福島の本学会以外のシンポジウムで長崎医大の山下先生が福島でこれらの甲状腺がんが見つかったのは医療の進歩によるところが大きく、他県も福島と同じような精密測定を行えば、福島と同程度の甲状腺がんは見つかる、との見解を説明した。
 またポジションステートメントPSの話が昨日あったが、この特別委員会で福島の放射線上の安全等のPSは作成しないか聞いた。
 このPSは各部会の提案というのが本来の趣旨で、特別委員会はそうした権限を持っていないかもしれないということであった。

 午後のセッションではQ会場の環境放射能のテーマに行った。

 3Q10では筑波大の恩田氏が河川のCs-137について話したが目新しいことはなかった。

 3Q11の筑波大の加藤氏は森林におけるCs-137の移行について発表した。
 福島県山木屋地区のスギや広葉樹林を調査したものであるが、森林全体の傾向調査であり、放射能移行の樹木内の根本原因に迫ったものではなかったので少しがっかりした。
 まだ2L04の防衛大の久野氏の発表の方がよかったと思う。

 3Q12の筑波大の山口氏も同様の調査で、森林の線量率変化を追っているが、傾向調査に終わって、原因分析にまで立ち入っていないのが残念であった。

 3Q13の福島県環境創造センターの谷口氏は河川でのCs-137の移行であまり大したことはなかった。

 3Q14,15もあまり大した発表ではなかった。

 3Q16の京大の谷垣氏は走行サーベイシステムKURAMAUの改良についての発表であった。
 従来はバス路線等でのバスに搭載してのモニタリングが主であったが、路線バスの運行のない地点ではコンビニ配送車を使った実験、運用負担の少ないデータ管理システム等について発表した。
 谷垣氏はKURAMA開発の専門家であり、何回か話をしたこともある。

 3Q17はCs-134/Cs-137同位体比に関する発表でJAEAの佐藤氏が発表した。
 これは以前にもあった発表のデータの精密分析ということ以外、あまり大した内容ではなかった。

 以上で今回の原子力学会秋の大会の聴講は終了した。16:55であった。

 最初に掲げた各テーマについて自分なりの収穫を整理してみる。

 第一には、福島事故関連の情報収集である。
 森林に関するものが若干あったが、以前得た情報よりも優れたものと言えるようなものは少なかった。ただ少しシロキサンという用語については少し研究してみたいと思う。
 第二のものとして、私が研究している核変換技術と付随する加速器の情報収集と共同研究グループとの連携の検討である。
 この連携は早々にあきらめた。
 アカデミックな研究が多くて、私のダブルガンマ線理論を聞いてくれそうな人が見つからなかったからである。
 ただ興味本位ではあったが、逆運動学手法といって、従来の軽い元素を元素に当てるというのを、軽い元素に向かって重い元素を加速してぶつける、というのは逆転の発想として面白いと思った。
 また、私が質問したことの一つ、陽子と電子を同スピード加速して原子核に打ち込むと、クーロンポテンシャルを打ち破れるというのは着想が面白いと思うので今後少し考えてみたい。
 第三には、教育といっても私の研究の後継者探しという面が強い。
 教育機器としてのペルチェ素子を使った霧箱は進化しているようで、少し興味深かった。

 その他として、今回は原子力学会の情報発信としてはHP機能が弱く、外部からの意見収集する目安箱的なものがない、どこに向けて発信というのがはっきりしない、と指摘した。
 これからHPガイドラインとか作るようなので、その中でこうした目標をはっきりしていけばいいなと思う。

 福島復興に向けてのセッションでは、風評被害が相変わらずというところもあり、世界との連携等も見据えて欲しいと思った。

 その他の関心として、核セキュリティ、マンション老朽化の問題があった。
 前者は核テロ等発生して欲しくはないが備えておくべきことと思った。
 後者は現在の法律の範囲ではX線源の問題等があり難しい点があるが、これらの問題も含めて考えておくことが必要であろう。
 また座長に怒られたが、放射線業務従事者全員が防災士の資格を取る、というのは今回はじめて提言した。
 今までは原子力関係者が原子力防災に関連して、一般防災に関心を持つこと、程度にしか考えていなかったが、一歩進んだ考えにたどり着いたと思う。

 今後もこうした学会に極力参加して、福島関係の情報収集とともに、私が提案する種々のシステム等の採用に向けて努力したいと思う。
 また、私の知的興味をくすぐる情報に出会うこともワクワク感があって、希望のある未来を予測できるような気もしている。
                              −以上−

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