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zoom RSS 環境工学連合講演会に参加

<<   作成日時 : 2017/05/28 17:12   >>

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 環境工学連合講演会に参加した。

 当初は参加するつもりはなかった。
 でもプログラムを見て、省エネ、水資源や廃棄物関係の発表が多くあり、これらのことに関心があったので参加申し込みをした。

 案内には5/1締切とあったが、申し込みをしたのは5/10であった。
 ダメ元と思っていたが、OKのメールが届いた。

 当日会場に行き、受付を済ませた。プログラムは1冊2,000円で買った。
 この連合講演会は21の学会の連合によるもので、1986年から2011年の東日本大震災の時を除いて毎年開催されてきた由緒あるものらしい。
 ただし、原子力学会は加入していないのでメールで案内が来ることはなく、日本学術会議のHPを見て申し込みしたのである。

 A-1の田中女史はCCSについて話した。
 このCCSはCarbon dioxide Capture and Storageの略で、CO2の地中貯留、平たくいえば、炭酸ガスの地中廃棄である。
 温暖化防止のCOP21パリ会議で21世紀末までに、気温上昇を2℃以内に留める目標2DS(2 Degree Scenario)を採択した。
 この目標のために、日本では経済産業省の下で、CCSの一つとして苫小牧プロジェクトなるものが進められているらしい。
 苫小牧市の地下に10万t/年のCO2を廃棄する計画らしい。
 このプロジェクトのような規模のものが4万個必要らしい。
 このプロジェクトを市民はどう思っているのか聞いたら、薄気味悪い、とのことだった。
 でもこうした対話は必要であろう。

 A-2の大隅氏はA-1に似た講演であった。
 CCSにおける化学反応 
  CaCO3 +CO2+H2O→Ca2+ +2HCO3-
というCO2を炭酸水素イオンとして、水中に固定するというものである。
 私は質問で、今原子力で地層処分の場所選定で苦労しているが、このCCSでなぜ苫小牧が選ばれたのか聞いた。
 2人ともデータがしっかりしたものがあるから、と答えた。
 でも納得がいかないので後で調べてみた。
 日本CCS調査株式会社が出している資料を見ると、泥岩等の遮へい層と砂岩等の貯留層の2つが揃った地点を探したようで、それに合致した地点の一つとして選ばれた可能性が高いと思う。

 A-3の井田氏はバイオコークスという、植物を加熱してコークスを作る新型の燃料製造技術を開発したようで、大学初のベンチャーを目指しているらしい。
 そういえば、近大マグロもこの大学が始めた商売である。
 キュポラを電気炉で加熱して作る溶解炉の例を示していたが、真似されるのを怖れているためか、全体像や具体的なイメージがまるでつかめないものであった。

 A-4の手塚氏は鉄生産の際のCO2排出量の計算の国際化(ISO化)に関する説明であった。
 鉄は典型的なエネルギー消費産業であり、石炭等からコークスを作り、そのコークスを使って鉄の還元を行う。
 ISO14404ではエネルギー消費量からCO2排出量を計算するが、コークスを外注すると、それは見かけ上エネルギー消費がないものと計算されてしまう。
 ここに間接排出という考え方で外注のコークス分まで網にかけるというものである。
 国際的な交渉で主導権を取るというのは日本では珍しいかもしれない。
 私は質問で、コークスをやめて、水素還元等を使うことはどうか、また鉄の還元等はエネルギーを多く蓄積できるので、蓄電に利用とか、鉄の酸化・還元を使った発電システムについて聞いたが、技術者ではないためか、反応は鈍かった。

 A-05の後藤氏は熱帯におけるプランテーションでの話で、キャッサバ(熱帯地域のイモ)やパームオイルの加工工程での排ガス等の話であった。
 キャッサバを製品に加工する時に出る有機排水は「ラグーン」と呼ばれる「ため池」に排出するものが多い。
 このラグーンからメタンガス等が発生するらしい。
 有機排水等水の使用量が多いのでこれを減らす工夫が必要らしかった。
 私はこの対策のためには現地人の教育が必要ではないかと質問しようと思ったが、他の人が質問していたのでやめた。
 A-06の大嶺氏は東日本大震災で発生した津波廃棄物の有効利用等について説明した。
 建設汚泥等はそのまま盛り土にするか、セメントを混ぜて盛り土するか、等の方策を示していた。
 私は質問で、盛り土は関東大震災での横浜の洋館が盛り土で崩れたことや去年の熊本地震でも盛り土の部分が壊れた例があるように、盛り土は耐震性が悪いから、津波対策の前に壊れるのではないか、また津波廃棄物は塩分を含んでいるので、廃棄物利用しにくいのではないか、と聞いた。
 あまりはっきりした答えではなかったように思う。

 A-07の田中氏は廃電子機器の中から銅を取り出す都市鉱山の考え方を基にして、現在の主流である乾式法の代わりに、電解採取による湿式法を提案していた。
 銅イオンの2価と1価をうまくコントロールすることが必要である。
 質問では他の人から、こういうコントロールは難しいから途上国には持っていけない、とか指摘されていた。
 私は処理速度はどうなのか聞きたかったが、その時間はなかった。

 A-08の鈴木氏はバイオマスの一環として、藻類からの油の生産、すなわちグリーンオイルの研究を説明した。
 バイオマス燃料の第一世代はサトウキビやトウモロコシ等のデンプンを発酵して得られるバイオエタノール等がある。
 第二世代のバイオマス燃料は糖の中の資源量として多いが、食料にならないセルロースを原料として、発酵の代わりに物理的な加熱や化学的な酸・アルカリによる処理でバイオエタノールを得るプロセスである。
 第三世代のバイオマス燃料として期待されているのが、藻類による油生産である。
 ソラリス株とルナリス株の2種の藻類を使って生産実験をしていた。
 光合成による生産で生成物はC16のパルミチン酸という脂肪酸らしい。
 私は他の種類の藻類とか、塩分コントロールをどうしているか聞きたかったが、時間がなかった。

 午後からの講演で、S-01の木本氏は地球温暖化の政府間パネルの担当者として2013年に作成された第5次評価報告書のことを説明した。
 2℃であろうと1,5℃であろうと、地球全体としてゼロエミッションが達成されないといけない、とのことである。
 降水といえば、台風があるが、台風は大型化するだろう、降水量もあまり変化はないように見えて、降っている場所でたくさん降る、というような状況になっている。
 第6次報告書はもっと大変になる、と書くつもり、とのことである。
 会場から、米トランプ大統領の政策でアメリカが違った対応になるのではないか、と質問した人がいた。科学者はそういう立場はとらないだろうとの見通しらしかった。

 P-01の曽我氏は気候変動データを基に、東京と銚子の2か所で気象観測結果を説明した。
 建築ということから、冷暖房の変化等に着目していたが、私としてはあまり得るものはなかった。

 P-02の藤谷氏はPM2.5(2.5μ以下の微粒子)の大気環境問題について説明した。
 自動車排気ガスの多い地点として、川崎の産業道路での排気ガスを測定し、PM2.5の排出の多いディーゼル車に着目していた。
 私は質問で、マスクのような簡単な除去装置でディーゼル車等の排気ガスを低減できないか聞いたが、本格的な除去装置が必要ということで議論はかみ合わなかった。

 P-03の三坂氏は暑熱環境ということで、ヒートアイランドに着目し、これを防止するための方策を種々検討していた。
 日除け、打ち水、冷却ルーバー、水冷ミスト等である。親水性不織布を活用したテントユニット等も面白かった。
 スプリンクラーシステムを打ち水に転用してはどうかと聞きたかったが、時間がなかった。

 P-04の岡部氏は2100年の水代謝システムという大きなテーマで話した。
 基本的には、山から流れてくる水を取水して、浄水場に送り、そこで浄化して生活用水として使う。
 下水は下水処理場に持っていき、そこで浄化して生活用水として使う。
 上水・下水処理ともにこの繰り返しであるが、下流になればなるほど浄化が難しくなるということである。
 究極の水リサイクルは宇宙ステーションでの活用である、とのことである。
 20世紀は石油を争い、戦争が起きた。21世紀は水を争って戦争が起きる、という。
 地球温暖化等により、ゲリラ豪雨や気象干ばつ、都市化、水質の汚濁等で、水不足が徐々に深刻化しているらしい。
 人間一人が生活していくために、700m3/人/年必要とのことで、農作物輸入が多いが、この農作物をもし日本で作り、その必要な水分量を日本だけで賄うとすると、520m3/人/年余計に必要となり、1,220m3/人/年の水が必要になる、との試算である。
 1トンの水というのは風呂桶5杯分くらいである。
 できない量ではなさそうに思えるが、さて1億人に、となると1億トンである。
 台風や豪雨の力が必要かもしれない。

 私は今個人的に水の浄化システムを研究している。
 従来の膜フィルタによるろ過、脱塩機器による脱塩という浄水器のシステムではない。
 これらのシステムは一旦故障等の支障が出ると、素人にとって復旧は容易ではない。
 私は単純に水の蒸発と凝縮を使ったメンテナンスフリーになり得る浄水システムを考えている。
 防災の観点でメンテナンスフリーで素人が扱いやすく、長持ちするシステムを考えている。
 東南アジアやアフリカでも、この浄水器システムと太陽光だけあれば、水が簡単に確保でき、メンテナンスフリーとなるものを考えている。
 一番身近で考えやすいのは、やかんの注ぎ口にコップをかぶせて、やかんの底を何かの手段で加熱して、やかんの中の水を沸騰させる。
 その沸騰した蒸気は注ぎ口のコップの中で凝縮して、そのポタポタ落ちる水が飲み水になるというものである。
 このような浄水器システムを考えている。
 やかんの加熱は太陽光をレンズで集光するようなものを考えている。
 もし、よいアイデアがあればお知らせください。

 P-05の下ヶ橋氏は水道システムの気候変動への適応ということで、浄水場等に太陽光パネルや水力発電の導入等を考えているようであった。

 P-06の林氏は実験水田というアカデミックではない実験をしていた。
 実験水田でのメタン生成やCO2の循環等を調べているらしいのはわかるが、イメージしづらいものであった。

 私は今室内で水性栽培でプチトマトの生成実験をしている。
 この実験は別の目的の実験の予備試験という位置づけである。
 もう少しこの実験が進めば、説明してもいいかもしれない。

 P-07の馬場氏は地方自治体における気候変動緩和・適応策の現状と課題というものであった。
 今気候変動に対応して地方も何かしろ、と求められているようである。
 地方自治体にアンケートを取っており、対策の実行の難しさとして、専門性の不足、先行モデルの不足、科学的知見と行政ニーズのミスマッチ等があり、なかなか進んでいないことが窺えた。
 よく行われていることとして、普及啓発活動等らしい。または国の施策の模倣・追随である。

 P-08の湯氏は気候変動の緩和策と適応策を対象としたライフサイクル評価(LCA)について説明した。
 バイオ燃料は石油燃料よりCO2排出は少ないが、水消費、土地利用や富栄養化等の環境影響が石油より多いので、包括的な観点からの評価が必要とした。

 P-09の植田氏は廃棄物・リサイクル分野における緩和策と適応策ということで説明したが、あまり記憶に残るものではなかった。
 というか、最後の講演なので、集中力もかなり切れていたといえるかもしれない。

 一応環境工学の講演会であるし、鉄の発電エネルギーへの転用、新たな浄水器に向けての私の研究、水性栽培によるある実験の予備試験等関連があると思われる講演がいくつかあったので参加してみたが、あまり成果はなかったように思う。
 ただ、私の実験と並行して、これらの学会の動きにも注意を払っていきたいと思う。

<第30回環境工学連合講演会>
総合テーマ: 気候変動における環境工学の貢献 〜緩和と適応〜

 1.会期: 2017年(平成29年)5月23日(火)
 2.会場: 日本学術会議講堂
 3.主催: 日本学術会議 土木工学・建築学委員会学際連携分科会
 4.共催:化学工学会、環境科学会、環境資源工学会、○空気調和・衛生工学会、高分子学会、資源・素材学会、地盤工学会、静電気学会、大気環境学会、土木学会、日本LCA学会、日本化学会、日本機械学会、日本建築学会、日本水道協会、日本セラミックス協会、日本鉄鋼協会、日本土壌肥料学会、日本分析化学会、日本水環境学会、廃棄物資源循環学会(50音順、○印は幹事学会)
 5.定員: 200名(申込み先着順/定員に余裕がある場合は当日の参加も受付いたします)
 6.参加費: 無料/講演論文集を別途2,000円(学生1,000円)にて会場で有料頒布
 7.プログラム
   ・開会挨拶:米田雅子(慶応義塾大学)
   ・第30回を記念して:花木啓祐(日本学術会議副会長)
   ・第30回を迎えて:森口祐一(東京大学)

□【緩和策】 9:25〜10:45座長:細見正明(化学工学会/東京農工大学)
 A-01招待講演:気候変動対策としてのCCSとコミュニケーション
     田中敦子(資源・素材学会/産業技術総合研究所)
 A-02招待講演:二酸化炭素回収処分は大規模石炭火力発電所で実施すべきなのか?
     大隅多加志(日本分析化学会/学習院大学)
 A-03招待講演:次世代バイオ固形燃料:バイオコークスによるゼロ・エミッション循環型社会形成に向けて
     井田民男(日本機械学会/近畿大学)
 A-04招待講演:日本鉄鋼業の地球温暖化対策への取組み
     手塚宏之(日本鉄鋼協会/JFEスティール(株))
   
□【緩和策】 10:55〜12:15 座長:駒井武(資源・素材学会/東北大学)
 A-05招待講演:プランテーションにおける加工工程への物質フロー適用と環境負荷低減
     後藤尚弘(化学工学会/東洋大学)
 A-06招待講演:廃棄物・副産物の有効利用による環境負荷低減と地盤環境工学の役割 
     大嶺聖(地盤工学会/長崎大学)
 A-07招待講演:省エネ型銅リサイクルプロセスの開発
     田中幹也(環境資源工学会/産業総合技術研究所)
 A-08招待講演:グリーンオイル一貫生産技術研究開発の進捗
     鈴木英樹(静電気学会/電源開発(株))

■【特別講演】 13:00〜13:30 座長:大岡龍三(空気調和・衛生工学会/東京大学)
 S-01特別講演:地球温暖化の現状と見通し
     木本昌秀(東京大学)   
□【適応策】  13:40〜14:40 座長:秋葉道宏(日本水環境学会/国立医療科学院)
 P-01招待講演:将来気象データに基づく気候変動下の建築環境の評価
     曽我和弘(空気調和・衛生工学会/鹿児島大学)
 P-02招待講演:PM2.5の大気環境問題
     藤谷雄二(大気環境学会/国立環境研究所)
 P-03招待講演:暑熱環境への適応に向けた取組み
     三坂育正(日本建築学会/日本工業大学)

□【適応策】  14:50〜15:50 座長:清和成(土木学会/北里大学)
 P-04招待講演:2100年の水代謝システム
     岡部聡(土木学会/北海道大学)
 P-05招待講演:水道システムの気候変動への適応
     下ヶ橋雅樹(日本水環境学会/国立保健医療科学院)
 P-06招待講演:開放系大気CO2増加(FACE)実験水田:高CO2・気候変動への適応とメタン発生の緩和を両立する水稲栽培技術・品種開発のプラットホーム
     林健太郎(日本土壌肥料学会/農業・食品産業技術総合研究機構)
□【緩和策と適応策】 16:00〜17:00 座長:永田明寛(日本建築学会/首都大学東京)
 P-07招待講演:地方自治体における気候変動緩和・適応策の現状と課題
     馬場健司(環境科学会/東京都市大学)
 P-08招待講演:気候変動の緩和策と適応策を対象としたライフサイクル評価
     湯 龍龍(日本LCA学会/農業・食品産業技術総合研究機構)
 P-09招待講演:廃棄物・リサイクル分野における緩和策と適応策
     植田 洋行(廃棄物資源循環学会/三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株))

■閉会     17:00〜17:10
 ◎第30回環境工学連合講演会の総括:
   赤司泰義(空気調和・衛生工学会/東京大学)
 ◎閉会挨拶:
   嘉門雅史(京都大学)
                 −以上−

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