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<<   作成日時 : 2016/12/11 08:25   >>

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 この前、技術倫理シンポに参加した。

 今年10月末に原子力学会からメールが来た。ロボットと人間、人工知能(AI)と人間の関係を探りたくて申し込みした。

 11月22日はお昼前に家を出た。東京理科大の森戸記念館(JR飯田橋駅より徒歩5分)は前にも行ったことがあるので、割と迷わずに行けた。
 ただ、講演者の一人はかなり迷ったみたいで、講演時間ぎりぎりに入ったらしい。

 受付で1000円を資料代として払い、資料をざっと読んだ。
 今年12月に日本学術会議で軍事研究に関するシンポジウムがあるが、出るつもりはないので、その一端でもみておきたい思いがあった。

 プログラムは末尾に添付する。

 開会あいさつで、日高氏が囲碁の世界チャンピオンのイ・セドル九段がアルファ碁に惨敗し、日本では趙治勲(今は本因坊治勲か?)と互角の戦いをしている、ということを紹介していた。

 講演1の村上女史は人間と機械の共存する社会という例で、パラリンピックの選手が義足をつけて、それが通常のオリンピック選手より早くてもそれは違反とされないが、ドーピングは違反とされる。この違いは何か。
 デカルトやカントの哲学に数学や物理の科学や技術を取り入れることにより人工知能が出来上がる、とした。
 人工知能による制御で機械が人間の能力を超えるということをシンギュラリティ(特異点)という。
 このシンギュラリティにはいろいろな種類があって、強いAIと弱いAIがある。
 強いAIは万能型で人間がいらないタイプである。弱いAIは分野別に開発されるもので、人間が必要となるものである。
 この弱いAIを目指せば、人間不要論がなくなるかもしれない。
 またトロッコ問題という倫理学上の思考実験が説明された。
 トロッコ問題というのを知らなかったが、後から調べてみると、トロッコが暴走して、前方に5人の人がいるが、切替スイッチがあり、このスイッチを作動すると5人は助かるが、別の線路にいる1人が犠牲になるというものである。5人を助けるか、1人を助けるために切替スイッチを作動させないか、ということである。
 社会的な合意が必要であり、上流での決定が必要と説明した。

 私は質問で、無人爆撃機の禁止のようなものは上流側において決定できるのか聞いたら、答えかねているようであった。

 講演2の永井氏は今最先端の自動運転に関する問題を説明した。
 自動車産業は日本の産業をけん引してきたが、今世界が自動運転でしのぎを削っている状況で安閑としていられない。
 Googleの自動運転は「新たな黒船」と表現していた。
 内閣府の自動走行システムは、4省5局(警察庁、総務省、国交省(道路局、自動車局)、経産省)にまたがった連携を目指しているようである。
 自動運転のレベルでは加速・操舵・ブレーキのいずれかを行うレベル1からこれらすべてをドライバー以外が行い、ドライバーは全く関与しないレベル4までのランクがある。
 テレビではよく追突防止の自動ブレーキというレベル1のCMがあったりしているが、目指すはレベル4である。
 社会実装に向けた観点として、高齢者対策、居眠り運転、心臓麻痺等の健康障害、スマホ見ながらやよそ見運転、渋滞対策等の問題が挙げられ、これらを解決するものである。
 ここでもやはりトロッコ問題が出てきた。
 私は質問で、今朝福島で地震があったが、地震や豪雨等の防災の面では自動運転はどうか、と聞いた。
 こういう視点の対策はまだ弱いようで、地震の場合は緊急地震速報等を受信して対応できるかもしれない、と言っていた。
 しかしもっと怖いのはサイバー攻撃で、運転自体を乗っ取られる危険性があると指摘していた。

 講演3の皆川氏は土木学会の技術倫理の歴史と東日本大震災を受けてどのように変えていくか議論した内容を説明した。
 私は質問で、他の学協会に倫理規定の改訂を聞いてみたか、アンケート等はどうか聞いたが、改訂の過程で他学会の委員等をメンバーに加えていることで反映されている、との回答であった。

 講演4の橋本氏は技術者が不正行為を働く時は単独でやる46%、グループでやる41%とほぼ同割合で、一人でやるとは限らないことを指摘していた。
 組織の風土や集団思考にまで踏み込まないとなかなか不正行為は防止できないようである。
 この辺りは私もかつて会社員であって、このグループ内でやる、という点には納得できるものがあった。

 講演5の小林氏は科学技術と社会の関係を歴史的に5段階で説明した。
 第1段階は一般市民は科学をわかっていないから、正確な知識を与える上位下達方式であった。
 第2段階はこれではまずいとの反省に立ち、市民に気づかせることが重要として啓発方式と言える。
 第3段階は市民との対話型、市民参加型である。
 第4段階は社会と科学が別々ではなく、社会の中の科学として捉える、つまりコミュニケータ養成に力点がある。
 第5段階としてはこれからの方向で、経済の苦境を打破するイノベーションを推進していくこととしている。
 その一例として遺伝子組換(GMO)が説明された。GMOは安全性に問題があるのではなく、私たちはどのような世界に住みたいか、を問う問題だ、としていた。
 最後にサイロ・エフェクトとして、専門家と専門家をつなぐ翻訳家が10%くらい必要とした。
 専門家はタコツボ化しているから、それらをつなぐコーディネータが必要ということらしい。

 この後、パネルディスカッションになり、講演者がいろいろ話した。思いつくだけの話をメモしておく。
 GMO(遺伝子組み換え)は開発が進むと止められない、我が社は自動車を作らなくてもいいという自動車メーカーの人がいる、防潮堤の高さの根拠がわからないという議論から高さが低くなった、どういう社会にしたいのか、産官学民の民が抜けている、未来の光を見せるのではなく、影も見せるべきだ、人文学者は負の側面を掘り出すのが得意、知的障害者の視点を救えない、ユニバーサルデザイン(注1)を超えてインクルーシブデザイン(注2)が提唱されている、未来の少ない老人が未来を語り過ぎている、若い人は車をあまり喜ばない、若い人のチャンネルを増やすべき、学協会が高齢化している、議論の中にコストが市民に知らされていない、等の意見があった。

 注1:文化・言語・国籍の違い、老若男女といった差異、障害・能力の如何を問わずに利用することができる施設・製品・情報の設計(デザイン)で、具体例として温水洗浄便座や外国人用に絵文字で案内表示等がある。<wikipediaより引用>
 注2:インクルーシブデザインとは、高齢者、障がい者、外国人など、従来、デザインプロセスから除外されてきた多様な人々を、デザインプロセスの上流から巻き込むデザイン手法で、まだあまり具体例は多くないが、ティッシュの角が丸い箱(園児がケガしないように、と幼稚園の先生の思いから生まれた例がある。)<インクルーシブデザインソリューションズのHPより引用>


 私は質問で、私自身は妻に原子力のことを説明しようとして、あなたのことを信用しているから説明しなくていい、と止められたことがある、皆さんは自分の家族の人と自分の専門分野のことを話したことがあるか、と聞いた。
 講演者は皆言いよどんでいた。
 一人の講演者A氏が、妻と話したことはないが、子どもがA氏のことを見ていて、自分のようになりたい、と言ってくれたことがある、と言った。

 技術倫理については、今、軍事研究にドローン等の無人爆撃機、人工授精等の生命倫理、自動運転・アルファ碁等の人工知能の分野の人間不要論等いろいろな面で多くの矛盾が噴き出しているものである。

 今後も機会があれば参加してみたい。
 一般の人が納得できるような技術倫理の統一規則のようなものができればいいと思う。


<日本工学会 技術倫理協議会 第 12回公開シンポジウム>

「技術倫理の最前線U〜科学技術と社会をどう結びつけるか〜」
 1.日時 :2016年(平成28年)11月22 日(火)13:00〜17:20(12:30より受付開始)
 2.会場 :東京理科大 森戸記念館第1フォーラム(地下1階)
 3.参加費:無料。但し、資料代:1,000 円。交流会(事前予約の希望者のみ):3,000 円。
 4.主催 :日本工学会事務局
 5.プログラム:
  (1)開会挨拶(13:00〜13:05) 日高邦彦 議長(東京大学大学院教授)
  (2)講演1.(13:05〜13:40)「AIと社会の関係について」村上祐子氏(東北大学大学院文学研究科准教授)
  (3)講演2. (13:40〜14:15)「自動運転、安全システムについて」永井正夫氏(一般財団法人 日本自動車研究所所長)
  (4)講演3.(14:15〜14:50)「3.11 と土木技術者の倫理」皆川勝氏(東京都市大学工学部都市工学科教授)
  (5)講演4.(14:50〜15:25)「技術者倫理の実践」橋本義平氏(技術士(情報工学))
  (6)講演5.(15:25〜16:00)「社会的合意形成?:〜リスクコミュニケーションのあり方〜」 小林傅司氏(大阪大学副学長)
      (休憩:16:00〜16:10)
  (7)パネルディスカッション(16:10〜17:20)
    テーマ :「科学技術と社会をどう結びつけるか」
    パネリスト :各講演者
    コーディネータ:札野順氏(東京工業大学教授)
 −以上−

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