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zoom RSS 資源循環型社会構築シンポに参加

<<   作成日時 : 2017/01/22 16:03   >>

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 資源循環型社会構築シンポに参加した。

 私のノートの記録によれば、昨年12月21日に参加申し込みをしている。
 開催は今年1月17日である。
 プログラムは末尾に添付する。

 なぜこのシンポに参加したかと思い返してみた。
 漠然としたタイトルである。
 でも資源循環というのは今の社会の一面の問題を取り上げた大きな問題である。
 端的な例では、携帯電話の廃棄物で金メダルを作ろう、などという真面目なような嘘のような話が出るのである。
 私も漠然と参加した印象があったが、このシンポは当日のアンケートはなかったが、後にメールでアンケート依頼(1月20日)があった。

 そこで、再度このシンポ参加の動機を整理してみた。

 この資源循環社会シンポの要素としては、植物資源と都市環境、炭素資源(石油類)、農林水産業の資源、廃棄物処理、鉄リサイクル、セメントリサイクルであった。

 アンケートには「なぜこのシンポに参加したか」の問いに、以下のことを回答した。
 (1)炭素資源に関して、石油を半燃焼でギ酸等の生成で止める技術の有無を知りたかった。また、セルロースナノファイバーの循環があるか知りたかった。
 (2)ヤンマーの農林水産業における資源循環システムで、植物工場の実例等を知りたかった。
 (3)廃棄物リサイクルシステムにおいて、万能型廃棄物処理システム(分別不要)のことを聞きたかった。
 (4)鉄に関して、鉄粉の発熱と太陽光パネルで得た電気分解の水素での鉄酸化物の還元のリサイクルを構想していたので、そのことを聞きたかった。

「成果があったかどうか」の結論としては、以下のように答えた。
 (1)半燃焼は効率が悪い、セルロースナノファイバーはコストの問題があると説明された。
 (2)ヤンマーの人はインフルエンザで欠席した。ただ、バイオイノベーションセンター倉敷のことが配布資料からわかった。
 (3)リサイクリングシステムで万能型廃棄物処理システムは可能だが、狭い範囲であり、全県、全国展開には法律の壁があるようであった。
 (4)鉄の酸化・還元リサイクルシステムはすぐに実用というわけにはいかない、そのための問題点も指摘された。

 以下にそのシンポジウムの内容について記載するが、面倒な人は後ろの結論部分だけでも見てください。

 Aの北宅(きたや)氏は都市の環境保全の話かと思ったら、いきなり有人宇宙開発において必須の要素として、閉鎖生態系生産維持システム(略称:CELSS<セルス>)の話を始めた。
 人類が将来月や火星に住むことを考えると、食料の生産、空気・水の浄化、物質の循環等を閉鎖環境の中で行う必要がある。
 そのシステムとしてCELSSがある。
 火星でもし人間3人が3年間の生活をするとしたら、食料、水、酸素で1日約4.5s、3年間生活するのに15トンの物資が必要になる。
 これを持っていくわけにいかないから、CELSSのようなシステムが必要になるという。
 CELSSは食料生産システムと環境維持システムで構成される。
 地球上では南極等で生活する場合はこれに似た環境になる。
 南極の昭和基地で、植物工場の実験を大阪府立大、ヤンマー、パナソニック等が行っている。
 こういうものの一環として、CO2吸収を考える。
 森林のCO2吸収は6.5tCO2/ha/年であるが、これをサツマイモで行うと、同じ面積で森林の1.7倍のCO2吸収である。
 この宇宙環境等ではサツマイモの活用がよい、との見解である。このサツマイモを用いた都市緑化を考えているらしかった。

 私は宇宙で病気になった場合はどうするのか、と聞いたら、今のところ、治療する手段は考えられていないらしく、死ぬか、地球に戻って治療するしかないようである。

 Bの林氏は炭素循環社会での話で、主にバイオマスのことを説明した。
 バイオマスで地域に産業を起こせないか、と思っている。
 木材の70%は外国産で30%がであり、また、バイオマスによる発電でもコストの面で既存の火力や原子力等より劣るようであった。
 CO2排出削減では、CO2を地下に貯留するCCSシステム等がある。
 CO2リサイクルシステムとしては、メタノールやギ酸等の炭素系の液体に変換すること等がある。
 また、このシステムの中に燃料電池を組み込むシステムを考えている。
 物質循環のイメージとしてはレゴブロックやレンガのイメージであり、組立・集積や解体・分離が簡単にできることで、これを実現したいとのことである。
 中世のヨーロッパは城の建設にこのレンガを用いたので、余分な材料が発生しなかったようである。

 私は質問で、石油の燃焼を完全燃焼(CO2発生)ではなく、不完全燃焼でギ酸等を生成するシステムはできないか、セルロースナノファイバーのような木材を基本とした循環ができないか聞いた。
 不完全燃焼は効率の悪さが問題となる、セルロースナノファイバーはコスト的な問題が大きい、と答えた。

 Cの小西氏は直前にインフルエンザ発症、とのことで、欠席であった。
 一応資料は事前に提出していたらしい。
 その資料ではバイオイノベーションセンター倉敷のことが書いてあった。
 従来の農業の踏襲だけでは限界があると感じていたようである。
 ヤン坊・マー坊の天気予報でおなじみだし、トラクターを運転する女子の写真があって、ヤンマーのイメージが彷彿とさせられたが、ハードとソフトを組み合わせた農業のトータルサポートとしての立場を作ろうとしているらしい。
 これから、バイオイノベーションセンター倉敷を核として活動していくイメージがあった。
 このセンターのことはネットで調べてみると、2016年立ち上げらしいので、これから、ということらしい。
 資料では植物工場のようなもので、イチゴやトマトの栽培の研究や水質・土壌分析等の説明が記載されていたので、これらのことを考えており、実際の研究を進めるらしい。

 Dの張田氏はリサイクリングシステムとして、廃棄物処理のことを説明した。
 この人は経歴が異色で、名大卒業後に製薬会社のノバルティスファーマに入社したらしいが、親がハリタという廃棄物処理の会社社長で、強制的に呼び戻されて2代目にされたらしい。
 だから社長としては珍しく理系のセンスを持っている。
 ヨーロッパはサーキュラーエコノミーという視点で仕掛けてきている。
 これは資源循環だけでなく、既存の製品や有休資産の活用を図り、価値創造の最大化を目指すシステムであり、またシェアリングエコノミーで共有型経済を目指す等多様な試みを行っている。
 こういう動きを横目で見ながら、多種多様な技術やシステムの実例を紹介した。
 使用済み小型家電のリサイクルフロー、分別しなくてよい一般廃棄物処理システムを富山の方で地域限定で実施している。
 今は太陽光パネルの廃棄に係る処理やLEDのリサイクル等を考えている。
 産官学の一体システムについては、動・静脈一体車両リサイクルシステムを考えている。
 日本国内では難しいらしので、東南アジアに向けた輸出産業の一環として試行錯誤の状態である。
 動脈産業の素材・材料・部品メーカーや静脈産業の回収業者・問屋業者・処理業者等が一体となっている。
 これとは別に、国内で作っている「アルミ車両の水平リサイクル推進委員会」のチームには、東京メトロ、JR東日本、JR東海、川崎重工、日立等の車両メーカー、リサイクル業者でハリタや日軽エムシーアルミ、オブザーバーとして本田技研、トヨタ、日産等の自動車メーカーが参加している。
 これは世界で初めてのことらしいし、ネットで見ると、ハリタのHPにも書いてあった。
 また、廃棄物処理に関しても、破砕選別にロボットの導入等AIやロボットの導入にも積極的である。

 私は質問で、もっと大きな地域で分別不要の万能型大型廃棄物処理工場はできないか聞いた。
 法律の制約があって、広域システムは難しい、とのことであった。
 アメリカでは逆に人の分別作業が下手なので、こうした万能型廃棄物処理技術は導入されているように聞こえた。

 Eの小野氏は鉄のリサイクルについて説明した。
 パリのエッフェル塔の鉄は7,000t、東京タワーの鉄は4,000t、東京スカイツリーの鉄は36,000tということである。
 第2次世界大戦の時に、アメリカの鉄生産力は日本の10倍あった。日本がアメリカと戦争しても勝てない原因はここらにもあったらしい。
 今の世界の鉄の生産量は16億tで、そのうちの半分は中国生産である。
 今の車の生産台数は年間9千万台らしいが、いずれ廃車になる。
 これらのスクラップをリサイクルするが、徐々に品質が低下する。
 トランプエレメントとして、除去困難な材質があり、鉄の中では、アルミ、チタン、マグネシウムらしい。

 私は質問でホッカイロのように、鉄を酸化して発電、太陽光発電で得た水素を使って還元するというような新しいエネルギー循環システムは作れないか聞いた。
 ホッカイロは純粋な鉄ではなく、四三酸化鉄であり、これを作るのは困難ではないか、とのことだった。
 鉄産業の人はこうした別の分野への参入、ということに、非常に心理的な抵抗が大きいのかな、と思った。

 Fの徳植氏はセメント関係のことを話した。
 私は高校時代に日本国内で生産しているもので100%近いセメントを使って、錬金術みたいなことで、産業を起こせないか、と考えたことがあったので、少し興味があった。
 セメントの原料は石灰石(Ca)、珪石(シリカ、Si)、粘土(Al)、鉄原料(Fe)の4つの成分を混合してできる。
 セメントの原料に廃棄物・副産物の利用が可能である。高炉スラグ、フライアッシュ(燃焼の灰)、シュレッダーダスト、古タイヤ等である。
 他産業でリサイクルが難しい多くの廃棄物を受け入れている。
 食品の焼酎カスや廃ろ過材、自治体の下水汚泥、化学の石膏や廃プラスチック、鉄鋼のスラグや電炉ダスト、家電の廃液晶ガラスやフッ素汚泥等である。
 電力、鉄・非鉄、自動車とのコンビネーションは良好である。
 東日本大震災ではガレキ等の震災廃棄物を処理した。
 また、セシウム除去では1,300℃に加熱して土壌からセシウム分離する技術を開発した。
 海と陸をつなぐ循環システムとして、希少資源のリン(P)の活用としてし尿処理のリンを回収して海藻の培養や藻場の再生をする。
 リチウム電池や廃棄物からの貴金属回収等も行っている。

 私はセシウム除去での土壌の加熱による除去でのバグフィルターの効率を聞いた。
 この前、昨年末あたりと思うが、宮城でセシウム汚染した可燃物の焼却が議論されており、その時にバグフィルターの効率が問題視されていたからである。
 徳植氏はしどろもどろだったと思う。

 この後に、総合討論があった。
 コメンテーターの後藤氏がレアメタルのリサイクルとして都市鉱山のことを説明し、携帯電話1台で0.3gの金が取れる、王水で溶解すること等を説明した。
 大和田氏は粉砕の高度化を説明した。
 梶川氏は資源循環社会の問題点について説明した。

 私は質問で、都市鉱山は東北大の南條先生が提唱して、その時に塩素化の技術を提案していたが、その技術はどうなったのか聞いた。
 まだ有効な技術であることを聞いた気がするが、正確には覚えていない。
 要するに、後藤氏が王水で溶解等ほとんど塩素化技術のことを知らないように感じたので、わざと質問したのである。
 また、張田氏の万能型廃棄物処理システムにおいても、この塩素化技術(金属の塩化物は多くが低温で揮発性があり、容易に分離できるので、例えば携帯電話のスクラップに加熱しながら塩素を通気して、塩素化して金属塩化物を簡単に分離できる可能性がある。)が使えるのではないか、とのヒントを出したつもりである。

 以上のことをまとめると、資源循環型社会シンポでは、私が意図することをほとんど聞いたが、それに対する回答はどれも中途半端な結果であった。
 といっても、この人たちは私の質問に対する準備をしていたわけではないだろうから、仕方ないであろう。

 なお、「本シンポジウムに関する、ご意見ご感想を自由に記述してください」と後日のアンケートで、フリーの項目があったので、以下のように回答した。
 『資源循環型社会とイノベーションが相反する関係にあるが、これをどのようにクリアできるか、である。
 循環すれば、新しい技術、新しい商品は必要なくなるので、経済が閉鎖的になる恐れがある。
 この他に、エネルギー循環型社会としてのシステムを考えており、昼間に余剰電力で下流の水を上流に戻し、(または海水を、近くに設置した海水用ダムに汲み上げる)、夜間にダムの水または海水で発電する揚水発電システムで、昼間の太陽光発電、風力発電等の昼夜間の電力のアンバランスを解消するシステムを考えている。』

 結論としては、石油の不完全燃焼システム、セルロースナノファイバー(木材中の繊維)の循環、植物工場、分別不要の万能型廃棄物処理システムの構築、鉄の酸化還元を軸としたエネルギー循環システム等の技術の成立の可能性を探ったが、このシンポジウムでは納得のいく情報は得られなかった。
 また、新たな試みとして、海水及び揚水発電を利用した昼夜間電力のアンバランスの解消システムについても今後、見ていきたいし、機会があれば提案してみたい。
 次にこのような機会があれば、また参加して、進展した情報を確認し、また、上記のようなシステムを提案してみたいと思う。


 <日本学術会議 公開シンポジウム>
 「資源循環型社会を構築するための 技術とその社会実装への取り組み」
1.日時:2017年(平成29年)1月17日(火)13:00〜17:30
2.場所:日本学術会議講堂
3.プログラム
 13 : 00  開会挨拶 大政謙次(東京大学名誉教授)
 13 : 10  A植物機能を利用した都市圏の環境保全と物質循環再生 北宅善昭(大阪府立大学教授)
 13 : 40  B炭素循環社会に向けての炭素資源変換・再生技術の課題 林潤一郎(九州大学 教授)
 14 : 10  C農林水産業における資源循環システムの社会実装への取り組み 小西充洋(ヤンマー株式会社)
 14 : 40    (休憩)
 14 : 50  Dリサイクリングシステムの構築とその社会実装 張田真(ハリタ金属株式会社 社長)
 15 : 20  E循環型社会構築への鉄鋼業の役割とその評価 小野透(新日鐡住金株式会社)
 15 : 50  F循環型社会構築へのセメント産業の役割 徳植桂治(太平洋セメント株式会社)
 16 : 20 ( 休憩 )
 16 : 30 総合討論 司会:所千晴(早稲田大学教授)
      コメンテーター:後藤 雅宏(九州大学教授)、大和田秀二(早稲田大学教授)、 梶川裕矢(東京工業大学准教授)
 17 : 20 閉会挨拶 阿尻 雅文(東北大学 教授)
    −以上−

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